
飼い犬や飼い猫などの動物と過ごす時間は、たとえ短い期間でもかけがえのない思い出になります。SNS上では動物とのふれあいを描いた漫画は数多く投稿されていますが、なかでも漫画家のくるねこ大和さんがInstagramに投稿した作品『来福』は多くの反響を呼んでいます。
【漫画】いなくなった後も、ふとニオイを感じる瞬間が…「来福」全編を読む
物語は年末の寒い日に、くるねこさんが道端で衰弱した一匹の猫を見つけるところから始まります。くるねこさんは、ガリガリに痩せていたその猫を連れて帰り「来福」と名前をつけて世話をしたものの、来福は2週間ほどで天国へ旅立ってしまいました。
くるねこさんのお家では、猫が旅立つとその子がいた場所をすぐにきれいに片付けるそうです。特に来福は口内炎と出血でニオイがあり、入念に掃除します。掃除によって部屋は元どおりになったものの、くるねこさんは部屋のなかでなぜか来福のニオイを感じるのでしたが。
初めは気のせいと思っていたくるねこさんでしたが、何度もニオイを感じるので、来福にお線香をあげてお湯やご飯をまつり「よく頑張ったね」と手を合わせます。その瞬間、くるねこさんの目から大量の涙が溢れ出し、お葬式の時よりも泣いてしまうのでした。
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同作の読者からは「きっとくるさんちの居心地がよかったんだね」「幸せだったんだろうな、と思えて、涙が止まりません」など、たくさんの感動の声が寄せられ「私もあります。亡くなった子のにおいがフワッと一瞬して、遊びに来たんだねっておかえりって伝えてます」など、ペットを見送った経験のある人たちから、「自分にも同じことがあった」というエピソードが次々と寄せられます。作者のくるねこ大和さんにも、当時の話を詳しく聞きました。
ー来福ちゃんは、出会った当時子猫だったのでしょうか?
爪や歯の様子からしてシニアでしたね。見た目が秋に中庭で捕獲した胡ねこ丸(生後4カ月くらい)を痩せさせたくらいの大きさしかなかったので仔猫だと勘違いしていました。
ー来福ちゃんのお名前は、どのような思いを込めて名付けられたのでしょうか?
家にいる時は「ガリガリ君」と呼んでました。でも彼が亡くなり葬儀場に行き、名前を訊かれた時に『来福』と答えました。一陽来復、この世では苦難ばかりだった彼が次の生では良いことばかりでありますように、という願いを込めて。
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ーふわっと香る来福ちゃんのニオイとはどんなニオイだったのでしょうか?
血の臭いですね。もう独特です。ふわっと香るという表現にはふさわしくない臭いでしたが、実はもう今現在はほとんど血の臭いはしません。
ーお湯とご飯をお供えされた時を振り返って、なぜその時涙がこぼれたのだと思いますか?
お弔いの時は、消毒や通院、看病、看取りで疲れ果てていて、正直ボンヤリしていました。だから、ちゃんと泣く余裕がなかったんです。でも日常に戻ってしばらくして、ようやく心に余裕ができたので涙があふれたんじゃないかなと思いました。
でも『来福が流した涙じゃないか』と言われて、もしかしたら本当にそうなのかもしれないなーと。きっと来福も一緒に涙を流したんだって、そのほうがなんかいいですよね。
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(海川 まこと/漫画収集家)
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