米エヌビディアの画像処理半導体(GPU)(AFP時事) 【シリコンバレー時事】16日の米株式市場で、エヌビディアなど半導体銘柄が売られ、急落した。中国向けに性能を抑えた製品も、新たに輸出規制対象となったことが背景にある。各社は在庫引当金などの費用を計上。輸出ライセンスの取得に望みをつなぐ。ただ、米中貿易戦争が激化する中、輸出は困難との見方は多く、今後の収益成長に影を落としている。
エヌビディアとアドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)はこの日、いずれも前日比10%の大幅安となった。インテル株は一時5%下落した。半導体の対中輸出規制に対する懸念が売りを誘った。
米政府は既に、生成AI(人工知能)向け先端半導体の対中輸出を規制しており、各社は中国向けに性能を落とした製品を展開してきた。しかし、トランプ政権はこれらの輸出もライセンス取得を求めると各社に通知した。エヌビディアは2〜4月期に55億ドル(約7800億円)の費用を計上すると表明。AMDも8億ドルの費用発生の可能性に言及した。
オランダの半導体製造装置大手、ASMLが発表した1〜3月期の受注額が市場予想を下回ったことも投資家心理を悪化させた。中国のAI企業、ディープシーク(深度求索)が開発した格安モデルが注目される中、「過熱するAI半導体投資は本当に必要なのか?」といった懐疑論が浮上する。
トランプ政権は半導体を相互関税の対象から外したが、近く「分野別関税」として発動する方針。ASMLのダッセン最高財務責任者は「関税を巡る不確実性が(業績に)直接的、間接的に影響を及ぼす恐れがある」と予想。米国の製造拠点への材料の輸入だけでなく、米国からの部品輸出も影響を受けると説明した。