サンワサプライの「DP-06」は、15.6型のモバイルディスプレイだ。10点マルチタッチに対応しており、タッチ操作環境を手軽に構築できるのが特徴となる。メーカーから機材を借用したので、レビューをお届けする。
●スタンド一体型のボディーは軽さも売り
まずは基本的な仕様をざっと押さえておこう。画面サイズは15.6型で、解像度は1920×1080ピクセルだ。非光沢のIPSパネルを採用しており、視野角は水平/垂直共に170度、輝度は250ニト、コントラスト比は800:1、応答速度は30ms、リフレッシュレートは60Hzとなる。さらに10点マルチタッチに対応しているのが売りとなる。
ボディーは樹脂製で、金属製の製品と比べると質感はややチープだが、剛性は十分にあり、ひ弱な印象はない。ちなみに、背面にはVESAマウントに固定するための75mmピッチの穴が空いているが、4つではなく2つということで、こちらは強度的にやや不安はある。
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スタンドは背面に固定されており、未使用時は折りたたむ構造になっている。無段階で可変するので、角度の調整は容易だ。一般的に、タッチ対応のディスプレイは画面を支える力に押し負けないよう、スタンドに一定の強度が必要とされるが、本製品はそうした心配も無縁だ。
接続方法はHDMIとUSB Type-C×2で、USB Type-Cポートの1基は充電専用となっている。イヤフォンジャックも備え、背面にはスピーカーも搭載するなど音声出力系は充実している。
重量は公称値で約670g、実測で656gだった。スタンド込みの重量としては軽く、本製品の1つの売りになる部分だ。ボディーが金属製ではなく樹脂製であることが、軽量化に一役買っていると考えられる。
付属品はHDMIおよびUSB Type-Cケーブルに加え、USB Standard-A→USB Type-Cケーブル、持ち運び用のポーチがセットになる。ネオプレイン素材のポーチの厚みは最低限で、なおかつサイズがきつく入れにくいのがネックだが、耐衝撃性に支障はなさそうだ。
●接続はHDMIかUSB Type-Cの2択 タッチ操作にも対応
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では、実際に使ってみよう。
接続方法はHDMIもしくはUSB Type-Cの2択だが、HDMI接続の場合もUSBケーブルによる電源供給は必要で、タッチ操作を行うにはそのUSBケーブルをPCと接続しなくてはならない。そのため可能な限り、接続がケーブル1本で済むUSB Type-Cを選択した方が合理的だ。
画面はやや緑がかった印象で、斜め方向から見ると画面の隅が暗くなりやすい。多人数で周囲からのぞき込むような使い方は避け、なるべく正面から見る向きでの設置がベターだろう。なお、USB Type-Cケーブル1本での接続時は明るさが80%にリセットされるが、試した限りでは補助給電なしで100%まで上げることも可能だった。
タッチ操作は、Windowsのディスプレイの複製/拡張の両モードで試用した限り、問題なく快適に動作した。言うまでもないが、接続元のPCがタッチ操作に対応していなくとも動作するので、既存環境にタッチUIを追加したい場合にも向いている。
ちなみに本製品は2基のUSB Type-Cポートを利用してのパススルー充電にも対応している。試しに100Wの充電器に接続した場合、ノートPCからは45Wの電源に接続されているとみなされた。60Wの充電器に切り替えたところ、ノートPCからは20Wの電源に接続されていると認識された。
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一般的なモバイルディスプレイのパススルー充電は、途中で差し引かれる電力は15〜20W程度で、本製品も消費電力(最大時)は公称15Wとされているので、実際に差し引かれる電力が想定以上に大きい印象だ。
ノートPCが45W以上の電力でしか充電できない仕様だった場合、本製品経由でパススルー充電を行うには、100W以上などなるべく出力の大きな充電器を使った方が無難かもしれない。
OSDメニューについては、本体右側面にあるジョグダイヤルおよび戻るボタンを使って操作する。ジョグダイヤルを深く押し込むのに少々コツがいるが、独立した戻るボタンが用意されているので、全体的に操作性は良好だ。
OSDメニューの内容は一般的で、あまり特筆すべき項目もない。ちなみにメインメニューが表示されていない状態でジョグダイヤルを上に倒すと音量調整、下に倒すと輝度調整が行えるなど、ショートカットも抜かりはない。
●手軽に使えるタッチ対応モデルで価格もリーズナブル
以上ざっと使ってみた印象としては「手軽に使えるタッチ対応モデル」といったところだ。突出した特徴はなく、オッと驚くような独自機能もないが、全体的にこなれており、おかしなクセもない。非常に堅実な製品だと感じた。
まだ発売されたばかりだが、現時点での実売価格は4万円前後と、タッチ対応としてはそこそこ安価だ。ちなみに同時発売のタッチ非対応モデル「DP-07」は3万円前半で、こちらに比べると本製品の4万円前後という価格はリーズナブルに感じる。
使ってみて唯一気になったのは、縦置きでの利用が考慮されていないことだ。背面スタンドが横置き限定なのは仕方ないとして、本体は左側面に接続用のポート、右側面にOSDメニュー操作用のボタンがあるので、どちらの面も接地させるのが難しい。
そのため、縦置きの場合はアームを取り付けるのがベターということになるが、背面にあるVESA対応の穴は4つではなく2つだけで、強度的に一抹の不安がある。昨今はモバイルディスプレイの用途も広がっており、縦置きも一通り対応できる余地は欲しかったところだ。この点だけは購入にあたって念頭に置いておきたい。
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