
F1第5戦サウジアラビアGPレビュー(前編)
角田裕毅(レッドブル)の第5戦サウジアラビアGP決勝は、スタートからわずか700メートルで終わってしまった。
ピエール・ガスリー(アルピーヌ)がアウトから並びかけてきたターン4で接触を避けきれず、両者ともにウォールにヒットしてリタイアを余儀なくされた。
「僕としては完全にマシンをコントロールできた状態でしたし、過剰なスピードをキャリーしてターン4に飛び込んでいったわけでも、コントロールを失っていたわけでもありません。
でも、あそこはこのサーキットで最もタイトなコーナーで、基本的にサイドバイサイドで入っていけば何が起こるかということは、経験上わかっているはずです。僕も可能なかぎり接触を避けようとしたんですけど、あれだけタイトなコーナーで1周目のグリップが低い状況では、全員がもう少し慎重なドライビングをすべきだったと思います」
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スタート直後の複数のマシンで混雑する状況であり、単純な1対1のバトルではなかったことから、スチュワード(競技会審査委員会)はどちらか一方にのみ事故の責任を問うことはできないと判断し、双方ペナルティなしの裁定を下した。
しかし角田にとっては、失った50周の決勝レースは帰ってこない。
レッドブルに昇格して3戦目、トリッキーなマシンRB21を習熟することこそが最優先事項であるはずの角田にとって、これ以上なく手痛かったのはそこだ。
サウジアラビアGPの角田は、少しとっ散らかっていた。
金曜FP2では残り9分でクラッシュを喫し、決勝想定のロングランがほとんどできずに終わってしまった。
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それも、トリッキーなマシンに適応できなかったとか、攻めてコントロールを失ったというわけではない。攻めすぎてアウト側に当たることはよくある中低速コーナーで、イン側の壁にヒットしてマシンを壊してしまったのだ。
【昇格後初のつまずきにがっくり】
淡々と走るべきシチュエーションで、瞬間的な集中力の欠如と言うべきか、ラフなドライビングが出てしまったと言うべきか。本当にまったく必要のないクラッシュを喫してしまった。
「単純にターンインしすぎて、イン側の壁を引っかけてしまいました。それでマシンにダメージを負ってしまい、その後はコントロールを失ってどうすることもできませんでした。チームには心から申し訳なく思っています」
日本GPの緊急昇格から一歩ずつ着実に適応を進めてきた角田だったが、昇格後初めてのつまずきにがっくりと肩を落としていた。
しかし、それがチームからの信頼を失う結果にはならなかった──。
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◆つづく>>