▲合田直弘が海外競馬の「今」を詳しく解説!(c)netkeiba【合田直弘(海外競馬評論家)=コラム『世界の競馬』】
◆アイアムマキシマスが連覇を狙う
今週末、日本の競馬ファンの目はドバイに向きがちだが、イギリスでも、エイントリー競馬場のグランドナショナルという、目の離せないカードが組まれている。
3月14日のG1ゴールドC(芝26F70y)を制した直後、4月5日のG3グランドナショナル(芝34F74y)へ向けた前売りで1番人気に浮上したアイノーザウェイユーアーシンキン(セ7、父ウォークインザパーク)は、残念ながら回避することになった。同馬は、大手馬主マクマナス氏による自家生産馬(生産者名義はノーリーン夫人)である。今年のグランドナショナルには既に、複数のマクマナス氏所有馬が出走を予定しており、アイノーザウェイユーアーシンキンに関しては、無理をする必要がないという判断があった模様だ。
マクマナス氏所有の有力馬の1頭は、昨年に続くこのレース連覇を狙うアイアムマキシマス(セ9、父オーソライズド)だ。23年にG3アイリッシュグランドナショナル(芝29F)を制し、この路線の最前線に浮上した同馬。フェアリーハウス競馬場の3ボビージョーチェイス(芝25F88y)を14馬身差で制して臨んだ昨年のグランドナショナルは、チェルトナム競馬場のG2メアズチェイス(芝20F127y)を勝っての参戦だったリムリックレースと横並びの1番人気に推されたが、期待に応えて2着以下に7.1/2馬身差をつける快勝を見せた。
今季の同馬は、初戦のG1サヴィルズチェイス(芝24F100y)が競走中止、前走G1愛ゴールドC(芝24F70y)は8着と結果が出ていないが、管理する伯楽W.マリンズがここに照準を絞った仕上げを行っていることは明らかで、状態に関しての懸念はないと見て良い。
ポイントは、昨年より6ポンド増となる11ストーン12ポンドのトップハンデをこなせるかどうかだ。23年12月にフェアリーハウス競馬場のG1ドリンモアノービスチェイス(芝20F)をこの斤量で勝っており、馬にとっては背負いなれた斤量ではあるのだが、グランドナショナルはまた別モノだ。このハンデでの勝ち馬は、12ストーンを背負って勝った1974年のレッドラムまで遡らなくてはならず、勝てば歴史的勝利となる。
マクマナス氏所有のもう1頭の有力馬が、イロコ(セ7、父ココリコ)だ。
エイントリーのグランドナショナル開催は、これで3年連続での参戦。23年はG1セフトンノーヴィスハードル(芝24F149y)に出走して3着。24年はG1マイルドメイノービスチェイス(芝24F210y)に出走し、アイノーザウェイユーアーシンキンの2着に入っている。今季はここまで4戦して勝ち星はないが、前々走チェルトナム競馬場のG3ベットフェアイクスチャンジハンディキャップチェイス(芝20F127)は、12ストーンのトップハンデを背負って4着。前走ケルソのLRベット365プレミアチェイス(芝23F96y)は2着と、悪くない競馬を続けている。
そして、この馬はハンデも10ストーン11ポンドと手頃だ。馬主のマクマナス氏は、ここまでグランドナショナルを3勝しているが、これは、馬主としての最多勝タイ記録だ。アイアムマキシマスかイロコが勝てば、マクマナス氏は単独最多勝に躍り出ることになる。
ブックメーカーの前売りで、多くの社がこの2頭を差し置いて1番人気の座に据えているのが、トーマス・ギブニー厩舎のインテンスラッフルズ(セ7、マルタリーン)だ。
フランス産馬で、祖国でデビュー。9戦3勝の成績を残した後、23/24年シーズンの後半から、愛国ミース・カウンティのトリムに拠点を持つギブニー厩舎に在籍している。
移籍初戦となったのが、フェアリーハウス競馬場のノービスチェイス(芝21F175y)で、ここを勝って移籍後初勝利。この時2着に下したホエアイットオールビガンが次走、パンチェスタウン競馬場のLRグランドナショナルトライアル(芝27F6y)を16馬身差で制したことで、インテンスラッフルズの評価も高まることなった。
その後、2戦目となったフェアリーハウス競馬場のノービスチェイス(芝25F88y)を、インテンスラッフルズは43馬身差で圧勝。3戦目となったのが、同じくフェアリーハウスを舞台としたG3愛グランドナショナル(芝29F54y)で、ここも制して3連勝で重賞初制覇を果たした。この段階で、同馬は今年のグランドナショナル候補と目されることになった。
今季の同馬は、ここまで3戦。最初の2戦は、ナーヴァンを舞台としたハードル戦で、ともに完走はしたものの、9着と14着に敗れた。
ハードルを使ったのには、大きく分けて2つの理由があったと言われている。1つは、あくまでも目標は4月5日のグランドナショナルにあり、脚慣らしをするという意味では、実戦で高い障害物を越える必要がないこと。もう1つは、スティープルチェイスの主要競走に出て好走をし、グランドナショナルで背負うハンデが重くなることを避けたと見られている。実際に、インテンスラッフルズは10ストーン10ポンドという、恵まれたハンデでの出走となっている。
ギブニー師が、本番前の最後の試走に選択したのが、2月22日にフェアリーハウスで行われたG3ボビージョーチェイス(芝25F165y)で、インテンスラッフルズは2着に入っている。
今週末は、エイントリーでの戦いにもご注目いただきたい。
(文=合田直弘)