画像はイメージです年々深刻化するネットでの中傷。有名人だけではなく、一般人にも被害が広がっており、まさに社会問題化している。ただ、2022年10月1日にプロバイダ責任法が改正され、発信者を特定する開示請求までの手続きが簡略化されたため、書き込んだ人物が逮捕されることも増えてきた。今回は、勤務する会社が被害を受けた経験を持っている竹本祐さん(仮名・30代)に話を聞いた。
◆「自分の会社のスレッド」に社長への悪口が
竹本さんは東京都内のIT会社に勤務。ある日、某掲示板に自分の会社のスレッドが立っているのを発見したのだという。
「社長への悪口が書き込まれていたんです。うちの会社はいわゆるワンマンで、現場の決定事項を社長の鶴の一声で覆されることもしょっちゅうで。主にそれに対する不平不満でしたね」
しばらく周囲には内緒でながめていたものの、徐々に書き込みの内容はエスカレートしていき……。
「営業の社員AとBが不倫をしているという書き込みがあり、『そういう目』で見てしまうようになりました。また、人事についても『今年の新人はひどい』『女性社員を好みで選んでいる』など、内部事情に詳しい書き込みがされるようになりました。『書き込まれていますよ』とも言えず、もやもやする日々が続きました」
◆業務に支障が出て、ついに犯人捜しに乗り出す
そして、ついに業務に支障が出るまでに発展した。
「書き込みはユーザーを名乗る人物から『ここのシステムは使えない』『営業の態度が悪い』『アフターケアがなってない』と、業務内容にも及ぶように。するとさすがに『この書き込みは事実なのか』と大事になりまして。それで、有志が知恵を出し合った結果、部署ごとに虚偽の情報を流し、そのまま書きまれるかどうかを検証してみることに。すると営業部に流した『社長がガンになって入院した』という嘘の情報が見事に書き込まれたんです。これで営業部の人間が犯人であることがほぼ確実になりました」
◆開示請求して浮かび上がった犯人はまさかの…
「この事態を受け、役職者を集めて会議を開きました。参加した50代の営業部長に『掲示板に悪口を書いている人物はいないのか?』と問いただすと、『うちの部署にそんな人間はいません。侵害だ』となぜか激昂され、否定されました。その後、全社員向けに『掲示板に書き込みをしている人物は名乗り出るように』と警告。すると書き込みはしばらくなくなったのですが、『自分がやりました』と名乗り出てくる人物はいませんでした」
しばらくすると、また掲示板に悪口が書き込まれたという。
「騒動から3週間後ぐらいだったでしょうか、また社長の誹謗中傷が頻繁に書かれるようになり、弁護士を介して開示請求をすることになりました。その結果、50代の営業部長とその部下数名が家と会社から書き込んでいたことがわかりました。証拠が出ているわけですから、言い逃れはできません。社長が『なぜこんなことをしたのか』と問い詰めると、『会社に不満があった』と言うものの、詳細を明かすことなく、『退職します』と発言し、多くを語りませんでした。いづらくなったのでしょう」
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勤務先に不満を持つ人は数多くいるだろうが、ほとんどの人は我慢している。当然、不特定多数が閲覧できる場所に書き込む行為によって、職を追われることもある。「ネットは匿名ではない」ということを、肝に銘じてほしい。
<TEXT/佐藤俊治>
【佐藤俊治】
複数媒体で執筆中のサラリーマンライター。ファミレスでも美味しい鰻を出すライターを目指している。得意分野は社会、スポーツ、将棋など