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ソフトバンクが販売するLTE通信対応の見守りデバイス「どこかなGPS2」を購入しました。
名前からも分かる通り、どこかなGPS2はGPS衛星や携帯電話基地局から取得した位置情報を、保護者などが持つスマートフォンから確認できるZTE製のIoTデバイスです。本体の標準価格は7480円で、それとは別に「どこかなGPS」の月額料金として528円がかかります(開始から6カ月間は無料)。
今回、筆者はこれを子どもが乗る電動アシスト自転車に取り付けてみることにしました。
●なぜ「自転車」に取り付ける?
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どこかなGPS2のような見守りデバイスは、主に子どもや高齢者の見守りを想定して作られています。そのような性質上、ランドセルを含むかばん類などに入れるかくくり付けて使うことが多いと思われます。
「なぜ自転車に取り付けることにしたのか?」という所なのですが、子どもが自転車に乗って出かける際の見守り用途はもちろんなのですが、自転車自体の盗難防止と、自転車をどこに止めたか失念した際の早期発見を行うためのツールとして活用するためです。
当初はランドセルを含む子どもの持ち物に取り付けることも考えたのですが、学校と自宅が超が付くほどの至近距離(登校口が目と鼻の先)なので、登下校時にトラブルに遭遇する可能性が低いと判断し、放課後や休日に出かける際に使う自転車に付けた方がいいだろうという結論に至りました。
●問題は「取り付け場所」
どこかなGPS2はLTE Category M1(Cat.M1)による通信機能を備えており、ソフトバンクが運営する「SoftBank 4G LTE」の900MHz帯/2.1GHz帯エリアで利用できます。見守りと設定に使うスマートフォンには特段の制限はないため、他キャリアのスマホと組み合わせても使えます。
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利用開始(契約)は、本体購入後にスマホアプリから行えます。月額料金の支払い方法はクレジットカード、PayPay、ソフトバンクまとめて払いから選べます。
自転車にどこかなGPS2を搭載する場合、課題となるのが取り付け場所です。第三者に発見されたり不正に取り外されにくいようにしないといけない一方で、本製品は充電式なので取り外しやすさも求められます。
ひとまず、筆者は自転車のバッテリーに両面テープで取り付けることにしました。子どものために購入した電動アシスト自転車のバッテリーは着脱式で、残量が減ったタイミングで自転車から取り外しして充電をします。そのタイミングでどこかなGPS2を一緒に充電できるからです。
自転車への取り付け後、位置情報の更新間隔を「3分」に設定して運用を開始しましたが、どこかなGPS2のバッテリー消費量は25日間で80%でした。このペースであれば、充電は1カ月に1回で済みそうです。
当初は「頻繁に充電が必要だったらどうしよう?」と考えていたのですが、その心配は無用でしょう。
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「どこかなGPS2」のバッテリー消費は利用開始から25日間で80%でした。この設定であれば約1カ月ごとの充電で「どこかなGPS2」を運用できます。頻繁に充電が必要となるので手間が大きい…なんてことも、あまり心配はしなくて良さそうです。
●防水/防塵性能はしっかり確保 ただし温度は気を付けたい
自転車のバッテリーは、充電時以外は取り外さない運用をしています。ゆえに、バッテリーに取り付けたどこかなGPS2は、基本的にずっと屋外で運用されることになります。
駐輪場には屋根が付いているものの、屋外にあるため雨対策は検討が必要です。本製品はIP67等級の防塵(じん)/防水性能を確保しており、スペック上は「水面下1mの深さに30分間沈んでも動作に影響がない」とされています。
筆者は本製品を2024年7月頃から運用していますが、台風による大雨や夏の夕立ちなど、強い雨に降られても無故障です。雨に対する不安はないといっても良いでしょう。
ただし、動作温度については「0〜35度」とされており、気温が高くなる夏の時期に炎天下にさらすのは不安があります。駐輪場に屋根があったおかげか、熱による異常は発生しなかったものの、屋根のない環境では少し不安があるかもしれません。最低気温も0度とされているため、寒冷地における冬の運用も気を付けないといけません。
●実際に「盗まれた」場合の検出はどうなのか?
自転車に取り付けたみまもりGPS2は、筆者が想定した目的をおおむね達成できています。ただ、あまり想定はしたくないものの、自転車がクルマに載せられて盗まれるケースでは、少し難があることが分かってきました。
みまもりGPS2には、乗りもので移動したことを検知して通知する「のりもの検知」機能があります。この機能は乗りもので移動していることを検知すると、管理/設定に使っているスマホに通知が届くというもので、「これをうまく使えば、自転車がクルマに載せられたことを検知できるのでは?」と考えました。
のりもの検知では、位置情報の更新間隔と距離から移動速度を算出することで「乗り物に乗っている」か否かを判定するのですが、取扱説明書を読むと「実際の移動速度と異なる状態を検知することがある」との記載があります。
つまり、通知されるタイミングでは移動を開始してからしばらく時間が経過している可能性もあります。
実際に、子どもと一緒に自転車で出かけた際に、家をかなり離れてから「のりもの検知」による通知がありました。この時の移動距離は「自宅から出発」を通知するまで約550m、「のりもの検知」を通知するまで約2.5kmでした。なお、この時は5分間隔で通知する設定としていました。
通常の使い道に当てはめて考えると、子ども(老人)が「車両で誘拐された」「意図せずに電車やバスなどに乗ってしまった」ということを通知するというよりは、「習い事の送迎バスに乗った」「子どもが自転車に乗って移動している」といったことを確認するための機能として考えた方が良さそうです。
●子どもには「即時通知」の方法を教えておくといい
どこかなGPS2は見守り用途に特化しているせいか、何かあった際に緊急通報機関や保護者と通話をする機能は搭載されていません。その代わりに、本体のボタンを押すとすぐに位置情報を通知する機能は備えています。
子どもに持たせる場合は、「緊急時にはこのボタンを押すんだよ」とあらかじめ教えておけば、何らかのトラブルが発生したことを管理者に通知することは可能です。ただし、繰り返しですが音声通話は行えませんので、連絡手段は別途用意する必要があります。
●「住所」「Wi-Fiアクセスポイント」検知は設定したい
どこかなGPS2では、あらかじめ指定した住所(最大10カ所)と、Wi-Fi(無線LAN)のアクセスポイント名(SSID)をベースにした到着/出発通知機能を備えています。自宅や学校、塾や習い事など、子どもの活動拠点を登録しておくと、移動や帰宅のタイミングを通知で確認できて便利です。
筆者は登録した自宅のWi-Fi電波が届かない状態で運用していますが、自宅を含む子どもの行動範囲でSoftBank 4G LTEの基地局の電波をうまく拾えているせいか、比較的早いタイミングで通知が届いています。
測位は、「GPS」「みちびき」「BeiDou」「Galileo」といった主要な測位衛星の他、SoftBank 4G LTEの基地局の位置データも加味して行っています。空が見えている屋外での移動に関しては、かなり正確に検出できます。
ただし、移動ルートについては単純に位置情報を点と点でつないで線を引いただけで、実際に移動したルートとは一致しないことがあるため、参考程度にした方が良いでしょう。
どこかなGPS2は、元々車両向けに設計されていないのは理解しています。ただ、加速度センサーを備えていれば「移動開始を検知したら位置情報の更新間隔を短くする」「移動終了を検知したら位置情報の更新間隔を長くする」といった、省エネ性を高めつつ利便性を高める運用ができると思います。
モデルチェンジの際は、ぜひ加速度センサーの搭載を……!
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