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■“自分らしいさやか”を表現するために
――アニメ化となる『YAIBA』ですが、作品の世界観や魅力をどのように感じていますか?
石見:原作を読んでまず感じたのは、コミカルなシーンの可愛らしさでした。テンポの良いギャグがちりばめられていて、思わずクスッと笑ってしまう場面がたくさんあるんです。私が生まれる前から連載されていた作品ですが、今読んでもまったく色あせず、変わらず楽しめるのがすごいなと思いました。
一方で、物語が進むにつれて、小さな戦いがどんどんスケールアップし、最終的には壮大なストーリーへと発展していく。そのダイナミックな展開に、気づけば夢中になっていました。主人公・刃の成長とともに、物語の世界がどんどん広がっていくので、まさに目が離せない作品ですね。
今回は、舞台を現代に移してのアニメ化ということで、ギャグの要素も令和らしいテイストにアレンジされ、ストーリー自体も今の時代に馴染む形にアップデートされています。背景や演出面でも、原作にはなかったスマホやスカイツリーが登場するなど、時代の変化がしっかり反映されているんです。
昔ながらの熱いストーリーはそのままに、新しい時代ならではのエッセンスが加わることで、原作を知っている方も、今回初めて触れる方も、どちらも楽しめる作品になっていると思います。
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新しい『YAIBA』が作られる中で、私がさやかを演じる意味があるとしたら、それは“自分の感性で彼女を表現すること”だと思いました。だからこそ、まずは過去のイメージにとらわれず、今作ならではのさやかをしっかり作り上げることを大切にしたかったんです。すべての収録が終わったら、改めて過去作を見て、また新たな視点で楽しみたいなと思っています。
――石見さんの解釈がキャラクターにしっかりと反映されているのですね。演じる上で意識したポイントは?
石見:さやかは、しっかり者でツッコミ担当なのですが、可愛らしい一面もあって、そのバランスがとても魅力的なキャラクターなんです。ただ守られるだけではなく、自分で考えて行動できるたくましさもあって、敵に捕まっても機転を利かせて逃げ出したり、意外と抜け目のないところもあったり(笑)。そうした彼女の強さや可愛さを、自然に表現できるように意識しました。
ツッコミのシーンが多くて、声を張る場面も多いんですが、ただ勢いよく突っ込むだけではなく、シーンごとにニュアンスを変えたり、ちょっとした可愛さを混ぜたりしながら、さやからしさが伝わるように工夫しています。
あと、「刃!」と呼ぶシーンが本当に多いので、毎回同じにならないように意識しました。ピンチのとき、驚いたとき、怒ったとき……同じ一言でも、その場の気持ちをしっかり込めることで、さやかの生き生きとした表情が伝わるように演じています。
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石見:PVにも登場する第1話のシーンで、さやかが刃をからかって「バーカ」と言うセリフがあるんですが、実はこの一言にこだわりが詰まっているんです。1話のアフレコには青山先生もいらっしゃっていて、先生をはじめスタッフのみなさんが、このセリフをとても大事にされていました。
さやかの可愛らしさがしっかり伝わるように、いろんなパターンの「バーカ」を録って、ただのからかいではなく、さやからしい茶目っ気や愛嬌をどう出すか、細かいニュアンスにもこだわりました。
この一言に対する熱量からも、先生やスタッフのみなさんがさやかというキャラクターを心から大切にされているのだと改めて感じましたし、「こんなに遊んでいいんだ!」という楽しさもすごく感じました。
■原作を大切にしながら、新たに作り上げる『YAIBA』の世界
――刃役の高山みなみさんとの掛け合いの中で、印象的だったエピソードを教えてください。
石見:みなみさんは本当に温かい方で、こちらが萎縮しないように、すごく自然に接してくださるんです。そのおかげで、安心してお芝居に集中できました。でも、最初はもう圧倒されっぱなしで、ただただ必死についていく感じでしたね。収録初日から、立ち振る舞いやセリフ回しの巧みさ、すべてがまさに“刃そのもの”で、すごい方とご一緒しているんだなと実感しました。
とくに印象的だったのは、発声の仕方です。みなみさんをはじめ、ベテランのみなさんの声の“飛び方”がすごくて、セリフがスッと前に届くんです。最近はマイクの性能が良くなったこともあり、比較的小さめの声でも拾ってもらえることが多いのですが、今作は昔ながらの熱量やテンポ感を大切にしているので、しっかり声を前に出すことが求められるんです。そうした演技のニュアンスを、現場でみなみさんの声を間近で感じながら学べたことは、とても貴重な経験でした。
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石見:そうなんです。同世代のキャストさんもいますが、それ以上にベテランのみなさんが多く、特別な空気感があります。でも、みなさんすごく温かくて、“後輩を置いていかない”んです。むしろ、新しい世代を巻き込みながら「みんなでいい作品を作ろう!」という雰囲気を作ってくださるので、思い切って挑戦できる環境だと感じています。
加えて、この作品は毎回のように新しいゲストキャラクターが登場するのですが、初めて参加される方に対して、みなみさんが必ず声をかけてくださるんです。キャラクターのイメージをどう掴もうか悩んでいるときも、「みんな同じ道を通ってきたんだから大丈夫。全然気にしないで、何回でもやろう!」って。その一言で空気がふっと和らぐんですよね。私自身もそうでしたし、そうした温かい雰囲気があるからこそ、安心してお芝居に向き合える、本当に素敵な現場だなと思います。
――また、今作は青山剛昌先生監修のもと、アニメオリジナルの展開もあるとのことですが、演じる中でとくに新鮮に感じたことはありますか?
石見:原作では少ししか登場しなかったキャラクターが、準レギュラーのような立ち位置でたくさん登場したり、物語に深く関わるようになっていたりするのが、新鮮でしたし、すごく嬉しい変化だなと感じました。
それに、青山先生がアニメを本当に楽しみにされているのが伝わってきたんです。先生の期待や想いを受けて、監督をはじめ制作陣も、細部にまでこだわりながら作品を作り上げているのが印象的でした。
キャスト陣も原作への愛を持って演じていて、たとえば鬼丸役の細谷佳正さんも「自分の中の鬼丸はこういうイメージだ」と台本を読みながらディスカッションをされていました。みんなが一緒になって、新しい『YAIBA』を作り上げているんだなと現場で実感しました。
――そうした自らの解釈を全員が持ち寄ることで、より良い作品になっているんですね。ちなみに、青山先生と現場でお話しする機会はありましたか?
石見:はい、とても気さくな方で、1話のアフレコのときも「さやかの“バーカ”のシーンにこだわるために今日来たよ!」なんて、ジョークを交えながら話されていました(笑)。さらに、台本にさやかちゃんのイラストとサインまで描いてくださって、世界的に有名な先生なのに、サービス精神が旺盛で本当に素敵な方だなと感じました。
私自身、幼い頃から青山先生の作品を見て育ったので、まさか直接お会いできるなんて思ってもいませんでした。『名探偵コナン』はもちろん、ずっと親しんできた作品ばかりで、みなみさんとの共演も含めて、「こんな素敵な方々が作った作品に触れて育ってきたんだな」と改めて胸が熱くなりました。
だからこそ、『真・侍伝 YAIBA』も世代を超えて多くの方に楽しんでいただきたいですし、土曜の1時間、「青山剛昌アワー」として『名探偵コナン』とともに、視聴者のみなさんと一緒に盛り上がれる時間を作れたら嬉しいですね。
■役者として貫く“強さ”とは?
――「真の侍とは?」「強さとは?」というテーマも本作の大きな魅力ですが、石見さんご自身が「これが私にとっての“強さ”だ!」と思う役者としての信念や、人生において大切にしている考え方はありますか?
石見:私にとっての“強さ”は、「信じること」なのかなと思います。自分を信じること、キャラクターや作品を信じること、そしてスタッフさんを信じること。それって簡単なようで、実はすごく難しいんですよね。とくに、自分を信じ続けるのは一番大変なことだと感じています。
経験を重ねるほど、自分の考えや解釈が増えていくものですが、やはり一番大切なのは「どんな作品を作りたいのか」という、監督やスタッフさんの想いをしっかり受け止め、信じて演じることなのかなと。それが私の中で考えた末に行き着いた結論でもあります。
また、先輩方の背中を見て「この方は強いな」と思う役者さんは、みなさん自分をしっかり持っていて、人としても素敵な方ばかりなんです。他人と比べず、愚痴をこぼさず、常にまっすぐな姿勢でお芝居に向き合っている。そんな姿を見ると、本当にかっこいいなと思いますし、強さってそういうところにも表れるのかなと感じます。
私は自信がないタイプなのですが、迷ったまま演じるよりも「これが自分の解釈だ」と信じて演じたほうが、相手にも伝わりやすいと思うんです。実際に、監督やスタッフさんも「その解釈、ありかもしれないね!」と新しい可能性として受け取ってくださることがあるので、自分の考えを信じることの大切さを実感しています。
――たしかに、「自分を信じ続ける」というのも容易ではないですからね。
石見:本当に難しいです。今の時代、情報があふれていて、噂話もすぐに広まりますし、自分の考えが揺らぐことって少なくないと思うんです。
以前、ある作品で私が演じたキャラクターのお母さんが、「疑うなんて誰にでもできる。あなたは信じてあげられる子になりな」というセリフを言っていたんです。そのとき、すごく心に響いて。そこからずっと考えてきたんですけど、やはり「信じること」って、人としても役者としても、一番難しくて、一番強さが試される部分なのかなと。でも、それを貫けたら、本当に強い人になれるんだろうなと思います。
――作品から人生を学ぶことも多いですよね。ちなみに、「役者としての転機になった」と感じる作品はありますか?
石見:デビューして間もない頃に参加した映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』(2018年公開)の現場ですね。あの経験がなかったら、今の私はまったく違う役者になっていたと思います。それくらい、自分の基盤を作ってもらえた大切な作品です。本当に素晴らしい役者さんたちに囲まれて、目の前でお芝居を見て、共演して。一言発するだけで相手の気持ちをガラッと変えてしまうような、心からのお芝居をされる方ばかりで。
作品によって求められるものは違いますし、細かく考えながら作り込むことが必要な作品もあれば、逆にあまり考えずに流れに身を任せたほうが自然に仕上がる作品もある。正解がないからこそ、現場ごとに求められるアプローチを見極めることが大事なんだと、強く感じました。私はもともと、じっくり考えながら演じるのが好きなのですが、どんなに考えても自分の理想通りにいかない時間があったりして、悩むことも多かったんです。
そんなとき、先輩から「自分の好きなお芝居や作品をちゃんと持っていれば、自然とそこに寄っていく。いろんな現場に合わせながら、それをどう活かすかがプロの仕事なんだよ」と言われて。その言葉がすごく響いて、「この仕事を続けるなら、自分の好きなお芝居を大切にしながら、どんな現場にも対応できる役者になりたい」と強く思うようになりました。
『さよ朝』の現場で出会った役者さんの背中を見て、「私もこういう作品にずっと関わり続けられる役者になりたい」と思いましたし、その気持ちは今も変わらず、自分の目標として持ち続けています。
――大切な出会いですね。最後に、石見さんが理想とする生き方についてもお聞きしたいのですが、どんな人物を目標にされていますか?
石見:私にとって、「世界で一番優しい」と感じる人は母なんです。いつも穏やかで、温かくて、ずっと尊敬しています。でも、その優しさゆえに、生きづらそうだなと感じることもあります。気を遣いすぎて疲れてしまったり、本当は十分にできているのに、「自分は周りに迷惑をかけているんじゃないか」と思い込んでしまったり。すごく評価されているのに、いつも控えめで、まさに「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉がぴったりな人なんです。
そんな母を見ていると、「もう少し自分を大切にしてもいいのに」とか、「もっと楽に生きられたらいいのに」と思うこともあります。でも、どんなときも変わらず優しさを貫いているからこそ、周りの人に愛され、慕われている。母のことを苦手だと言う人を、私は一度も聞いたことがありません。
母のように、誰に対しても変わらぬ優しさを持ち続けられる人は、本当に尊く、そして強い存在だと思います。私が同じように生きるのはきっと簡単ではないけれど、それでも、自分なりの優しさを大切にしながら、周りの人を思いやり、歩んでいきたいなと思います。
(取材・文・写真:吉野庫之介)
テレビアニメ『真・侍伝 YAIBA』は、読売テレビ・日本テレビ系にて4月5日より毎週土曜17時30分放送。(※一部地域を除く)