長崎・壱岐島ヘリ事故 死者3人に 運航会社は24年7月にも死亡事故

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2025年04月07日 10:26  毎日新聞

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海保航空機が撮影した救助状況=2025年4月6日午後5時半ごろ撮影(第7管区海上保安本部提供)

 患者や医師ら6人を乗せた医療搬送用のヘリコプターが消息不明となり、長崎・壱岐島沖で転覆した状態で見つかった事故で、唐津海上保安部は7日、心肺停止となっていた搭乗者2人の死亡が確認されたと発表した。死者は計3人になった。また、ヘリの運航会社は2024年7月にも別のヘリで死亡事故を起こしており、病院側が患者搬送の委託をいったん停止していたことも新たに判明した。運航会社側から「安全」と説明され、約5カ月前に再開したばかりだったという。


 唐津海保によると、7日に死亡が確認されたのは医師のアラカワケイさん(34)▽患者の付き添いで搭乗していたモトイシカズヨシさん(68)――の2人。


 ヘリは患者のモトイシミツコさん(86)を搬送するため、離島の長崎県対馬市から福岡和白病院(福岡市東区)に向けて6日午後1時半に離陸。約1時間20分後に「消息不明」との通報があった。


 第7管区海上保安本部が巡視船や航空機で捜索したところ、午後5時過ぎ、壱岐島の北端から北東約27キロの海上で転覆した状態のヘリを発見。6人全員を救助したが、そのうちモトイシミツコさんの死亡が確認されていた。残る3人は男性機長(66)、男性整備士(67)、女性看護師(28)で、低体温症の疑いがあり、福岡和白病院で治療を受けている。


 医療搬送用のヘリは、同病院が19年7月からエス・ジー・シー佐賀航空(佐賀市)に運航を委託し、年間80件ほど患者を搬送していた。だが、同社が運航する別のヘリが24年7月に福岡県柳川市で墜落し、操縦士と整備士の2人が死亡する事故を起こしたことを病院側が問題視し、運航を一時停止したという。


 病院が安全性を佐賀航空に確認したところ、柳川市で事故を起こしたヘリとは違う機体で安全性に問題がないとの説明を受けた。病院の富永隆治院長も搭乗し、安定して飛行できたことから24年11月中旬ごろに運航を再開していた。


 佐賀航空によると、事故2日前の定期点検や出発前の点検で機体に異常は確認されず、操縦士の健康状態にも問題はなかったという。担当者は事故後に開いた記者会見で「柳川市の事故原因は判明していないが、しっかりと再発を防止し、訓練も実施していた」と説明した。海上で転覆した状態の機体は今後、引き揚げられる予定。国の運輸安全委員会は6日付で航空事故調査官2人を指名し、7日から調査を始める。


 佐賀航空所有の機体を巡っては、過去にも墜落や不時着など複数の事故が起きている。04年12月には佐賀県で墜落事故を起こし、搭乗者3人が死亡。08年7月にも同社が保管・整備を請け負っていたヘリが長崎県の大村湾に墜落し、3人が死傷していた。【栗栖由喜、川畑岳志】



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