皐月賞に出走予定のクロワデュノール(撮影:下野雄規) クラシック三冠の第一関門、皐月賞。中山競馬場の芝2000mを舞台に行われるこの一戦は、過去の勝ち馬リストを見てもその後に競馬史を彩る名馬を多数輩出している。トリッキーなコース形態から紛れも多く、しばしば波乱の決着も見られる伝統のGIだ。今年もホープフルSを制したGI馬クロワデュノールを筆頭に、各路線から素質馬が集結。一筋縄ではいかないメンバー構成となった。
1.前走GIII組は高回収率で妙味あり
過去10年の皐月賞において、前走でGIIIを使われた馬の成績は[7-1-6-32]で、勝率15.2%、複勝率30.4%を記録している。これは前走GI組[2-1-0-5]や前走GII組[1-7-4-65]と比較しても見劣りしないどころか、勝ち星では他を圧倒している。さらに特筆すべきは回収率で、単勝回収率は175%、複勝回収率も90%と非常に高い水準にある。これはGIII組から人気薄の馬がしばしば激走し、高配当をもたらしていることを示唆しており、例えば、17年には毎日杯(GIII)を勝った9番人気のアルアインが、16年には共同通信杯(GIII)を勝った8番人気のディーマジェスティが皐月賞馬に輝いている。今年も共同通信杯勝ち馬のマスカレードボールや、京成杯勝ち馬ニシノエージェントなど、GIII路線から参戦する馬には警戒が必要だろう。
2.前走1着馬が王道、3着以下からは勝ち馬なし
過去10年の皐月賞では、前走1着馬が[7-8-6-53]と好成績を収めており、勝率9.5%、複勝率28.4%と他を圧倒する。単勝回収率96%、複勝回収率84%と100%は超えていないものの、人気サイドも多いだけに数字としては優秀だ。対照的に、前走3着以下に敗れた馬からは[0-1-2-58]と、一頭も勝ち馬が出ていない点は極めて重要だ。連対も僅か1頭であり、複勝率は4.9%に留まる。データ上、前走を勝ち切った勢いのある馬を最優先で評価すべきだろう。
3.王道の中4〜8週ローテが安定
皐月賞におけるレース間隔別の成績を見ると、最も安定しているのは「中4〜8週」の臨戦過程で挑む馬たちだ。この組は過去10年で[5-6-6-55]という成績を残しており、出走数72頭と多い中で、勝率6.9%、複勝率23.6%は立派な数字だ。単勝回収率73%、複勝回収率82%も水準以上であり、トライアルレースをしっかりと消化して本番に臨む、いわゆる「王道」ローテーションの信頼性は高いと言える。次いで「中9〜24週」、つまり休み明けで直行してくる組も[3-2-2-23]で複勝率23.3%と好走率は高いが、妙味は薄い。
クロワデュノールは、昨年末のホープフルSを圧勝し、GIタイトルホルダーとして堂々主役を務める。データ分析からも最重要視される「前走1着」をクリアしており、その前走は同じ舞台のGI。レースセンスの良さ、勝負根性は世代屈指だ。休み明けの「中9週以上」組は妙味こそ薄いが複勝率は高く、能力でカバーできる範囲だろう。実績・能力ともに最上位であり、GI・2勝目が濃厚だ。