トヨタ、なぜデジタル証券を発行?購入者に電子マネー付与、投資家と関係強化

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2025年04月17日 18:00  Business Journal

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トヨタファイナンシャルサービスのプレスリリースより

●本記事のポイント
・トヨタグループがST債「トヨタウォレットST債」を発行し、スマホ決済アプリ「TOYOTA Wallet」を介した特典プレゼントを提供する。
・利息部分は通常のリテール債と同様に日本円払いとし、特典でTOYOTA Walletを付与。
・公募型セキュリティトークン社債=ST債の発行事例は近年、世界的に増加している。


 トヨタグループがデジタル証券に参入する。トヨタグループ初のST債「トヨタウォレットST債」を発行し、スマホ決済アプリ「TOYOTA Wallet」を介した特典プレゼントを提供する。ブロックチェーン技術を用いて権利の移転・記録が行なわれるデジタル化された証券としてセキュリティトークン社債が注目されるなか、社債の募集に際してEDINETで有価証券届出書または発行登録書および発行登録追補書類が提出されているのが公募型セキュリティトークン社債、すなわちST債だ。ST債の発行事例は近年、世界的に増加しているが、なぜトヨタグループはST債を発行するのか。またST債の購入者にとってメリットは何か。トヨタグループに取材した。


●目次



トヨタ「トヨタと個人投資家の方々との結びつきをより強くしていきたい」
従来のほふりとは違い個人投資家の方々の情報をタイムリーに把握

 トヨタウォレットST債の発行は、Progmat社が提供するデジタルアセット発行・管理基盤「Progmat(SaaS)」を活用する。TOYOTA WalletとProgmatの情報連携により、セキュリティトークン発行者または関連事業者はタイムリーに投資家の情報を把握し、最新の情報をもとに役務提供を行う。


 本ST債を購入すると、TOYOTA Walletアプリを通じて各種特典を得ることができる。例えば、TOYOTA Wallet残高として、10〜40万円購入の場合は1000円相当分、50〜90万円購入の場合は5000円相当分、100万円以上購入の場合は1万円相当分を得ることができる。


トヨタ「トヨタと個人投資家の方々との結びつきをより強くしていきたい」

 トヨタウォレットST債の発行の目的・背景について、トヨタファイナンシャルサービスはいう。


「自動車産業は電動化・自動運転・MaaSの広がりなど100年に一度の大変革の時代を迎えています。トヨタファイナンシャルサービス及びトヨタファイナンスでは、『トヨタのお客様を中心に健全な金融サービスを提供し豊かな生活に貢献する』というグループミッションのもと、一人一人のお客様に安心して車にお乗り頂くための金融サービスをトヨタ自動車及び販売店の皆様との強固な連携のもと展開してまいりました。また、未来のモビリティの可能性を追求した金融サービスの開発にも日々取り組んでおります。今回トヨタグループ初のST債は、ブロックチェーン技術を活用することにより、トヨタと個人投資家の方々との結びつきをより強くしていきたいと考えています」


従来のほふりとは違い個人投資家の方々の情報をタイムリーに把握

 具体的にどのような仕組み・システムで発行されるのか。


「セキュリティトークン(Security Token)とは、株券や社債券などの有価証券に表示される権利を、電子情報処理組織(本セキュリティトークン社債ではProgmat)を用いて移転することができる財産的価値(「トークン」と表現されることも多いです。)に表示したものです。


 この仕組みでは従来のほふりとは違い個人投資家の方々の情報をタイムリーに把握でき、その特性を活用し特典プレゼントを行っております。詳細な仕組みについては以下ご参照くださいませ。
URL:https://progmat.co.jp/wp-content/uploads/2024/11/press241101_01.pdf」(同)


 では、本ST債の購入者のメリットは何か。


「本ST債は、利息部分は通常のリテール債と同様に日本円払いとし、特典でTOYOTA Wallet(電子マネー)を付与する商品構成です。既存のリテール債の同様としながら、特典としてTOYOTA Wallet残高をプレゼントすることで、社債購入者様にメリットのある仕組みだと考えております」(同)


 本ST債の販売は大和証券、社債原簿管理人は三菱UFJ信託銀行、社債管理者は三菱UFJ銀行が担う。


(文=BUSINESS JOURNAL編集部)



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