『呪術廻戦』と『BLEACH』の関係性とは?。
芥見下々による人気漫画『呪術廻戦』。物語が完結しても、話題となっており、その勢いは衰えることを知らない。そんな中で思い起こされるエピソードといえば『週刊少年ジャンプ』で掲載された第223話『人外魔境新宿決戦(1)』ではないだろうか。詳細は伏せるが、そこでは一般的な術式の発動プロセスについて解説が行われていた。本来は「呪詞」(じゅし)や「掌印」(しょういん)などの手順が必要なところを、省略して術式を発動できるのが、腕の立つ術師ということらしい。
今まで作中では当然のように予備動作なしで術式が放たれていたが、どうやらそこには特殊な技術の裏付けがあったようだ。芥見は前々から久保帯人の代表作『BLEACH』へのリスペクトを公言していたが、同作の「詠唱破棄」から着想を得たのかもしれない。
なお、読者の間では“詠唱”の概念が登場したという反応も見られていたが、実は今までにもごくまれに術師が詠唱を行うシーンが描かれていた。代表的なのが、結界術の「帳」(とばり)を使う場面だ。初期からさまざまなキャラクターが発動してきたが、その直前には決まって「闇より出でて闇より黒く」「その穢れを禊ぎ祓え」という言葉が詠まれている。
そのほか、伏黒恵が十種影法術の奥の手である最強の式神「魔虚羅」(まこら)を呼び出す際にも、必ず「布瑠部由良由良」と唱える流れがあった。やはり、強大な力にはそれだけの予備動作が求められるということなのだろうか。第213話「呪胎戴天-伍-」では、来栖華が「邪去侮の梯子」(やこぶのはしご)という大技を放つ際、「光よ」から始まる長大な詠唱を行っていた。
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さらに詠唱を行うのは術師ばかりではなく、第175話「仙台結界(2)」では特級呪霊・黒沐死が強力な式神を召喚する際に「瞎(くらい)」と3回唱えていたのが印象的だ。こうして見ると、呪詞の詠唱という概念が新たに追加された設定ではなく、初期から考えられていた設定であることが分かるのではないだろうか。
また、作中では呪詞と並んで掌印にも言及されていたが、こちらは読者にとっても馴染み深い要素だろう。なにせ領域展開を行う際には、ほとんどの術師が掌印を結んでいるからだ。掌印を結ぶ際には隙ができるため、戦闘時のリスクに直結しているのだが、それでも省略できない理屈が存在するのだろう。
なお、領域展開ではない通常の術式にも掌印を伴うものはあり、過去には五条悟が「掌印の省略」を練習していたことを匂わせる描写がある。『呪術廻戦』を読み返す際には『BLEACH』の影響を考察しながら読むのもまた楽しみが広がるだろう。
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