Nothing Japanは4月8日、スマートフォンの新製品「Nothing Phone (3a)」を日本で発表した。8日に予約を開始し、15日に発売する。
Nothing公式サイトにおける販売価格はメモリ+ストレージの構成別に8GB+128GBが5万4800円、12GB+256GBが5万9800円(税込み、以下同)となっている。
4月8日に都内で発表会を開催したNothing Japan代表の黒住吉郎氏が製品の紹介を行い、クアルコムジャパンの中山泰正方社長がプロセッサについて説明。MNOとしては独占販売する楽天モバイルからコーポレートマネジメントディビジョンディレクター 大久保公博氏が登壇し、取り扱う理由を述べた。
●Nothingのカメラ「あんまりよくないよね」というイメージ払拭へ ミッドレンジモデル初の望遠カメラを搭載
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Phone (3a)は、英国・ロンドンを拠点とするNothing Technologyが3月4日(現地時間)に発表した、ミッドレンジスマートフォンの最新モデルとなる。先代「Phone (2a)」からあらゆる面で進化を遂げており、デザイン、カメラ、パフォーマンス、AI機能、バッテリー、OSに至るまで、全方位にアップグレードした。
まずデザイン面では、内部が透けて見えるパネルを背面に採用し、背面LEDが通知時などに点灯する、Nothingらしい仕掛けをPhone (2a)から踏襲した。さらに、IP64等級の防塵(じん)・防滴性能を備え、おサイフケータイとeSIMもサポートする。
大幅な進化を遂げたのはカメラだ。黒住氏は、SNSで「Nothingのカメラってどうなの?」「あんまりよくないよね」という声が見られたことを「残念」と述べ、「一新した」とするカメラを紹介。最もアピールしたのは「ミッドレンジモデルとして初めて望遠カメラが付帯した」点だ。
アウトカメラは、5000万画素のメインカメラ(焦点距離24mm)に加え、ソニー製のイメージセンサーを採用した超広角カメラ(焦点距離15mm、視野角は120度)、そして光学ズーム対応の望遠カメラ(焦点距離50mm)を含むトリプルカメラ構成となっている。3200万画素のインカメラは複数人での撮影をサポートする。
5000万画素のメインカメラには、NothingとSamsung Electronics(サムスン電子)が共同開発した1/1.57型のイメージセンサーを採用。黒住氏は、「同じサイズのイメージセンサーと比べて大きく、より多くの光を取り込める」と、暗所でも細部まで鮮明に撮影できることを説明した。
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Nothingのミッドレンジモデルとしては初搭載となる望遠カメラは、光学2倍相当、デジタル域を含めると最大30倍のズームが可能で、Phone (2a)より遠くの被写体を撮影できるようになった点は大きなアドバンテージといえる。
撮影シーンの全てを支えるTrueLens Engine 3.0は、いわゆる「コンピュテーショナルフォトグラフィー」と呼称されるもので、AIと高度なアルゴリズムを活用し、どのようなシーンにおいても鮮明で自然な画像に仕上げる。「高度なアルゴリズムを使い、一番適切な画像を選択したり、明暗を自動調整したり……と、ハードウェアのプロセッシングパワーに加え、AIの力も借りながら整えていく」(黒住氏)
Phone (3a)では、露出の異なる8枚のRAWフレームを撮影した後、合成してディテールを再現することで、ピクセル輝度が最大8倍に引き上げられる「Ultra HDR」という技術も搭載。黒住氏によれば、「GoogleとNothingの技術を組み合わせる」ことで、Phone (3a)のカメラで切り取った一瞬が「生き生きと表示される」という。
カメラアプリには、画角や利用するレンズ、色味などが異なる4種類(Soft Focus、B&W Film、Wide Angle、Lenticular)をプリセットする。自分でよく使う画角やレンズの組み合わせを後から追加することも可能だ。
性能面に欠かせないプロセッサには、QualcommのSnapdragon 7s Gen 3を採用。Nothing OSとの統合により動作はよりスムーズになったとしている。クアルコムジャパンの中山氏は「Snapdragon 7s Gen 2と比べてCPU性能は最大20%、AI機能のパフォーマンスは30%向上している」と紹介した。
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MediaTekのDimensity 7200 Proを採用したPhone (2a)と比べると、CPU性能は最大33%、GPU性能は11%、AI処理能力においては92%向上しており、ミッドレンジながらもゲーミングやAI機能におけるパフォーマンスに効果が期待できるとしている。ボディー内部には、大型ベイパーチャンバーを備え、冷却効果を高めている。
バッテリーは5000mAhと大容量で、2日間使用できるとしている。さらに、50Wの急速充電に対応し、20分で1日分の充電が完了するという。
「Nothing史上、最も大きく明るいディスプレイを採用」(黒住氏)したのもポイント。具体的には、6.77型のフルHD+(1080×2392ピクセル)の有機ELを搭載する。屋外では最大1300ニトで表示され、ピーク時には3000ニトに達する。リフレッシュレートは最大120Hzとなっており、状況に応じて描画速度を変化させる。タッチサンプリングレートは最大1000Hzで、視認性と応答性の両立を図った。
●Phone (3a)の目玉機能はAI 記録を見返しやすく 物理キーの新設も
OSには、Android 15ベースのNothing OS 3.1を採用し、デザインや操作性、カスタマイズ性も向上したという。ホーム画面には、アプリのアイコンやウィジェットをほぼ自由に配置でき、ソフトウェアレベルでNothingらしさを受け継いだ。最大6年間のアップデート(Android OSのアップデートは3年、セキュリティ更新は6年)を保証しており、長期使用も想定している。
Phone (3a)の目玉機能の1つとして黒住氏が紹介したのが「Essential Key」だ。Phone (3a)のディスプレイに向かって右側面には、電源キーの下に新たに物理キーが追加され、利便性が向上した。
黒住氏は、「スマートフォンでスクリーンショットを撮影したり、通りすがりのカフェを覚えておきたいときに、カシャっとカメラで写真を撮ったり、(会話の内容を)忘れないようにボイスメモを残したり……」と、日常的にさまざまな方法で簡単に記録できるスマートフォンのメリットを挙げる一方、「記録を探すのが困難である」との指摘をした。
そんなときに「困らないように」という思いから新たに設計されたのが、Essential Keyキーだという。気になるコンテンツを見つけたときや、アイデアが浮かんだときにEssential Keyを押すと、端末内に情報が保存され、後から見返しやすくなっている。
Phone (3a)では、新しいアプリケーションとして、Nothing独自のAI機能「Essential Space」を搭載。先に挙げたユーザーの記録やアイデアを自動で整理し、提案や要約、アクションプランの生成までを行う“第2の記憶”として機能する。Essential Keyで記録保存したデータは、Essential Spaceアプリからも見返せる。
ニュースリリースでは、この機能について「Essential Space (early access)」と表記しており、さまざまな記録に素早くアクセスできる意味が込められていることが分かる。見た目や機能で大きな差別化を図りづらい多くのスマートフォンに対して、Nothingは「使いやすさ」でも勝負を挑んだ格好だ。
●新たな販売パートナーにMNO Phone (3a)のコスパが楽天モバイルとマッチング
このように、Phone (3a)はアイデンティティーだったデザイン性だけでなく、望遠カメラやAIの機能が加わり、よりオールラウンドでコストパフォーマンスに優れたスマートフォンといえる。背面LEDや透明パネル、UXを含めNothingの哲学をさらにブラッシュアップして体現しており、Phone (2a)よりも進化点がめじろ押しだ。
そんなNothingは今回、新たな販売パートナーとして迎えたのが、楽天モバイルだ。MNOがNothing製品を取り扱うのは今回が初めてとなる。なお、Phone (3a)はMVNOのIIJmio、ECサイトのAmazon、家電量販店のビックカメラ、ヨドバシカメラも取り扱う。
Nothingが販売パートナーに楽天モバイルを迎えた理由について、黒住氏は「楽天モバイルが全国に店舗を構える点」を挙げる。Phone (3a)は、楽天モバイルの公式サイトだけでなく、一部の店舗(100店舗)でも取り扱う。カラーはホワイト、ブラックの他、楽天モバイルだけの限定カラーであるブルーを用意する。
楽天モバイルの大久保氏は、「Nothingの独創的なデザイン、そして先進性、それでいて優れたコストパフォーマンスを持っているPhone (3a)と、(原則)データ無制限かつ低廉な『Rakuten最強プラン』を組み合わせることで、新しい価値をお客さまに届けられるのではないか? というところから協議に至った」と、Phone (3a)を取り扱う理由を述べた。
価格はホワイトとブラックの8GB+128GBが5万4800円、同2色の12GB+256GBが5万9800円だが、ブルーの8GB+128GBが5万6900円、同色の12GB+256GBが6万1900円と通常カラーに比べてやや割高となっているが、割引施策により、お得に購入できる。
楽天モバイルに初めて申し込み、かつ他社からMNPで乗り換え、Phone (3a)を購入した人に対して、最大2万ポイントを還元する。この施策により、他の色より8GB+128GBが3万6900円、12GB+256GBが4万1900円となり、やや高価なブルーでも、実質的には割安感が出た。
大久保氏は、楽天モバイルのみが販売する限定カラーのブルーが発売日当日から100店舗で展示されることを明らかにし、「近くの楽天モバイルショップに足を運び、Phone (3a)を手に取ってその素晴らしさを体験してほしい」と語った。
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