【競馬予想】皐月賞はぶっつけローテが定番の昨今、トライアルを叩き台にして挑む実績馬が不気味

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2025年04月19日 07:01  webスポルティーバ

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ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

――牡馬クラシック第1弾のGI皐月賞(中山・芝2000m)が4月20日に行なわれます。

大西直宏(以下、大西)昔に比べると、2歳重賞が増えて、クラシックへ向かう路線も多様化し、今や前哨戦やトライアルを使わずに本番へ挑む"ぶっつけローテ"が主流。自分が現役だった頃を思うと、隔世の感があります。

――確かに今年の出走メンバーは、キャリア3〜4戦が大半。最も走っている馬でも6戦です。大西さんが騎乗して1997年の皐月賞を制したサニーブライアンは、同レースが9戦目でした。

大西 当時2000m戦(現在は1600m戦)だった1月のオープン特別・ジュニアC(中山)を勝って(皐月賞出走の)賞金は足りていましたが、GII弥生賞(3着。中山・芝2000m)、オープン特別の若葉S(4着。中山・芝2000m)を使って皐月賞に臨みました。

 サニーブライアンはそこまで大物感はなく、皐月賞でも11番人気と人気薄でしたから。レースではいろいろな要素がかみ合って、勝つことができた、という感じでしたね。

――具体的には、どのあたりが追い風になったのでしょうか。

大西 まず、それまでのレース内容から「皐月賞は何とか逃げたい」と考えていたのですが、馬のタイプ的に真ん中から内目の枠を引いて、外からかぶされたらアウトだなと思っていました。ですから、「できれば、大外の18番枠がほしい」と祈りながら、公開の枠順抽選会(現在は有馬記念のみ)に参加したのを覚えています。それで、確か6、7番目に抽選機のガラガラを回すと、運よく18番を引き当てたんです。

 そして、皐月賞本番では弥生賞、若葉Sでハナをきられた馬(スーパーマクレガー)がいなかったのも助かりましたね。そのうえで、同馬の鞍上だった中舘英二騎手(現調教師)から「こうしないとダメだよ」と"逃げ"のアドバイスをもらうこともできたのは大きかったですね。

 実際のレースでは、1コーナーを回る際に一旦他馬にハナを譲る形になりましたが、相手が早めに下がってきて3角すぎから仕掛けていったのが、結果的に大正解。大番狂わせを起こすことができました。

 レース直前、担当の厩務員とは「8着までには何とか入りたい」と話していたくらいだったので、まさか勝てるとは......。あの皐月賞の勝利は枠順と乗り方が最高にマッチした結果ですが、自らのジョッキー人生を変える、かけがえのないクラシック初制覇でした。

――さて、今年の皐月賞。あらためて、出走メンバーをご覧になっての印象を聞かせてください。

大西 2歳王者をはじめ、各前哨戦、トライアル戦の上位組まで、世代上位のメンバーがこぞって参戦。これだけの好メンバーがそろったのも、トライアル戦が1週前倒しなるなど、日程変更がプラスに働いた部分はあるでしょうね。

 ともあれ、3戦3勝の2歳王者クロワデュノール(牡3歳)がここでも頭ひとつ抜けた存在と見ます。昨年暮れのGIホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)以来となるぶっつけローテゆえ、仕上がり面がポイントになりますが、まともな状態でゲートを出れば、負けるシーンはあまり想像できません。

 あと注目は、GII東京スポーツ杯2歳S(11月16日/東京・芝1800m)でクロワデュノールと接戦を演じたサトノシャイニング(牡3歳)。まだ底を見せていないので、折り合いさえつけば、上位争いへの期待は十分にあります。

 もう1頭、3戦3勝馬のエリキング(牡3歳)も人気の一角でしょうが、骨折明けで、皐月賞には"間に合った"という印象。皐月賞よりGI日本ダービー(6月1日/東京・芝2400m)狙いだと思うので、勝負度合いからすると、クロワデュノールやサトノシャイニングほど食指は動きませんね。

――ほかにも楽しみな面々がズラリと控えていますが、一発狙えそうな穴馬候補を挙げるとしたら、どの馬になりますか。

大西 1番人気の弥生賞(3月9日)で4着に終わったミュージアムマイル(牡3歳)が面白そう。

 GI朝日杯フューチュリティS(12月15日/京都・芝1600m)で2着に入っているので、賞金的には皐月賞への直行ローテも可能でした。しかし、トライアルの弥生賞に出走。その選択には、「大型馬だけに一度使って、上積みを持って本番に向かいたい」という陣営の思惑が感じられました。負けはしましたが、レース内容自体は決して悲観するものではありませんでした。

 最後の直線で前を捕えきれなかったのは、渋り気味の馬場の影響と、外枠から"トライアル仕様の競馬"に徹した分でしょう。向正面で勝ったファウストラーゼン(牡3歳)がまくってきた時も動かず、ワンテンポ待っての動き出し。着差はわずかでしたし、「次への叩き台」と割りきることができる結果でしたから、本番につながる収穫十分の一戦だったと思います。

 日曜日の天気は当初雨予報も出ていて微妙ですが、乾いた良馬場でレースを迎えられれば、期待値は一段とアップします。それに何より、鞍上にジョアン・モレイラ騎手を確保できたことは、最大のプラス材料です。

 モレイラ騎手は先週の桜花賞を制したエンブロイダリーの最終追い切りも跨っていましたが、ミュージアムマイルにも1週前追い切りで騎乗。しっかりとコンタクトを取って、状態のよさと操縦性の高さを確認済みです。

 前走の負けで人気が落ちる分、過度なマークを受けることもなく、思いきった勝負にいけるのもメリット。有力どころに何らかのロスやアクシデントが生じ、名手の臨機応変でソツのない立ち回りが実現できれば、逆転のシーンがあっても......。

 トライアルを叩き台にして、陣営の思惑どおりに事が運べば、運も味方につけそうなミュージアムマイル。皐月賞では、この馬を「ヒモ穴」に指名したいと思います。

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