愛媛県では平成以降で最大規模となった山林火災の発生から1カ月を迎えた23日、今治市の徳永繁樹市長は家屋などの被災者の生活支援へ向け、総額6890万円の補正予算専決処分を行った。焼損した山林は地盤の保水能力が下がっており、市は豪雨時などの2次災害防止に全力を挙げるとともに、中長期的な山林復旧計画づくりにも着手する。
14日の鎮火まで23日間を要した山林火災。今治市423ヘクタール、西条市19ヘクタールの計442ヘクタールを焼き、両市で23棟の家屋被害があった。今回の専決処分で今治市は、焼けた家屋の解体撤去費用などのほか、被災者の日用品や生活必需品などについても補助する。
一方、今後の2次災害を防ぐため、今治市は焼損地域周辺の21カ所で9、10両日に道路、水路、地盤などの現状を調べた。当面、豪雨の際に民家への被害が想定される箇所には土のうを設置したり、土砂を撤去したりするなどの応急対策を取る。緊急治山、砂防事業が必要な箇所の調査も県と連携して進める。
また、中長期的な復旧計画づくりに必要な基礎資料の整理に充てる業務委託費として200万円を今回、専決処分した。県、市、学識経験者、地域住民らによる計画策定会を5月にも発足させる。今後、地質・地形的条件、樹木の焼失状況などに応じたゾーニング(区域分け)を行って計画的な植林を進め、復旧・復興に取り組む。この日の記者会見で徳永市長は、2026年春に全国植樹祭が同県で開かれることに触れ「植樹イベントの開催で、山の緑の再生に市民参加を」と述べた。
市は21日現在、被災者への災害義援金が約3919万円、ふるさと納税などによる市や各種団体への災害支援金が約4309万円に達したことを報告し、全国からの支援に感謝を示した。【松倉展人】
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