
腕一本でマッサージ店を切り盛りしてきたAさんは、近隣に大手のリラクゼーションサロンがオープンした影響もあり、客足の減少に直面していました。「何か対策をしなければ…」と焦ったAさんは、手作りのチラシを作成しポスティングによる集客を試みたのです。
【写真】郵便受けの「チラシお断り」ステッカーに「わかりみが深い」 あのチラシだけは欲しいですよね
月に数千枚のチラシを時間を見つけては近隣の住宅に自分で配り、一軒家はもちろん、マンションのポストにも丁寧にチラシを投函していました。体力的にきつい作業ではあったものの、お客様の笑顔を思い浮かべながらAさんは黙々と作業を続けます。
そんなある日、いつものようにAさんがマンションのポストにチラシを投函していると、背後から「何をしているんですか!」と住民に突然声をかけられます。そこには険しい表情の男性が立っており、「ここはポスティング禁止です!」と怒鳴られてしまうのでした。
Aさんが頭を下げて謝罪しても、男性は納得しません。「連絡先を教えてください。管理組合に報告します」と言い、Aさんの連絡先を聞き出したのです。
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その日以来、「訴えられてしまうかもしれない」「警察に連絡されるかもしれない」と悪い想像ばかりが頭をよぎります。Aさんの小さなマッサージ店は、もし訴えられたりしたら立ち行かなくなるかもしれません。
Aさんはこのまま訴えられてしまうのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに話を聞きました。
ーポスティングが違法となる場合があるのでしょうか?
まず、ポスティングそのものを取り締まる法律はありません。ただし、配布方法やマナーによっては違法となるケースが存在します。
無断で敷地内に立ち入る行為は住居侵入罪に問われる可能性があります。「ポスティング禁止」の張り紙を無視した場合も同様です。公序良俗に反する内容のチラシを配布すると風俗営業法に抵触すると判断される場合もあります。
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誤って投函したチラシを取り出そうとすると軽犯罪法に抵触し、ポストを誤って壊してしまうと器物損壊罪に問われる可能性があります。
Aさんのケースでは、該当のマンションがポスティング禁止であることを知らなかったわけですし、今後はポスティングをしないようにすれば大きな問題になることはないでしょう。
ー過去にどんな判例がありますか?
過去の判例として、2004年の立川反戦ビラ配布事件や葛飾政党ビラ配布事件があります。反戦ビラや政党のビラを配布するために、無断で自衛隊官舎やマンションに立ち入ったことで住居侵入罪に問われました。いずれも有罪が確定しています。
ただどちらの判例も、ポスティングそのものは罰せられていません。無断で敷地内に立ち入る行為が問題視され有罪とされました。集合住宅の共用部分であったとしても、私的領域とみなされます。ポスティングを行う際には、住人への配慮を忘れずにルールに則った配布をおこないましょう。
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◆北村真一(きたむら・しんいち)弁護士 「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないといわれる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)
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