無職の青年が出会ったのは“眠るだけで稼げるアプリ”　睡眠を売った朝に届いた感謝の言葉…「こんな気持ちで寝れるなら、いいかもな」【漫画】

毎日を健康に過ごすために大切な「睡眠」。なかには、忙しさによって睡眠時間を確保できなかったり、寝つきが悪かったりなど、眠りの悩みを抱えている人もいるでしょう。

【漫画】元ブラック企業勤めの青年が“睡眠を売って”気づいた希望…「おやすみストレイシープ」全編を読む

漫画家の七瀬八さんがゼノン編集部にて連載中の『おやすみストレイシープ』は、主人公がアプリを通して“睡眠売買”をおこなう様子が描かれた作品です。以前七瀬さんのX（旧Twitter）に第1話がポストされると、約4万もの「いいね」が寄せられました。

無職で寝不足とは無縁の「諸星真夜」は夢の中で、謎の女性に「もし睡眠売買ができたら あなたはやってみたいと思いますか？」と尋ねられます。「寝ること以外取り柄ないんで…」と応えた後、覚醒する真夜。

変な夢だったと思いながらもぼーっと過ごしていると、その後に電気が止まっていることに気づきます。電気代を払うために日雇いのバイトを探そうとした矢先、スマホに見覚えのない「睡眠売買」というアプリが。

このアプリは、睡眠を「売りたい人」と「買いたい人」のマッチングが可能で、マッチした後はお互いに睡眠の売買ができます。もちろん、売るにはリスクがあり、売った人の睡眠は自分の睡眠になりません。

しかし、お金が必要な真夜は構わずに自身の睡眠を売りに出し、そのまま眠りに就きます。翌朝、寝たにもかかわらず、徹夜明けのような眠さが残る真夜。再び眠って夕方頃に覚醒すると、決済アプリに電子マネーが入金されていることに気づきます。

そして、得たお金でビールを飲んでいると、妹の「真昼（まひる）」から高校受験の合格を知らせるメールが届きます。真夜には、父が他界して家族のためにブラック企業で働き続けた過去があり、メールにはお礼の言葉が。しかし、今は無職で過ごしていることを家族に明かしていませんでした。

ブラック企業で働いていた辛い時期を思い出した真夜は、夜の繫華街を途方もなく歩きます。すると、高校の同級生たちと遭遇。みんなは手に職を持って働いていたり、大学卒業を控えていたりと、各同級生から報告され、いたたまれなくなった真夜は営業職で働いていると嘘をつきます。

惨めな気持ちで帰宅して床に就くと、睡眠売買のアプリから通知が。睡眠の購入を希望する人からのメッセージで、そこには「ほぼ引きこもりの無職です」「せめて一晩だけでも何もかも忘れて眠りたいです」と書かれており、真夜は自分と似た境遇と感じて睡眠を売ることに。

そして、眠りに就くと、夢の中に以前も現れた謎の女性の姿が、さらに「あなたは 明日 死んでしまう」と打ち明けます。それを聞いた真夜は驚愕したものの、それは女性の嘘。「明日死ぬってときに寝られるか」と言葉をもらすと、その後に女性は「ならばヒトは 明日を生きるために眠るんじゃないかしら」と、真夜にメッセージを送るのでした。

翌朝、真夜のもとに、睡眠を購入した人から「あなたから眠りを買えてよかったです」というお礼のメッセージが。そして、真夜は「いいかもな こんな気持ちで寝れるんなら」と、ひとりつぶやくのでした。

読者からは「斬新な設定で面白い」「読後に心が暖かくなった」などの声が。そこで作者である七瀬さんに、同作を描いたきっかけについて話を聞きました。

―同作を描いたきっかけを教えてください。

前作の連載中、締切に追われて睡眠がとれず、眠さの限界で「誰か代わりに眠ってくれ！」と思ったことがきっかけです。そこから「もし睡眠が売買できたら？」という発想が生まれました。当初は睡眠売買が行われる近未来を舞台にした若干SF寄りの設定を考えていました。ですが、睡眠は現代的なテーマでもあるため、舞台を現代日本に変更し、売買もアプリを介した身近なものにしたりと調整を重ね、最終的に今の形になりました。

―第1話の中で特に気に入っている場面がありましたら、ぜひお聞かせください。

ラストシーンの主人公・真夜の表情です。清々しい朝を迎えられた表情になったのではないかと思っています。また、自分も一時期睡眠用BGMを流していたので、波の音をかけるシーンは親近感を持って描きました。

―七瀬さんの睡眠事情についてお聞かせください。

いわゆる漫画家のパブリックイメージ通り、締切に睡眠が左右される生活を送っています。できるだけ徹夜は避けるようにしていますが、朝・昼・夜を問わず、仕事の状況に応じて寝たり起きたりしているので、生活リズムは完全に不規則です。今年の目標は規則正しい生活を送ることなのですが、ここ数日は朝の8時に寝ています。達成できるか早くも不安です。

―読者にメッセージをお願いいたします。

始まったばかりの連載ですが、楽しんでもらえる漫画にしていきたいと思いますので、今後もお付き合いいただけたら嬉しいです。第1巻が2025年4月18日発売なので、そちらもぜひよろしくお願いします。

（海川 まこと／漫画収集家）

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