褐色矮星(わいせい)の連星の軌道(画像中央)に対し、惑星が「縦回り」に回っている図解。地球からてんびん座の方向に約120光年離れた所で見つかった(欧州南天天文台提供) 地球からてんびん座の方向に約120光年離れた所に褐色矮星(わいせい)の連星があり、その周囲を惑星が「縦回り」の軌道で回っている可能性が高いことが分かった。連星が公転する様子も、単純に共通の重心の周りを回るのではなく、それぞれの公転軌道の一部が知恵の輪のように重なっている。このような変わった組み合わせが見つかったのは初めてだという。
英バーミンガム大などの研究チームが南米チリにある欧州南天天文台(ESO)の大型望遠鏡VLTなどを使った観測で発見し、米科学誌サイエンス・アドバンシズ電子版に17日発表した。
褐色矮星は、太陽のように水素の核融合で光ることができない小さな星。観測対象の連星は「2M1510A」と「2M1510B」と呼ばれ、質量がいずれも太陽の3%程度しかない。それぞれの公転軌道は楕円(だえん)形で、一部が重なっていることが2018年に判明した。
研究チームがさらに連星の動きを詳細に観測したところ、外側を周回する惑星の重力の影響を受けていることが分かり、連星の公転軌道面と惑星の公転軌道面が直角に交差している可能性が高いと結論付けた。今後、惑星を直接観測できれば、質量や公転周期が分かるという。