写真 アダストリアが展開する「アンドエスティ」の旗艦店「アンドエスティ トーキョー(and ST TOKYO)」が、4月24日に開業する。同店は、店頭のオープンプラットフォーム化や、リアル店舗とECのデジタルコンテンツ連動などの施策を取り入れた新業態。同事業が新たな“ファッショントータルプラットフォーム”へ進化する上でのハブとなることを目指す。
プラットフォーマーとしての成長をかけた新業態
今年9月1日に持株会社体制へ移行し、社名をアダストリアから「アンドエスティHD」に変更することを発表したアダストリア。現在までに、チェーンストア制度の導入やOEM・ODM型生産への移行、垂直統合型SPA化と、数々の大胆な転換を行ってきた同社は、5回目の変革期として2024年12月にアンドエスティ事業を分社化。アンドエスティを、自社ECサイトにとどまらない新たな“ファッショントータルプラットフォーム”へ進化させることを掲げてきた。
アンドエスティ トーキョーは、「ユニクロ(UNIQLO)」や「H&M」、「イケア(IKEA)」の原宿店が入居する原宿駅前の商業施設「ウィズ ハラジュク(WITH HARAJUKU)」の1階に入居。店舗面積は約760平方メートルで、オープン時点では2000SKU以上の商品を取り扱う。
コンセプトは「すきとつながる(見つける・出会える)メディアストア」。アンドエスティがこれまで展開してきた実店舗「アンドエスティストア」よりも更に規模を拡大して開業する新業態が目指すのは、インバウンド客と国内若年層に対しての認知拡大とブランド力向上だ。目標としては「年間集客数100万人」を掲げるが、具体的な売上目標は設定していない。あくまで、同事業が新たな“ファッショントータルプラットフォーム”として成長する上での核となる役割を期待する。
店舗の半分がポップアップスペース、他社に貸し出しマネタイズ
従来の「アンドエスティストア」と、新業態「アンドエスティ トーキョー」の最も大きな違いは、店舗の約半分をアダストリアグループ以外の他社ブランドが出店するポップアップスペースとして開放していることにある。
他社がポップアップストアを出店する条件にアンドエスティECモールへの参画は含まれていない。より多様な他社ブランドと協業してポップアップに限らないコラボレーションや別注アイテムの販売、オウンドメディアと連動したコンテンツ発信を行うことで、新規顧客獲得やECモールへの送客を促し、新規ブランドの「アンドエスティ」出店に繋げる狙いだ。
加えて、ポップアップスペースやサイネージ、店内放送など様々なツールを活用してパートナー企業の商品や世界観を発信することにより、プラットフォーマーとしての地力を外部に向けてアピール。カジュアルブランドがポップアップを開催できるスペースが不足している原宿の好立地でスペースを提供することで、賃料や発信に伴うメディア収入も収益源の一つとして見込む。
細かく分割した店内各所では、同社が擁する人気インフルエンサースタッフたちが企画した限定アイテムを展開。ECモールとの連動性を更に高める。また、中国のメッセンジャーアプリ「ウィーチャット(WeChat)」やSNS「レッド(RED)」での発信、多言語対応スタッフの配置、海外人気が高いIPコンテンツに関連するプロダクト展開など、インバウンド向けの戦略も強化し、開業初期にインバウンド客比率50%を目指す。
「キャス キッドソン」も出店 EC出店を検討するブランドとの接点に
店舗中央では、日本再上陸後初の旗艦店を今年3月にオープンしたばかりの「キャス キッドソン(Cath Kidston)」がポップアップを開催。ニットバッグの新色を先行販売するほか、アダストリアが手掛ける「ローリーズファーム(LOWRYS FARM)」のアパレルアイテムとキャス キッドソンの雑貨を組み合わせたスタイリング提案も行う。
発表会では、キャス キッドソンを運営するスタイリングライフ・ホールディングス(以下、SLH)のPR シモンズ・ティアラが登壇。ポップアップ出店の理由として、アンドエスティが保有する約2000万人の会員基盤を活用し新たな顧客層に対してのアプローチが可能になること、アンドエスティに出店する他ブランドと組み合わせたスタイリング提案による相乗効果、同社インフルエンサースタッフたちの発信力を挙げ、「アンドエスティの顧客にもキャス キッドソンを身近に感じてほしい」と語った。
キャス キッドソンは、6月末からアンドエスティのECモールへの出店を予定。別注アイテムの製作も検討しているという。
「ハイキュー!!」からサンリオ、飲食店まで 多様な「協業エリア」
店舗の顔となる入り口付近の「協業エリア」には、大型のイベントエリアをはじめとする複数のポップアップスペースと飲食店を配置。
オープン日から5月23日まではサンリオキャラクターズとのコラボレーションポップアップ「サンリオキャラクターズ × and ST」を開催する。雑貨ブランド「ミィパーセント(Me%)」とのコラボトイキーホルダーを先行販売するほか、同店限定のコラボアパレルや雑貨など計307商品をラインナップする。このほか、AR施策やフォトスポット、キャラクターとのグリーティングイベントも実施する。
店頭には、原宿カルチャーとサンリオキャラクターズを融合させた同店限定トイキーホルダーのガチャガチャも設置。なお、同ブースでは5月24日から名探偵コナンとのコラボポップアップを展開する。
同じく入り口付近の協業エリアでは、「ポール & ジョー ボーテ(PAUL & JOE BEAUTE)」のポップアップや、「ジーナシス(JEANASIS)」と古館春一のコミック作品「ハイキュー!!」のコラボポップアップが開催。スイーツショップ「オイモトーキョー(& OIMO TOKYO)」も期間限定で出店する。いずれも1コンテンツあたり2週間から1ヶ月の期間で内容を入れ替えていくという。
自社ブランドもローテーション、ラインナップの幅広さアピール
店舗の中央から奥にかけてはアダストリアグループブランドのブースが並ぶ。他社ブランド同様に自社ブランドも一定期間ごとに入れ替えを行い、アンドエスティのラインナップの幅広さをアピールしていくという。オープニング時には、ジーナシスやローリーズファーム、「ハレ(HARE)」、「ラコレ(LAKOLE)」などが出店する。
ラコレは、インバウンド客の土産物需要に対応した商品を用意。オープン時は岐阜県の名産品「美濃焼」をはじめ、提灯や箸といった様々な雑貨を1000種類程度展開。1ヶ月を目処に商品内容を入れ替えていく。
ハレは、和をイメージした装飾を施したスペースで、和柄のアロハシャツ「侍アロハ」や盆栽アートを含む150種類程度の商品を揃える。
このほか、フロア中央ではトレンドに合わせたTシャツに特化したブースを用意。映画「スター・ウォーズ(STAR WARS)」とのコラボをはじめとした様々なデザインを揃え、9月から10月ごろまで継続して展開する。
◾️and ST TOKYOオープン日:2025年4月24日(木)所在地:東京都渋谷区神宮前1丁目14番30号 WITH HARAJUKU 1階営業時間:平日 11:00〜21:00/土日祝 10:00〜21:00店舗面積:約760平方メートル公式サイト