森永乳業への賠償請求棄却=ヒ素ミルク被害、「除斥」経過―大阪地裁

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2025年04月22日 19:01  時事通信社

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時事通信社

森永ヒ素ミルク訴訟の判決後に記者会見する原告の女性=22日午後、大阪市北区
 1955年に森永乳業の粉ミルクにヒ素が混入し、乳児らに健康被害が出た「森永ヒ素ミルク事件」で脳性まひになった大阪市の女性(70)が、現行の救済では不十分だとして、同社に慰謝料など約5500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、大阪地裁であった。野村武範裁判長は、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」の経過を理由に、請求を棄却した。

 判決によると、女性は乳児期に同社の粉ミルクを飲んで脳性まひを発症。首や手足に痛みやしびれが生じ、頸椎(けいつい)症性脊髄症との診断も受けた。症状はその後も悪化し、歩行も困難になった。

 野村裁判長は、除斥期間の起算点について、遅くとも頸椎症性脊髄症の診断を受けた95年12月になると指摘。2022年の提訴時には既に20年が経過していたと判断した。

 女性側は、症状は現在も進行しており、診断時には全体の損害を予見できないと主張したが、野村裁判長は「症状の悪化は発生していた損害と質的に異ならない」と退けた。

 女性は同社が全額出資した救済団体から生活保障として手当てを毎月受給しているが、「重症者の救済としては不十分だ」と訴えていた。

 判決後に女性は記者会見し、「不当な判決で、新たな苦しみを味わった」と批判。控訴する考えを示し、「高裁には(重症者の苦しみを)分かってほしい。事件は被害者が生きている限り終わることはない」と訴えた。

 森永乳業の話 被害者の皆様に改めておわび申し上げる。恒久救済の完遂に向け、引き続き全社を挙げて責任を果たしていく。 

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  • 森永もしょせんは国策企業の慣れの果て。過ちを詫びないところはこの国のそっくりな縮図。
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