Pixel aシリーズの最新モデル「Google Pixel 9a」が4月16日に発売される。
上位に当たる「Google Pixel 9」シリーズと同じく、Gemini、ベストテイク、音声消しゴムマジックなどのAI機能を搭載しつつ、Pixelとしては価格を抑えている。また、aシリーズの日本向けモデルとしては初めて256GBの選択肢が追加された。
Google ストアでの販売価格は、128GBが7万9900円(税込み、以下同)、256GBが9万4900円となっている。背面を保護するケースは付属せず別売りで、販売価格は4900円だ。一方、Pixel 9の販売価格は128GBが12万8900円、256GBが14万3900円で、Pixel 9aとの価格差はどちらの容量も4万9000円となっている。
では、これからPixelを購入するなら、Pixel 9aとPixel 9どちらを選べばいいのか。上記の価格差も踏まえ、2機種を比較しながら考えたい。
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●ボディーの外観、サイズ、持ちやすさに違いは?
まずはボディーの外観、サイズ、持ちやすさに違いがあるのかを確認する。
「Pixel 8」「Pixel 8a」では、サイドがラウンドしていることに加え、特に角の手当たりがよく、ボディーサイズが小さいほどホールド性はあると感じたが、Pixel 9とPixel 9aではサイドがフラットで、持ちやすさには若干差はあるものの、持ちづらくはない。
Pixel 9とPixel 9aともに、ボディーの一部に100%リサイクルアルミニウムを使用している点は共通するが、背面の素材は異なる。Pixel 9はCorning Gorilla Glass Victus 2かつポリッシュ仕上げとなっているのに対し、Pixel 9aでは81%にリサイクルプラスチックを使用している。「バックカバーの81%にリサイクルプラスチック」
ガラスとプラスチックは素材そのものが異なるが、どちらもサラッとした質感で高級感はある。Pixel 9aもプラスチックのような見た目を感じさせないほど美しい仕上がりだ。しかも、どちらもケースを装着せずに使用した場合でも、指紋や汗は目立ちづらく実用的な設計となっている。
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サイズと重量はどう違うのか。Pixel 9aはディスプレイの大型化(後述)により、横幅がPixel 9よりも1.7mm増えたが、持ちやすさに大きく影響を与えない。高さはPixel 9より2.1mm高く、厚さはPixel 9から1.66mm増した。重量は背面がガラス素材ではないためか、Pixel 9より11g軽くなっている。
・Pixel 9:約72(幅)×152.8(高さ)×8.5(厚さ)mm、約198g
・Pixel 9a:約73.7(幅)×154.9(高さ)×10.16(厚さ)mm、約187g
●ディスプレイは8aから大型化も、ベゼルの太さは目立つ
ディスプレイはPixel 9aとPixel 9ともに液晶ではなく有機ELを搭載する。Pixel 9aのサイズはPixel 8aの6.1型より0.2型大きくなり、Pixel 9と同じ約6.3型となった。Googleによれば、輝度はPixel 8aと比べて35%向上した。リフレッシュレートは60〜120Hzの可変式である点はPixel 9aとPixel 9ともに変わらない。短期間の試用とはなるが、実用上、差はほとんど感じられない。
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解像度もともに1080×2424ピクセル、アスペクト比も20:9で横並びだ。カバーガラスはPixel 9がCorning Gorilla Glass Victus 2なのに対し、Pixel 9aはPixel 8aと同じCorning Gorilla Glass 3を採用。Corningが2013年に発表した資料によると、強度や耐傷性は前世代より向上している。ベゼルの太さはPixel 9aの方がPixel 9よりも目立つが、見た目に細かいこだわりを持つ人は別として、こちらも実用上は問題ないレベルだろう。
●Pixel 9は望遠しても鮮明 9aはどう? 昼と夜の風景作例を比較
アウトカメラについては両モデルで明らかな差があり、画素数だけでいえば特に超広角カメラの数値上の違いが目にとまる。レンズの明るさを示すF値においても、Pixel 9の方が数値上は明るいものを使用している。
・Pixel 9:約5000万画素(広角/F値1.68)+約4800万画素(超広角/F値1.7)
・Pixel 9a:約4800万画素(広角/F値1.7)+約1300万画素(超広角/F値2.2)
Pixel 9とPixel 9aのアウトカメラで、倍率を変えて昼間と夜間の風景を撮影した。超広角の0.5xでは劣化は見られず、4隅の大幅なゆがみは目立たない。1xと2xでも大差はほとんどない。電線や看板の文字は視認でき、建物や窓のディテールも分かる。一方、最大値の8xまでズームすると、劣化が見られた。デジタルズームのため、このような仕上がりになるが、それでもPixel 9はきれいに撮影できる。
プロダクトマネジメントディレクターのソニヤ・ジョバンプトラ氏によれば、センサーサイズは「Pixel 8aとは異なる」というが、「(8a)より画質が向上するものを使っている」とアピールしている。Pixel 9との違いについては、特段言及していない。
ただ、一般的にイメージセンサーのサイズが小さくなると、大型サイズのセンサーと比べて光を取り込める量が少なくなり、画質に影響が出てしまうが、従来のPixelシリーズと同様にAIを駆使した「コンピュテーショナルフォトグラフィーを使用している」という。
カメラ関連の新機能として、Pixel 9aはaシリーズでは初めてマクロフォーカス機能を搭載し、細部まで鮮明に撮影できるようになった。犬の写真を撮影したところ、Pixel 9aの方がより鼻先にフォーカスし、周囲はほどよくぼけたが、Pixel 9では毛先にまで細かくピントが合っている。ここはどちらがいいというよりも好みだろう。
マクロフォーカスは、犬の接写だけでなく、花や昆虫に近づいて撮影する際にも役立つ。しかし、日常生活においてマクロフォーカスを使うシーンは限られおり、日頃からカメラを重視するなら、マクロフォーカスだけで選ぶよりも、先ほどの風景も参考にした方がいいだろう。特に、デジタルズームにおいて、より鮮明な写真を求めるなら、価格はPixel 9aより高くてもPixel 9を選びたい。
アウトカメラを収めるカメラバーは、現Pixelシリーズのアイデンティティーともいえるが、Pixel 9aでは背面はフラットなデザインとなり、よりスッキリとした印象を与える。フラットな方がケースを装着せずに机上に置いた場合に安定感が増すため、実用上はメリットが出ている。
このデザイン変更の理由について、ジョバンプトラ氏は、「(Pixel 9aを世に出す)タイミングとしても製品(そのもののデザイン)としても、これまでのやり方と離れていいのではないか、と考えた。製品およびポートフォリオの中での位置付けを反映したものだ」と説明している。
●ベンチマークスコアはPixel 9aと9ともにほぼ変わらず 普段使いなら問題ないか
性能には差があるのだろうか。両モデルに「Geekbench 6」をインストールして確認した結果、シングルコアスコアはPixel 9aが1702でPixel 9が1756、マルチコアスコアはPixel 9aが4410でPixel 9が4458となった。どちらも大差のない結果だが、数値としてはPixel 9の方が若干高い。
他社のモデルと比較すると、Pixel 9a/9のシングルコアスコアはSnapdragon 7+ Gen 2搭載の「Xiaomi POCO F5」より高い一方で、Snapdragon 8 Gen 2搭載の「Galaxy S23」には及んでいない。Pixel 9a/9のマルチコアスコアは同じくPOCO F5とS23の中間に位置している。POCO F5もS23も2年前の2023年に登場。前者はミッドレンジモデルで後者はハイエンドモデルだ。ただ、WebやSNS、動画の閲覧において、レスポンスは悪くなく、一般的な使用方法なら申し分ない。
とはいえ、AI時代においては単にベンチマークの結果だけでは、分からない差分もある。Googleとしても直接的に他社製品との比較スコアは示していない。だが、処理能力を必要とするゲーミング用途というより、GoogleがPixelに提供するGeminiやカメラ/編集、文字起こしの体験を重視していることから、とりわけユーザーとしても「何に使うか」を考えて選べばいい、という話ではある。
●Pixel 9aで利用できない機能も
Pixel 9aで利用できない機能としては「Pixel Screenshots」が挙げられる。Pixel Screenshotsは単なるスクリーンショット機能ではない。例えば、自分が行きたいレストランのWebサイトやレビュー記事のスクリーンショットを撮ると、そのレストランの住所やメニュー、そのWebサイトのメタデータであるURLなどを端末内に保存する。
Pixel Screenshotsは、AIモデルのGemini Nanoと、プロセッサのTensor G4ならではのAI機能の1つだ。ひいては、操作の全てが端末上で実行できる、いわゆるオンデバイス処理のため、端末がインターネットに接続できない環境下でも利用できる。
通話内容をAIで要約する「Call Notes(通話メモ)」もPixel 9aでは利用できない。Pixel Screenshotsと通話メモは、2025年4月1日時点で日本では提供されておらず、Pixel 9でも利用できない。
日本モデルへの機能拡充も期待されるが、仮に体験できることがPixel 9aとPixel 9で変わらなくなってしまうと、Pixel aシリーズのコストパフォーマンスをより高められる一方で、1つ上のモデルとの差別化が十分図れず、消費者としてもどちらを選べばいいのか判断しづらくなる面がある。
●結論:aシリーズとしては高くなり、お買い得感を提示できるかが勝負どころ?
このように、Pixel 9aはカメラ周りのデザインはスッキリとまとめられ、Pixel 9との差別化を「見た目でも分かりやすく示された」と評価できる。また、日本向けモデルはFeliCaを搭載しおサイフケータイを利用できる他、グローバル共通でワイヤレス充電にも対応しているため、上位モデルと比べて機能面で大きく見劣りする印象はPixel 6a/7aの頃と比べて少なくなった。
これからPixelのスタンダードモデルを買うなら、間違いなくPixel 9aかPixel 9かで迷うだろう。先の作例で示した通り、カメラ撮影における質に少しでもこだわるのであれば、これからPixel 9に手を出すのも十分ありだとはいえる。
一方、価格はPixelを選ぶ上でジレンマとなる。Pixel 7aでは6万2700円だったaシリーズの価格は、モデルチェンジの度に為替レートが反映されてしまい、Pixel 8aとPixel 9aでは7万円台からと高くなってしまったのは否めない。
定価だけを見ればPixel 9よりも安価なPixel 9aが魅力的なのは事実だが、Pixelのaモデルの価格が上昇すれば、aモデルと1つ上の無印モデルとの価格差が小さくなり、価格だけで選ぶのはさらに悩ましい。
aモデルは、手の届きやすいPixelというイメージがあるだけに、割引規制のある中で、どうお買い得感を提示できるかが勝負どころともいえそうだ。
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