季節も感情も取りとめもなく変化する、という意味では同じなのかもしれない。1月からXで公開された『春夏秋冬』シリーズは、季節が移り変わることの美しさと無常さを感じさせる、2組の女子高生たちがメインの百合漫画だ。
お嬢様学校・菫女学院に通う桜はある日、以前から興味のあったカフェに足を運ぶも、注文方法がわからずに困惑してしまう。そんな彼女を助けてくれたのが、違う学校に通う犀那。このことをきっかけに、2人は仲を深めていく。一方、犀那と同じ高校に通う海未果は、幼馴染の吹雪が気になっているが、高校が違うために微妙な距離感が生まれる――。
季節の移り変わりとまるでシンクロするかのように、各登場人物の心情が徐々に変化する様子を描いた本作の作者・蒼樹めいさん(@mei_ao23)に、誕生秘話などを聞いた。(望月悠木)
◼︎2組のストーリーを同時進行させる難しさ
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――なぜ『春夏秋冬』を制作しようと思ったのですか?
蒼樹:「季節を通してキャラクターたちの恋愛模様を描いてみたい」「季節ごとに一人ひとりにスポットを当てるのも面白そう」と思って、構想を練り始めました。
――違う学校に通う女子高生のカップリングにした背景は?
蒼樹:最初に思いついたのが、「お嬢様学校と公立高校に通う女の子同士で、あまり関わりがなさそうなふたりの関係を描きたい」というものでした。すれ違いやもどかしさのあるストーリーが好きなので、そういった部分を取り入れました。
――2組のカップリングがクロスオーバーしながら進む構成が面白かったです。
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蒼樹:「本当は幼なじみ4人組にしようか」と思っていたんですが、「それだとカップリングがごちゃごちゃになるかな」と思って現在の形に落ち着きました。例えば、作中で犀那は桜の友達と知らずに吹雪と偶然話をするエピソードがありますが、そういった「実は犀那の友達の海未果の好きな人で…」みたいにつながると面白そうだなと思ってストーリーを組み立てていきました。
――2組のストーリーを同時に描くのは大変そうですね。
蒼樹:1年を通しての物語になるので、なるべく時系列の辻褄が合うように気をつけました。「この季節はちょっと気まずい時期で…」「この季節は和解していて…」といった細かい流れを考えながらネームを描きました。
――メインの4人のキャラクター作りについて教えてください。
蒼樹:4人ともなるべく被らない外見を意識しました。内面に関しては、同じ高校に通うキャラクター同士は「波長が合って友達同士になったんだろうな」と思っているので、桜と吹雪、犀那と海未果の雰囲気は似るようにしました。
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◼︎季節感を注目してほしい
――嫉妬や寂しさなど、いろいろな感情が描かれていましたが、各登場人物の心理描写を描くうえで意識したことは?
蒼樹:テーマとして“すれ違い”を意識していたので、「ちゃんと話せばわかり合えるのに…」と読者に思わせるような、もどかしさを表現できればと思って描いていました。
――また、目のアップや、あえて目元を描かない表情など、各登場人物の心情を想像したくなるような描き方も多く、登場人物への感情移入をより加速させていた印象でした。
蒼樹:そういった表現は、それぞれの切なさを感じてもらえるように意識しています。また人物の描写だけでなく、話ごとの季節感を感じてほしいので、そういった所も意識して描きました。
――各話のラストが言葉で終わるのもインパクトがありましたが、その狙いを改めて教えてください。
蒼樹:最初はセリフだけにする意識はなかったのですが、「シリーズごとの締めを統一させても良いのかな」と考えた結果、この形になりました。特に1話は桜の緊迫した空気を感じ取ってほしくて、セリフだけにしてインパクトを持たせました。
――現在3話まで公開されていますが、4話の公開予定は?
蒼樹:4話は現在制作中です。早ければ今月中に公開できるかと思いますので、もうしばらくお待ちいただけると嬉しいです。4話を読む前に、1話から改めて読み返してもらえると、より楽しめると思います。
――『春夏秋冬』の制作以外では、どのような活動を予定していますか?
蒼樹:最近連載が完結したばかりなので、今は少しゆっくりしながら考え中です。これからも自分らしさを大切にしつつ、たくさんの人に「好きだ」と思ってもらえるような漫画を描いていきたいと思っています。
◼︎『春夏秋冬』シリーズは蒼樹めい(@mei_ao23)のXで連載中
(文・取材=望月悠木)
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