
3歳牡馬ランキング(後編)
◆前編:打倒クロワデュノールを期待できる馬は?>>
牡馬クラシック第1弾、GI皐月賞(4月20日/中山・芝2000m)を目前にしての、3歳牡馬の『Sportivaオリジナル番付(※)』。1位、2位に評価されたのは、どの馬なのか。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、JRAのホームページでも重賞データ分析を寄稿する競馬評論家の伊吹雅也氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、クラシックに挑む3歳牡馬の、現時点における実力・能力を分析しランクづけ。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。
2位には、前回3位のサトノシャイニング(牡3歳/父キズナ)が入った。GII東京スポーツ杯2歳S(11月16日/東京・芝1800m)でクロワデュノール(牡3歳/父キタサンブラック)相手に2着と奮闘。その後、GIIIきさらぎ賞(2月9日/京都・芝1800m)では後続に3馬身差をつける完勝劇を演じた。
土屋真光氏(フリーライター)
「前回のランキングでは、エリキング(牡3歳/父キズナ)のほうを上位に見ていましたが、エリキングが勝ったGIII京都2歳S(11月23日/京都・芝2000m)の出走馬は、2着ジョバンニ(牡3歳/父エピファネイア)以外、その後のレースでさっぱり。
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片や、きさらぎ賞でサトノシャイニングが負かした面々は、2着リンクスティップ(牝3歳)がGI桜花賞で3着と好走し、3着ランスオブカオス(牡3歳/父シルバーステート)がGIIIチャーチルダウンズC(4月5日/阪神・芝1600m)を快勝。レースレベルが高かった証拠でしょう。
東スポ杯2歳Sでも、サトノシャイニングはクロワデュノールに最後まで食い下がっていました。行きたがる気性と、コーナーで少し膨らむ点は気になるものの、現状では『打倒クロワデュノール』の一番手と見ます」
吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「東スポ杯2歳S2着のあとはGIにも目もくれず、年明けはきさらぎ賞から始動。まだ頭が高く、トモ腰もパンとしていない状態を踏まえて、成長を促すためのローテだったと思いますが、きさらぎ賞時の攻め&パドックの気配からは、思ったほどの成長を感じませんでした。
ところが、流れがドンピシャだったとはいえ、レースでは他馬を外からあっさりとかわして差しきり勝ち。地力の高さを再認識しました。その後、この2カ月でどれだけ成長したのか、とても楽しみ。その度合いによっては、クロワデュノールとの差は縮まっているかもしれません」
1位は、今回もクロワデュノール。前回に続いて満票だった。圧勝したホープフルS以降の出走はなくても、そこで負かした馬たちがその後の前哨戦、トライアルでことごとく勝利を飾って、盤石の地位を築いている。皐月賞、さらにはGI日本ダービー(6月1日/東京・芝2400m)と、春の二冠達成なるか、大いに注目される。
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吉田氏
「これまでの3戦で負かした相手、レースぶりなどから『1強』と称されても誰もが納得でしょう。関西馬でありながら、ダービーの予行練習として出走することの多い東スポ杯2歳S、そして皐月賞と同じ舞台のホープフルSに出走し、いずれも結果を出していることは、最大の強調材料。関東圏への輸送にも慣れていて、春のクラシックへの不安要素はありません。
あえて重箱の隅をつつくなら、ゆったりとしたローテーションとはいえ、過去に3度の長距離輸送をこなしていること。しかも、レースでは常に全力で走るタイプですから、見えない疲れがあるかもしれません。
帰厩後、実質的に長めから追われたのは、3月26日。時計は出ていましたが、まだ本来の状態にはない印象でした。そこから、まだ3週ありましたが、その間の調教過程と中身については、要チェックでしょうね」
土屋氏
「求められる適性が異なる、東京・芝1800mの東スポ杯2歳Sと、中山・芝2000mのホープフルS。その両方を余裕たっぷりの内容で制している時点で、同世代のなかでは能力がずば抜けていることは明らか。同じローテーションで三冠馬となったコントレイルにも通じる雰囲気が感じられます。
さらに、これまでに負かした馬たちが、年が明けてからの重賞やオープンクラスで次々に勝利を飾っている状況。結果、皐月賞では勝負づけが済んだ相手ばかりとの再戦となり、そこで大きく崩れることは考えにくいです。
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ひとつだけ懸念材料を挙げるとすれば、馬体重の増減。2走前がプラス24kgで、前走ではマイナス8kg。そこからまた、大きく変動があるようだと、あまりいい印象は持てません。
ともあれ、多少調整が順調でなくても、皐月賞では力の違いであっさり、という可能性は十分。もしそうなったら、春の二冠までは確約できると言っていいでしょう」