▲合田直弘が海外競馬の「今」を詳しく解説!(c)netkeiba【合田直弘(海外競馬評論家)=コラム『世界の競馬』】
◆日本から参戦のルクソールカフェも高い支持
12日にケンタッキー州のキーンランド競馬場で行われたG3レキシントンS(d8.5F)をもって、5月3日にチャーチルダウンズ競馬場で行われるG1ケンタッキーダービー(d10F)の出走権を巡るポイントが設定された、「ロード・トゥ・ケンタッキーダービー」が終結した。
G3レキシントンSを制したゴスガー(牡3、父ナイキスト)は、ここで20ポイントを獲得したが、現状ではこのポイントで出走枠に入る可能性は低い。
さらに、同馬を管理するB.ウォルシュ調教師はレース後、中1週でケンタッキーダービーに臨むローテーションはきついとして、二冠目のG1プリークネスS(d9.5F)を目指すことを表明。レキシントンSからケンタッキーダービーに向かう馬はいない公算が濃厚となった。
通算で130ポイント獲得し、ポイントリーダーとなったのがウイットハム・サラブレッズ社による自家生産馬バーナムスクエア(セ3、父リアムズマップ)だ。今季初戦となったG3ホーリーブルS(d8.5F)を制し重賞初制覇を果たした同馬。続くG2ファウンテンオブユースS(d8.5F)は4着と崩れたが、荒天で3日順延されての開催となった前走G1ブルーグラスS(d9F)をハナ差の接戦の末に勝利し、G1初制覇を果たした。前半は後方に待機し、末脚を活かすのがこの馬のスタイル。G1ブルーグラスSは、前半の半マイル=46秒95という速い流れになり、この馬向きの展開となった。20頭立てのケンタッキーダービーで、果たしてこれまでのような競馬が出来るかどうか。
ポイント129で、僅かの差で2位となったのがサンドマン(牡3、父タピット)だ。2歳10月のG3ストリートセンスS(d8.5F)3着、今季初戦のG3サウスウェストS(d8.5F)2着、続くG2レベルS(d8.5F)3着と惜敗が続いた後、前走G1アーカンソーダービー(d9F)を制し、G1で重賞初制覇を果たした。バーナムスクエア同様、この馬も末脚を活かすタイプで、G1アーカンソーダービーも前半の半マイル=45秒21という激流になったことが、この馬には幸いした。
続いてポイント122.5で第3位となったのが、ジャーナリズム(牡3、父カーリン)だ。2歳12月にG2ロスアラミトスフューチュリティ(d8.5F)を制して重賞初制覇を果たすと、今季初戦のG2サンフェリペS(d8.5F)も勝って重賞連勝。前走G1サンタアニタダービー(d9F)は、この馬に加えて、昨年の全米最優秀2歳牡馬で、今季初戦のG3ロバートルイスS(d8F)も勝っての参戦だったシチズンブル(牡3、父イントゥミスチーフ)、ボブ・バファート厩舎の期待馬バーンズ(牡3、父イントゥミスチーフ)らも出走していて、さしずめ西海岸の代表馬決定戦的様相を呈したが、ここをきっちりと勝ち上がったのがジャーナリズムで、重賞3連勝を果たすとともにG1初制覇を果たした。ブックメーカー各社が、オッズ3.5〜4.5倍で前売り1番人気に推しているのはこの馬である。
以下、4月5日にアケダクト競馬場で行われたG2ウッドメモリアルS(d9F)を逃げ切って重賞初制覇を果たしたロドリゲス(牡3、父オーセンティック)が、ポイント121.25で第4位。3月22日にフェアグラウンズ競馬場で行われたG2ルイジアナダービー(d9.5F)を制し重賞初制覇を果たしたティズタスティック(牡3、父ティズザロー)が、ポイント119で第5位となっている。
ポイント上位馬の中で、G3タンパベイダービー(d8.5F)勝ち馬オーウェンオールマイティ(牡3、父スパイツタウン)、欧州・中東枠で出走圏内にいたハートオヴオナー(牡3、オナーエーピー)らが、既にケンタッキーダービー回避を表明。4月14日の段階で、50ポイントを獲得している馬たちまでが、出走当確圏内となっている。だが、ポイント上位馬の中には、まだ出否を明確にしていない馬もいて、ボーダーラインがもう少し下がる可能性もありそうだ。
ブックメーカーの前売りではジャーナリズムが1番人気になっていることを記したが、実はここで、オッズ8〜11倍の2〜4番人気と、非常に高い支持を得ているのがルクソールカフェ(牡3、父アメリカンファラオ)だ。
ケンタッキーダービー当日まで2週間あまり、ここからの動向をしっかりウォッチしたいと思う。
(文=合田直弘)