新入社員に知ってほしい「上司が言いたくても言えない本音」

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2025年04月18日 07:11  @IT

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@IT

気を付けて!!!

 新入社員の皆さん、入社おめでとうございます! 大変だった就活を乗り越え、ようやくここまでたどり着きましたね。


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 入社してから多少の時間が経過したとはいえ、学生時代との違いに戸惑っている方もいれば、まだ慣れない社会人生活に日々緊張してる方もいるかもしれません。


 でも、安心してください。時間とともに、きっと慣れていくと思います。


 さて、既に上司が誰になるのか分かっている方もいれば、いまはまだ研修中で配属先が決まっていない方もいるでしょう。いずれにしても、近々「上司」と呼ばれる人と一緒に働くことになろうかと思います。


 そこで今日は、新入社員の皆さんに伝えたい「上司の本音」を、お話ししてみます。


●上司が「言いたくても言えない事情」


 僕は、職場の組織作りやコミュニケーションに関する企業研修や講演を行っています。そのため、管理職の方々と接する機会が多くあり、次のような声をよく聞きます。


自分が若い頃と価値観がまったく異なるため、どのように接したらいいのか分からない


本当は言いたいことがあるのだけれど、パワハラやモラハラと言われないか心配


 多くの管理職たちは、本当は新入社員の皆さんといろいろと話をしたいし、自身の経験から「○○を学んでおいた方がいい」といったアドバイスや、「大切なマインド」といった話もしてあげたい。けれども、「今どき、マインドみたいな話は嫌われるんじゃないか」「これを言ったら、パワハラやモラハラに当たるじゃないか」と、かなり用心しながら若手に接しているようなのです。時には、過度に用心するが故に変な伝え方になることも……。


 パワハラやモラハラを過度に気にして、コミュニケーションを取ること自体を諦めてしまう人もいます。先日、ある管理職の人はこう言っていました。「本来なら、『ここはちゃんと言った方がいいな』と思うこともあります。でも、パワハラ、モラハラと言われるリスクを考えると、正直『深く関わらないのが一番楽だな』と思うこともあります」


 また、最近では退職代行を利用する人が増えているそうです。「自分の関わり方のせいで退職されてしまうんじゃないか」と心配している管理職の方もいました。


 僕自身、声が大きめの人や、ストレスをかけて人を動かそうとする人、理不尽なことを平気で言う人……といった、パワハラ気質な人が得意ではありません。また、意味のない精神論も。


 一方で、こうした管理職の不安が過度に広がると、本来、新入社員の皆さんが成長する上で、あるいは、危険にさらされないようにする上で「必要な情報が得られない恐れがあるかもしれないな」と、心配になることがあります。


●伝えられるべきアドバイスが得られないと起こり得ること


 ここでいう「成長する上で、あるいは、危険にさらされないようにする上で必要な情報」を感覚的に理解するために、僕たちが働く環境を「戦場」に例えて話をしてみます。


 当然ですが、戦場にはさまざまな危険やリスクがあります。必要な装備を身に着けていないと、銃で撃たれるなど、身を守れない恐れがあります。


 そういった危険やリスクを知っている人は、まだ、現場に慣れていないメンバーに対して、こんなアドバイスをするでしょう。「これ以上前に行くと危険だから、絶対に行くな!」「そんな軽装じゃ危ないぞ! 必要な装備を身に着けろ!」と。


 こうしたアドバイスがなく、「まぁ、こんな感じかな?」と自己判断だけで戦場に足を踏み入れてしまったら、恐らくすぐに命を落としてしまうでしょう。


 もちろん、これはあくまでも例え話です。僕たちが働く環境は戦場ではありません。ですが、ビジネスの現場にも仕事をする上で気を付けた方がいいことはあるし、身に付けておいた方がいい知識やスキルがあります。


 新入社員にとって大切な情報を、管理職が過度に遠慮することなく伝えられ、皆さんが適切に受け取れる関係があるといいな、と思うのです。


●お互いに「どこまでなら大丈夫か」を伝え合う大切さ


 先日、世代間コミュニケーションに関するワークショップに登壇しました。参加者は、ある大学の学生20人ほどと、いろいろな企業の管理職20人ほど。5〜6人のグループに分かれて、それぞれの立場で思っていることを共有し合うワークショップで大学生たちから聞こえてきた2つの声が、とても印象的でした。


 1つは「管理職の人たちが、私たち若い世代のことをこんなにも考えてくれているとは思っていなかった」という声。もう1つは「気遣っていただけるのはありがたいけれど、パワハラやモラハラと言われないかどうか恐れるがあまりに、必要なことを伝えてもらえないのはもっと困る。必要なことは伝えてほしい」でした。


 管理職たちは、若い世代に対して、「これは、言って大丈夫なのかな?」という不安がある。若い世代の皆さんは、いろいろ経験してきた先達から「伝えてほしい」ことがある。


 このワークショップを通じて、お互いの状況や気持ちを事前に伝え合うことって「大切だな」と思いました。


●これから関係を構築するいま、気持ちを伝えてみる


 ただ、こうしたやりとりは、お互いに何の利害もないからできることだと承知しています。実際には、新入社員から上司に「必要なことは遠慮なく言ってください」「必要なことを伝えてもらえないのはむしろ困るので、言っていただいた方がありがたいです」と伝えるのは難しいですよね。こうした関係性の構築は、管理職側から働き掛けるのが一般的だと思います。


 ですが、既にお話しした通り、管理職は管理職で「どこまで言っていいのか」で悩んでいます。このままでは、お互い平行線のままです。


 幸いなことにいまの時期は、「個別面談」をはじめとした上司と対話する機会が多いと思います。その際、話の流れで「他に、聞いておきたいことはない?」とか、「言っておきたいことはない?」といった話になるケースも多いでしょう。


 そういった機会があれば、少し勇気を出して「伝えるべきだと思ったことがあったら、教えていただく方がありがたいです」と、伝えてみるのもいいかもしれませんね。


 また、管理職たちからよく相談されることの一つに「飲み二ケーション」があります。本音では「ざっくばらんな会話をしたい」と思っているようですが、「最近の若い世代は飲みに行きたがらない」といったメディアの情報に、「若い世代を飲みに誘ってはいけないのではないか」という声を、非常に多く聞きます。


 ですが、先日話した入社2年目の方は、次のように話していました。「世の中の風潮的に、『飲み会はよくない』みたいになっていますが、尊敬できる先輩となら飲みに行きたいし、いろいろな話も聞きたいと思っています」――もちろん、意見はさまざまかもしれませんが、こういった意見の方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。


 もしも、皆さんが飲み二ケーションのような場が好きで「誘ってほしい」と思っていたら、最初の面談などで伝えておくと、管理職の方々も誘いやすくなるかもしれませんね。


●お互いがうまく関われるように情報を提供してみる


 近年のコミュニケーションギャップは、メディアなどから伝えられる「○○世代の考え方は□□だ」といった情報をうのみにするがあまり、本当は、相手がどう思っているのか、何を望んでいるのか分からぬまま、過度に「××してはいけない」と、管理職も新入社員も思っているようです。


 でも、相手がどう思っているのかは人それぞれであり、聞いてみなければ分からない。こうしたコミュニケーションギャップを埋めるためには対話をするしかないし、どちらか一方のアプローチを待つだけではなく、少しの努力でできる、半径2メートルの小さな行動が大切なのではないかと思っていて。


 繰り返しになりますが、新入社員の皆さんから気持ちを伝えるのは難しいし、勇気がいることですよね。ですが、管理職たちも「いい関係を築きたい」と思っているし、「新入社員たちが本当はどう思っているのか」を知りたい人も多いです。


 これから関係を構築するできるだけ早い段階で、ほんの少し勇気を出して気持ちを伝えてみると、管理職との理解が進んで、関係構築しやすくなるのではないかなぁと思います。


 皆さんの社会人生活が、楽しく充実した日々になりますように!



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