写真 みなさん、こんにちは! ファッションスタイリスト&ライターの角佑宇子(すみゆうこ)です。
突然ですが、みなさんは服屋さんに飾られているマネキンのコーデをそのまま全身購入したことはありますか?
俗にいう「マネキン買い」のことですが、実際そう多くないにしても「服のセンスが無さすぎてマネキン買いをしている」という声も耳にします。
しかし、実はこのマネキン買いには隠された落とし穴があるんです。今回は、服のマネキン買いにおける失敗例と対策について紹介します。
◆マネキンの服は人気の服? 在庫過多の商品を着ていることも
マネキンに飾られている服というのは、全部が全部「売れている商品」や「人気の商品」ではありません。どちらかと言えばブランド側が「売りたい商品」であることがほとんどです。
実際に使い勝手の良い人気商品は、マネキンに着せなくても勝手に売れていきますから(もちろん人気商品を飾る場合もありますが)。
アパレルショップの基本は「シーズン中にいかに在庫を減らし、売り切るか」です。そのため、季節の中盤から終わりかけになってくると、売れている服よりも、在庫が余って売り切りたい服をマネキンに着せて、魅力的に見せようというスタイリングをします。
◆着こなしが難しい服、実際に着ると「あれ?」な服も
売れない服にはコーディネートしづらいなどそれなりの理由があるものですが、マネキンが着ることによってそのマイナスイメージがいくらかは削がれます。つまり、マネキン買いを意識しすぎていると、着こなすのにテクニックが必要な服や、着てみたらあんまり可愛く思えないような服を流行の服だと勘違いして購入してしまうことになるので気をつけてくださいね。
この場合、試着したら思った感じと違かった……という印象を抱くので、失敗を防ぐためにも購入前に事前に試着はしておきましょう。
◆一番目立つマネキンの服は、特に応用しづらい
お店の一番目立つところ(もしくは外観やウィンドウ)に飾られているマネキンの服装は、基本的にブランドがその時期に提案しているコーディネートであることが多いです。なので、たしかにそのコーデをまるっと真似てしまえば、おしゃれな着こなしにはなります。いっぽうで、それ以外のコーディネートをしたいと思った時に応用が効かないというデメリットも。
また、マネキンに着せる服は個性的なデザインも多く、着回しに向いていないことも多いですね。「買ったはいいものの、一度着て以降はタンスの肥やしになっている」という経験がある方は、よく考えて購入したほうがいいでしょう。
購入前には「どれくらい着回せるか」を念頭に入れて、買う・買わないを検討すると良いですね。
◆マネキンコーデから着こなしのルールを理解し、学ぶ
マネキンが着用している服は失敗しやすいとお伝えしましたが、いっぽうで学びが非常に多いことも。単にコーデをそのまま真似すると失敗してしまうことがありますが、着こなしのルールを学ぶにはうってつけの勉強材料です。
例えば、トップスとボトムスの上下のシルエットバランス、配色の取り入れ方、小物の組み合わせ方を観察しましょう。できれば複数の店舗でマネキンコーデを写真に撮って、後々観察してみることをおすすめします。すると各コーディネートに共通する着こなしの黄金ルールを見つけることができますよ。
ここまで理解できれば、マネキンの服装をそのまま真似して購入しても、着回しに応用できたり無駄に変な着こなしのコーデを買って失敗したりすることも防げます。
決してマネキンコーデが悪いというわけではありません。ですが、何も考えずにマネキンのコーデを真似し続けるとご自身のしたい服装がどういうものかすら分からずに迷走してしまうので、じっくり理解を深めながら良い着こなしを積極的に取り入れてみてくださいね。
<文&イラスト/角佑宇子>
【角 佑宇子】
(すみゆうこ)ファッションライター・スタイリスト。スタイリストアシスタントを経て2012年に独立。過去のオシャレ失敗経験を活かし、日常で使える、ちょっとタメになる情報を配信中。2023年9月、NHK『あさイチ』に出演。インスタグラムは@sumi.1105