
第一子を授かった夫婦にとって、出産は大きな喜びでもあり試練の場でもあります。女性は「鼻からスイカ」と称されるほどの痛みに翻弄され、男性はそんな妻をただただ見守ることしかできません。主婦の加鳥アサさんは、そんなドラマチックな実体験を描いた漫画『命が生まれるとき』をnoteに投稿し、注目を集めました。
【漫画】頼むから…落ち着いて産ませてくれませんか!? 「命が生まれるとき」全編を読む
初めての出産を控えていた加鳥さんは、ある時出産経験のある義妹に軽い気持ちで「鼻からスイカの痛みってよく言うけどほんと?」とたずねました。すると義妹から返ってきたのは「鼻からマンションかな…」という衝撃の答えでした。予想外の答えに恐れおののきつつ、加鳥さんはついに出産の日を迎えます。
出産予定日を迎えた夜、特に変わった兆候もないまま床についた加鳥さんでしたが、少しずつ痛みを感じ始めます。ひとりで痛みに耐えながら、スマホのアプリで痛みの間隔を測ると10分おきにきていることが分かり、ついに陣痛だと確信します。
翌朝、産院に到着した加鳥さんは、陣痛室で子宮口が開くまで夫と待機することになりました。いったんは落ち着いたものの、再び痛みの波が加鳥さんを襲います。徐々に強くなる痛みに耐えること数時間、ついに段違いの激痛が到来。声を出す余裕もなく、心の中で「夫!今やで励ます時は!!」と叫びながら夫の方を見ると、思いがけない光景が広がっていました。
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なんと、夫の視線はテレビに映る大谷翔平に釘付け。目の前で必死に痛みに耐えている妊婦をよそにしたまさかの行動に加鳥さんの怒りは爆発し、陣痛室に殺伐とした空気が漂います。
そこへ突如、「失礼しますーー」とお昼ごはんの「特製あいがけカレースペシャルプレート」を運んできたスタッフが登場するのでした。陣痛に苦しむ加鳥さんは、とても食事どころではありません。するとスタッフが「奥さん難しそうなら、旦那さん食べちゃって。もったいないしー」と言います。なぜか夫が特製プレートを食べる展開に、さらに加鳥さんの心は荒ぶるのでした。
その後も激しい陣痛に耐えながら、なんとか出産を終えた加鳥さんは、ぼんやりと「次があるなら、絶対に無痛分娩にしよう…」と心に誓います。こうして壮絶な初産を乗り越えた加鳥さんに、作品について詳しく話を聞きました。
ー的外れなことをする旦那さんに対して加鳥さんがツッコミを入れるシーンが印象的でした。この漫画を読んだ旦那さんはどんな反応をされましたか?
実は、旦那にはまだ読んでもらってないんです…(笑)。この記事が何気なく目に入って、ひょんなことから読んでくれたら…くらいの気持ちですね。まあ、知られなかったら知られないままでも大丈夫です(笑)。
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ー心の中で、旦那さんへのツッコミをゴリラが代弁していた描写がとても面白かったです。どうしてゴリラの描写にされたのでしょうか。
冷静な自分と本能むき出しの自分を分けたくて、ツッコミ担当をゴリラにしました。ライオンとかクマでもよかったんですけど、ヒトに近い姿の方が面白いかなと思ってゴリラに。あと、人間が言うとキツすぎることも、ゴリラなら多少マイルドになるかな?と思ったんですけど…ならなかったですね。
ー出産を終えた今、出産の痛みは鼻から何だと思いますか?
「鼻からマンション出した後、鼻をトラックで踏まれる」 ですね。出したら終わりじゃなくて、その後も普通に痛い!
ー出産を控えている妊婦さんと付き添いの旦那さんにメッセージをお願いします。
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これから出産を迎える妊婦さんへ。もうね、想像を超えてくる痛みと戦うことになるんですけど、ちゃんと終わりは来るし、「私は神…!」って思うくらいの達成感があります!あと、産んだ後もいろいろ痛いので、「出産=ゴール」じゃなくて「出産=マラソンの折り返し地点」くらいの気持ちでいるといいかも(笑)
付き添いの旦那さんへ。まず 「出産中の妻に余計なことを言わない」 これを徹底してください(笑)。あと、赤ちゃんが生まれた瞬間って本当に奇跡みたいな瞬間なので、その場にいるならしっかり目に焼き付けてほしいですね。そして、産後の妻には心からの感謝の気持ちと「おつかれさま!」と「ごはん何が食べたい?」「家のことはまかせて」「他にやって欲しいことある?」「ゆっくり寝てて」「スタバ買ってこようか?」とかですね(笑)。妻にはとことん優しくしてください!(笑)。
(海川 まこと/漫画収集家)