●この記事のポイント
・SBGはOpenAIに対し年内に営利企業化することを求めており、達成できない場合はSBGは出資額を200億ドルに減額する可能性
・世界では生成AIはまだ開発に重点が置かれているというのが現状で、収益化はこれから
・営利企業と非営利企業ではガバナンスのあり方も違ってくる
米OpenAIは先月、ソフトバンクグループ(SBG)などから400億ドル(約6兆円)の出資を受けることで合意したと発表したが、ロイター報道によれば、SBGはOpenAIに対し年内に営利企業化することを求めており、達成できない場合はSBGは出資額を200億ドルに減額する可能性があるという。なぜSBGはこのような要求を行っているのか。また、世界では生成AI競争が過熱しているなか、事業化・収益化という面ではどうなっているのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。
●目次
SBGとOpenAIはAI共同開発事業「Stargate Project(スターゲート・プロジェクト)」を推進しており、SBGは1月、AIインフラストラクチャを米国内で構築するため今後4年間でスターゲートが5000億ドルを投資すると表明。両社の蜜月ぶりが世界的にも注目されているが、なぜSBGはOpenAIに対して早急な営利企業化を求めているのか。
エッジAIプラットフォーム「Actcast(アクトキャスト)」を提供するIdein株式会社の中村晃一CEOはいう。
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「SBGがこうした要求をするのは、ある意味で当然といえます。まず、基本的には投資に対してリターンを確保しなければなりません。非営利企業のままですと、確保できるリターンが限定的になってしまいます。出資者としてリターンを最大化したいと考えるでしょうし、出資先に対して営利組織として利益の確保を考えてくださいというのが一番でしょう。特にOpenAIは現時点では業績的には赤字であり、黒字化ができていないという背景もありますから、きちんとプロフィットのことを考えてくださいと言っているのだと思われます。
また、営利企業と非営利企業ではガバナンスのあり方も違ってきますので、株主として経営のガバナンスを強化させたいという考えもあるのではないでしょうか」
米調査会社ガートナーの調査によれば、2025年の世界の生成AI支出は前年比76.4%増の6440億ドルとなる見通しとなるなど、急速に市場が拡大している。だが、開発競争を繰り広げる事業者の収益化はどうなっているのか。
「まだ開発に重点が置かれているというのが現状で、収益化はこれからです。OpenAIに加えて、グーグル、アマゾン・ドット・コム、Anthropic(アンソロピック)、Perplexity(パープレキシティ)なども、収益化よりも技術競争のほうに重点を置いている段階です。将来的には事業化を目指すということになるでしょうが、現状ではまだ多くの企業が生成AI部門に関しては赤字でしょう。
とはいえ、収益化してビジネスとして成立するまでに10年かかるかといわれれば、そんなに先ではなく、2、3年先くらいではないでしょうか」
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(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=中村晃一/Idein代表取締役CEO)
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