記者の質問に答えるSBIホールディングス(HD)の北尾吉孝会長兼社長=17日午後、東京都港区 SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長は17日の記者会見で、フジテレビの親会社フジ・メディア・ホールディングスの改革に名乗りを上げた。ライブドアがフジ支配を狙って買収を仕掛けた20年前のニッポン放送株争奪戦で、フジ支援に回った北尾氏。今回は、フジに対抗する米投資ファンドの取締役候補として再登壇し、「敵対するなら徹底的に勝負する」と宣言した。
「堀江君には悪いことをした。当時の判断が外れていた」。会見で北尾氏は、実業家の堀江貴文氏が率いていたライブドアによる買収を阻んだことを悔やんだ。ガバナンス(企業統治)不全を指摘したフジ第三者委員会の調査報告書を読んで考えを改めたのだという。
20年前、北尾氏はニッポン放送からフジ株を「預かる」ことでライブドアによる買収を防ぐ「ホワイトナイト(白馬の騎士)」の役割を果たした。その結果、ライブドアはフジと和解し、ニッポン放送株を手放した。
当時、フジ会長として買収防衛に奔走したフジHDの日枝久取締役相談役は今年6月で表舞台から姿を消す。元タレント中居正広氏の性加害を巡る問題で、経営責任を問われた。
一方、堀江氏は動画SNSでフジHD株の取得を明らかにし、6月の株主総会への参加を視聴者に呼び掛けた。北尾氏は堀江氏を評価した上で、フジ再生に向けて堀江氏が招聘(しょうへい)される可能性に触れ、「会社側や米ファンドが言うなら反対するつもりはない」と話した。
フジHD株を巡っては、ニッポン放送株争奪戦に関わった村上世彰氏の長女、野村絢氏らが3月下旬から買い増しを続け、保有比率は11%を超えた。北尾氏が率いるSBIグループの資産運用会社レオス・キャピタルワークスも5%超を保有しているが、藤野英人社長は17日、別の記者会見で「自由に投票せよと言われている」と述べ、独自に判断する考えを強調した。

ニッポン放送株争奪戦で和解し、握手するライブドアの堀江貴文社長(左)とフジテレビの日枝久会長(肩書は当時)=2005年4月18日