iPhone 16eの実力は?カメラ機能を小旅行で試してみました 2月28日に新しいiPhone 16eが発売されました。毎年恒例の9月とは異なるタイミングで登場するモデルということもあり、iPhone SEシリーズの新モデルを予想していた人もいたかもしれませんが、出てきたのは最新ナンバリングシリーズの「16」に連なるモデルでした。さっそく小旅行でカメラ性能の実力を試してみました。
その他の画像はこちら iPhone 16はすでに16 Pro Max、16 Pro、16 Plus、16の4モデルをラインアップしています。価格でいえば、これまでもっとも安価だったiPhone 16が12万4800円〜(Apple公式ストア価格)なのに対して、iPhone 16eは9万9800円〜。価格レンジが下に延びたことは歓迎すべきことです。
もちろん、iPhone SEシリーズの次を期待していた人にとっては、9万9800円も高く感じられるでしょう。iPhone SE(第3世代)の価格は7万円台なので、その差額は2万円以上になります。
ただ、iPhone 16eの性能はiPhone SEのラインとは一線を画していて、最新ナンバリングシリーズならではの先端テクノロジーや便利な機能を実装しているのは重要なポイントといえます。本記事ではiPhone 16eのカメラがどのような可能性を秘めているのかについて、小旅行の中で試してみました。
●iPhone 16eのカメラスペックをおさらい
まずはiPhone 16eのカメラのスペックを確認しておきましょう。分かりやすい特徴が、アウトカメラがシングルレンズになっていることです。
iPhone 16はデュアル、iPhone 16 Proはトリプルレンズを採用しているので、その違いは一目瞭然。ただ、搭載しているレンズは最大4800万画素の広角レンズで、上位機種にも備わっているものと共通です。
シングルレンズと聞いて、iPhone SEを想起する人も多いかと思いますが、こちらは第3世代でも最大1200万画素なので、スペック差は歴然です。また、iPhone SEが光学1倍ズームなのに対して、iPhone 16eはツーインワンのカメラシステムを採用していて、光学2倍ズームまで対応します。
ハードウェアにおいて他のiPhone 16シリーズと異なる点として、カメラコントロールを搭載していないことも挙げらます。これは本体側面に備わったインターフェースで、より直観的な撮影を可能にしてくれる、最新世代から採用された新ギミックです。
またソフトウェアでは、ポートレートとフォトグラフスタイルが前世代のものになっています。
●実際のシーンでiPhone 16eのカメラ性能を検証
今回は神奈川県の江の島でiPhone 16eのカメラ性能を検証してみました。上位機種との比較を交えながら、所感をレポートします。
(1)高所からの景色
江の島のシンボルであるシーキャンドルや相模湾を一望できる高所から通常の設定で撮影してみたところ、非常に満足な仕上がりの1枚を記録することができました。雲のディテールを描写していて、空と海の青の色表現にも幅広さが感じられます。上位機種と比較しても遜色なさそうです。
一方で不満に感じたのは、選択できる画角の幅が狭いことです。超広角レンズ搭載のカメラを使い慣れていたこともあって、風景の全景が収められないのには少し物足りなさを感じました。上位機種と比較したときの、もっとも分かりやすい違いといえそうです。
(2)動きの速い被写体
ちょうど撮影中にトンビが低い高さで飛んでいたので、こちらにもレンズを向けてみたところ、思いのほかブレの少ない写真を撮影することができました。動きの速い被写体でもこれだけ綺麗に撮影できることからも、基本性能の高さがうかがえます。
(3)人物
人物のポートレート撮影も試してみました。海を背景に撮影してみたところ、手前の柵も含めて綺麗にボケがかかり、手間をかけずに人物の輪郭がはっきりとした狙い通りの写真を撮影することができました。被写界深度コントロールも使えるので、ボケ具合も簡単に調整できます。
他のiPhone 16シリーズとの違いは、被写体を指定してピンとを合わせるフォーカス機能には対応していないことです。人物以外には機能が適用されないので、ペットのポートレート撮影などを頻繁に行う人には注意が必要かもしれません。
全体の感想として、iPhone 16eのカメラで撮影できる写真はかなり高品質です。ただし、超広角撮影ができなかったり、機能で最新世代ではないものがあったり、シーンの幅はややPhone 16シリーズの他のモデルより狭くなることは認識しておく必要があります。
もっとも「そこまでの機能は求めていないので、普通に綺麗な写真が撮影できればよい」という人にとっては、10万円を切るコスパは魅力的でしょう。
●Apple Intelligenceで編集や検索がもっと楽に
カメラ性能の検証からはズレますが、iPhone 16eの最大のメリットといえるApple Intelligenceについても触れておきましょう。テキスト生成や画像生成など幅広いシーンで活躍する次世代iPhoneの目玉機能で、写真編集にもその恩恵を受けています。
具体的には、写真の中の不要なオブジェクトを指で囲んでなぞるだけで消去できる「クリーンアップ」がとても便利です。似た機能は現在多くのスマホが採用していますが、iPhoneのクリーンアップはとにかく簡単で精度も高いのが特徴です。
今回の江の島での小旅行中に寄ったカフェで撮影した写真にゴミが残っていたので、クリーンアップを試してみたところ、ゴミの影も残らず、再現された机の木目も非常に自然な印象でした。写真の編集画面に追加されているので、ぜひ新しいiPhoneを買ったらチェックしてほしいです。
また4月から提供を開始した「ビジュアルインテリジェンス」も、旅行中や街歩きの際に重宝しそうです。ワンタッチで指定のアクションを呼び出せるスマートボタンに登録しておけば、気になったものを見つけたときにすばやく画像検索できます。
●ついに「iPhone 16e」がNo.1に!
最後に、気になるiPhone 16eの人気をチェックしてみましょう。データは、家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」によるスマートフォンのシリーズ別販売台数シェアになります。集計期間は直近の4月7日〜13日の1週間になります。
BCNランキングによると、ついにiPhone 16eが1位を獲得。シェア16.5%で、2位のiPhone 16(15.8%)を抜きました。ちなみに、トップ10の中では3位にiPhone 15(13.2%)、7位にiPhone 16 Proが入っています。データからも、iPhone 16eの人気の高さがうかがえます。(フリーライター・小倉 笑助)
■Profile
小倉笑助
家電・IT専門メディアで10年以上の編集・記者経験を経て、現在はフリーライターとして家電レビューや経営者へのインタビューなどをメインに活動している。最近は金融やサブカルにも執筆領域を拡大中
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。