「DXを“自分ごと化”してもらうこと」全社員にDXを浸透させるための“高いハードル”とは?ニチレイ情報戦略部長が語る

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2025年04月23日 21:00  TOKYO FM +

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「DXを“自分ごと化”してもらうこと」全社員にDXを浸透させるための“高いハードル”とは?ニチレイ情報戦略部長が語る
笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00〜20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。4月19日(土)の放送は、株式会社ニチレイ 執行役員 情報戦略部長の坂口譲司(さかぐち・じょうじ)さんが登場。ニチレイグループの概要やDXの取組みについて伺いました。


(左から)坂口譲司さん、笹川友里



坂口譲司さんは、1989年に株式会社日立製作所に入社し、製造業向けSI、ITコンサルティング案件に参画。2019年に株式会社ニチレイに入社、2021年に情報戦略部長に就任。情報戦略部DX推進グループを新設し、グループ全体のDX活動を推進。2023年からは、現職の執行役員 情報戦略部長に就任し、ニチレイグループのIT・DX戦略立案及び、ERP等の共通システム企画、情報セキュリティ施策を統括しています。

◆幅広い事業を展開

ニチレイと聞くと“冷凍食品”をイメージする方は多いかもしれませんが、そんな冷凍食品などを扱う加工食品事業の「ニチレイフーズ」と同規模で展開されているのが「ニチレイロジグループ」という低温物流事業を担う事業会社で、「冷蔵倉庫の保管能力においては日本一、世界でも5番目の規模を誇っています」と坂口さん。ほかにも、水産・畜産事業を担う「ニチレイフレッシュ」や、診断薬などの製造・販売をおこなう「ニチレイバイオサイエンス」など、ニチレイグループはさまざまな事業を手がけています。

このような分社化が進んできたのが2005年からだそうで、「2000年代に入り、このままだと日本は少子高齢化によって食のマーケットの総需要の伸びが期待できないだろうという話がありました。そこで、原材料の調達から生産・販売までをグローバルに進めていくこと、それから、業界もいろいろ再編してきたり、激変する環境に合わせていくために、大幅な権限委譲をするということで分社化しました。とはいえ、グループ共通のミッション・ビジョンを持ちながら、スピード感を持って進めている形です」と説明します。

◆ニチレイグループが掲げる“DXのスローガン”

続いて伺ったのは、ニチレイグループにおけるDXの取り組みについて。現在はニチレイ本体だけでなく、各事業会社にもDXやITを担う専門部署が設けられていますが、坂口さんは「2021年に私が情報戦略部長になったタイミングで各事業会社から人を公募で集めてDX推進グループをつくり、そのメンバーが中心となって“グループ全体のDXを推進していこう”ということでスタートしました」と振り返ります。

そこで、笹川が「発足当時に特に課題となっていたのは何でしょうか?」と尋ねると、坂口さんは「今でも課題ではありますが“人手不足”です」と回答。「物流の2024年問題」といった社会的な課題への対応に加え、マイナス20度の冷凍倉庫で働く人材を確保するのはなかなか難しいと言い、「過酷な環境下での業務はロボットを活用しながらの自動化を進めているのですが、そういった人手不足の課題を対応していくのがすごく重要だと思っております」と言います。

坂口さんが2019年に入社した当時は、以前から一部の部署ではデジタル化が進められてはいたものの、全社的な広がりには欠けていたそうで、「“(当時は)ITは会社から与えられるもの”という雰囲気があり、こういった空気をまず変えていこうと思いました」と回顧。

そこで、「従業員一人ひとりがごく当たり前にデータ・テクノロジーを使いこなし、地球と人々に新たな価値を提供し続けます」というスローガンを掲げ、全社のDX推進に尽力。スローガン策定後は、DXコミュニティの設立や全社員を対象としたDX研修を実施するなど「まずは“共通の言語で話ができるような形にまで持っていく”というところから始めました」と力を込めます。

◆全社員の足並みを揃えるために…

最後に、DX推進にあたって最も困難な点を尋ねると、「最初のハードルは“DXを自分ごと化してもらう”というのが難しかった。また、DXはデータやデジタルツールを使ってビジネス変革をしていくことなので、“何を変えていくか”という課題を設定するのも難しいところ」と言及。

そこで、スピード感を持ってDX推進をおこないつつ、全社員に浸透させるための取り組みとして、「人手不足の問題解消、部署間でのデータ流通、先を見据えたシミュレーションなど、いろんなところに軸を置いた課題設定をしています」と坂口さん。

企業規模が大きいほど、全社員の足並みを揃えることは容易ではありませんが、「全体の底上げをしつつ、いろんなツールを使いながらアジャイル型(計画や設計を小さな単位で反復的に繰り返す手法)でDXを進めています」と話していました。

次回4月26日(土)の放送は、引き続き坂口譲司さんをゲストに迎えてお届けします。ニチレイが取り組んできたDXの事例など、貴重な話が聴けるかも!?

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4月19日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年4月27日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00〜20:30
パーソナリティ:笹川友里

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