ヤクルトの「三銃士」にも注目! 育成から這い上がってきた若手たち【山本萩子の6−4−3を待ちわびて】第161回

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2025年04月11日 13:10  週プレNEWS

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育成出身選手について語った山本キャスター

4月10日のオリックス戦で、ソフトバンクの先発としてマウンドにあがったのは前田純投手でした。

ここまでチーム成績は振るわないですが、圧倒的な選手層を誇るソフトバンクで先発ローテーションに入る大変さは並大抵のことではありません。しかも、前田投手は育成出身というから驚きです。

さらに、中学まではほとんど試合に出られなかったそう。しかし大学時代に、コーチの指導で才能が開花。2022年のドラフト育成10位でソフトバンクから指名されました。すると入団当初から頭角を現し、ついに今シーズンはローテ入りと、まさに育成ドラフトの醍醐味と言えるような選手です。

前田投手の最大の魅力は、190センチ近い長身から投げ下ろすストレート。そう言うと豪速球を想像しますが、前田投手の直球の平均速球は140キロほど。しかし高い位置からリリースすることで、打者からはボールが浮いて見えるそうです。まだ25歳ということもあり、どんどん成長してくれることをファンは願っているでしょう。

育成選手がスターになっていく過程には、運も大きな要素です。

ヤクルトの赤羽由紘(よしひろ)選手は、2020年に育成2位で入団。その翌年に支配下登録され、昨年はオープン戦で3割後半の打率を残し、一軍でも少しずつ試合に出られるようになってきたんですが......7月31日の試合でデッドボールを受けて左手を骨折し、無念の離脱を強いられました。

しかし今年は、塩見泰隆選手、村上宗隆選手など主力の欠場が続出する非常事態において、見事に自身初の開幕スタメンをつかみました。先発出場を続け、セカンドとサード、センターもそつなくこなしてチームに貢献しています。

打撃は2割半ばですが、ここまでの赤羽選手は大事なところで打っているイメージがあります。セカンドに入った時の守備も穴がなく、先日の試合では体勢を崩しながらも見事な6−4−3のダブルプレーを成立させ、私も思わず拍手が出ました。

また、あえて詰まり気味のゴロを打って打点を挙げたりと、状況に応じたプレーができるクレバーな選手であることを再確認しました。育成選手から、守備の要のポジションを任せられる選手になったことに感動を覚えます。

今年のヤクルトのファンブックで取材していただいたのですが、そこで"育成三銃士"についてお話しさせていただきました。そのひとりが赤羽選手です。若手の、それも育成出身の選手がスタメンの選手をおびやかすことで競争が生まれ、チームが活性化する気がしますよね。

ちなみに三銃士の残りふたりは、外野の岩田幸宏選手と、捕手の橋本星哉選手です。

岩田選手はシュアなバッティングと守備範囲の広さが売りで、昨年から出場機会を増やしています。今年はここまで代打や守備固めでの出場が主ですが、さらなる覚醒を期待しています。橋本選手は、村上選手の海外移籍を見越して、最近ではサードの練習を重点的に行なっているようです。

育成出身選手は、野球ができる喜びを日々噛み締めてプレーをしているように見えます。「一軍にいること」にとても大きな意味を見出し、「何がなんでもここにいたい」という覚悟を感じさせてくれます。

ヤクルトの三銃士だけでなく、少しでも多くの育成出身の選手たちが一軍で活躍する姿を見られることを遠くから願って、今回は筆をおきたいと思います。

それではまた来週。

構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作

【写真】山本キャスターのフォトギャラリー

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