「ドレスに合わせてダイエットするのではなく…」大きいサイズ需要が話題 ウェディングで「あきらめない選択肢を」

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2025年04月22日 07:40  まいどなニュース

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笑顔のウエディングドレス姿(提供:吉野なお(Nao)さん)

 「ウエディングドレス」は好きなデザインを選びたいと花嫁さんは思いますよね。ですが実際は自分のサイズに合うドレスがなくて諦めたり、着たいドレスのためにダイエットしたりする人も多いそうです。

【写真】沖縄の海をバックにブライダルフォトを撮りました

 どうやらレンタルウエディングドレスは11号までが主要サイズで、通常のサイズ感と異なりいつもの洋服の号数と同じサイズでも着られないことも多々あるとのこと。ウエディングドレスを検索してみても、デザインの豊富さをうたうサイトはたくさんありましたが、サイズ展開についはほとんど記載がありませんでした。

 そんななか、ブライダルフォトを撮った「吉野なお」(@cheese_in_Nao)さんのポストが話題になりました。

「沖縄でブライダルフォトのスタジオたくさんあるけど、大きいサイズのドレスがあるところとなると数が絞られてしまい。

しかしそこで私がするべきことは、ドレスに合わせてダイエットすることではなく、大きいサイズのドレスの需要を示すことだなと改めて思いました」

 そこにはナチュラルな笑顔でウエディングドレスを着る吉野さんの姿がありました。

「当たり前に考えて何で花嫁さんがドレスに合わせなきゃいけないのだよね」

「『私みたいなどすこい体型でもドレス着て挙式してもいいんだ…!』という気にさせてくれる素敵なお写真ありがとうございます」

「引用見ると辛辣なコメントしてる人もいるけど日本のルッキズムに負けず、どんな体型だってドレス着ていいって寛容になって欲しいですよね」

「プランナー&衣装店での経験から、サイズの大きい小さいでなくサイズが合っていてデザインが好みで、笑顔になれるドレスが1番キレイに見えるので、展開が増えることを切に願っています...」

 そしてこういう投稿に必ず出てくる「痩せる努力をすればいい」「なんでデブのままドレスを着ようと思えるのかわからない」などというコメントも…。

ブライダルフォトを撮影した女性に聞いた

 結婚した年には結婚式が挙げられなかった吉野さんは、結婚2年目の今年、新婚旅行を兼ねてブライダルフォトを撮りに祖父母が暮らしていた沖縄に行ったそう。プラスサイズ(大きなサイズ)のモデルもする吉野さんに、投稿の想いを聞きました。

――実際にどのくらいウエディングドレス探しは難しかったのでしょうか。

 大きいサイズ(15号サイズ以上)のドレスを取り扱っているスタジオを探そうとしても検索しにくく、見つけられても、ほんの一部という感じでした。

 都合や好みに合うスタジオ3社ほど問い合わせしたのですが、私の希望するサイズだと、いずれも片手で数えられるぐらいの数のドレスの選択肢しかありませんでした。撮影当日は、好みのデザインがあったスタジオさんでいくつか試着したところ、一着だけ着ることができました。

――選べていませんね…。

 結婚に体型は関係ないことと、いろんな体型の女性が心から安心してブライダルを楽しめるような社会になるといいなと思いました。だからあえて私はダイエットせずプラスサイズでブライダルをする人もいるということを投稿して、ドレスを着るために自己卑下したり焦っている女性や、ブライダル業界の方の目に止まればと思いました。

――投稿には、力づけられたというものもありましたが、心無いコメントもありました。勇気もいるかと思いますが、顔も出されて投稿されるのはなぜですか?

 子供の頃からぽっちゃり体型に悩み、10代から20代半ばにかけて、過剰なダイエットで30キロ痩せたり、摂食障害を経験したからです。

「痩せなければ自分には生きている価値がない」という偏った意識から抜け出す過程で、日本社会において、太っている女性に対するイメージが、あまりにも偏見・差別に満ちていることに気づいたこと、ファッションの選択肢が少ないこと、そういった社会価値観を変えるにはどうしたらいいだろう?と考えるようになりました。

 ちょうどその頃、日本初のプラスサイズファッション誌『ラ・ファーファ』が誕生してモデルにスカウトされて運命を感じました。

 今回の投稿が予想以上に話題になりましたが、同時に心無いコメントもあり、それらを見た女性たちが傷付いてしまっていないか心配です。

 私自身、以前は他人からの言葉に心が揺れて、何度も自分を責めていました。でも、そこから長い時間をかけて少しずつ自分の体や生き方を受け入れてきました。自分を変えなければと責めるよりも、「自分らしくいていい」と思える場が一つでも増えることを願って、これからも発信を続けていき、見てくださった皆さんに、少しでも安心や可能性を届けられたら嬉しいです。

――人を傷つけて良いなんて立場の人はいないと思います。

 どの花嫁さんもドレスの力を借りて輝けるはずなので、自信がないからと背中を丸めて萎縮してしまうよりも、ぜひ堂々とブライダルを楽しんでもらいたいです!

ぽっちゃりさん向けウエディングドレス専門店に聞いた

 大きなサイズのウエディングドレスがなかなか見つけられないなかで、ぽっちゃりさん向けのウエディングドレスを専門で扱っている「Curvy Wedding」の担当者さんにもお話を聞きました。

――ぽっちゃりさん向けのウエディングドレスを専門で扱われるようになったのはなぜですか?

 長年、貸衣装業を営む中で「サイズが合わずにドレスを諦めた」「試着すらできなかった」という、ぽっちゃり体型の花嫁様からのお声をたびたび耳にしてきました。

 さらに、もう一つのきっかけとなったのが、私たちが運営している「ハカマレンタルドットコム」での経験です。卒業式用の袴をネットでレンタルできるサービスなのですが、お客様から「私、太ってるんですが袴は着られますか?」というご相談をよくいただいていました。

 そこで、サイズに悩む方にも安心して着ていただけるよう、特注サイズの袴と着物をご用意し、ネットレンタルを開始しました。すると「ずっと憧れていた袴が着られて、本当にうれしい」「あきらめかけていた時に御社に出会えて良かった」など、心のこもったお礼のお手紙が毎年100通を超えて届きました。

 この経験から「いつかウエディングドレスでも、同じように“あきらめない選択肢”を提供したい」と強く思うようになり、2020年に「カーヴィウエディング」を立ち上げました。

――実際にどのようなサイズを用意されているのですか?

 17号〜39号(バスト最大148センチ程度)まで対応するウエディングドレスをご用意しています。グループ会社のウエディングドレスメーカー「フィーロ」の独自開発のパターン設計で実現しています。多様な体型を無理なくカバーできるよう、デザイナーと共に4つのサイズ感を考案しました。(※サイズの詳細は記事の最後に記載しています)

――喜ばれているでしょうね。

「自分の体型に合うドレスを“選べる”という経験が初めてでした」
「太っていることを隠すのではなく、活かせるデザインに感動しました」
「結婚式は無理だとあきらめていたけど、ここに来て希望が持てました」
といった感動的なものが多く、中には撮影中にご家族で涙される方もいらっしゃいます。スタッフも毎回、その瞬間に立ち会えることに喜びを感じています。

――笑顔の花嫁さんを増やしているのですね。

 私たちが大切にしているのは、「ぽっちゃり=個性」そして「自分らしさ」を大切にするという考え方です。ドレスを着る“晴れの日”の体験を、もっと自由に、自分らしく楽しんでいただきたいという想いでご提案しています。

 ウエディングドレスは、いくつになっても“永遠の憧れ”です。すでに結婚されている方、過去に「ドレスは妥協してしまった」と後悔されている方にも、「今だからこそ叶えるウエディング」を届けられたら嬉しいです。

カーヴィの4つのサイズ感
・PS(17〜21号 / 洋服サイズ:3L相当)バスト:102〜112cm ウエスト:82〜96cm
・PM(23〜27号 / 洋服サイズ:4L相当)バスト:114〜124cm ウエスト:94〜108cm
・PL(29〜33号 / 洋服サイズ:5L相当)バスト:126〜136cm ウエスト:106〜120cm
・PLL(35〜39号 / 洋服サイズ:6L相当)バスト:138〜148cm ウエスト:118〜132cm
体のラインをただ隠すのではなく、“丸み”や“柔らかさ”といった魅力を引き立てるデザインを重視

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 浩子)

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