『デビルマン』とマーダーミステリーは、どう融合するのか?――『デビルマン アーマゲドン序章』体験レポート

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2025年04月24日 09:40  ガジェット通信

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アナログゲームレーベル『ADICE(エーダイス)』が手がける、マーダーミステリー最新作『デビルマン アーマゲドン序章』。不朽の名作『デビルマン』とマーダーミステリーの組み合わせに、驚いた方も少なくないだろう。

マーダーミステリーとは、参加者全員が登場人物のひとりとなり、殺人事件の真相を追っていく体験型の推理ゲーム。

その名の通り、「殺人」と「ミステリー」を主軸に据えた作品が多いため、ダークファンタジー作品である『デビルマン』との親和性については、正直なところ一抹の不安があった。

しかし、実際にプレイしてみると、そうした懸念は杞憂だった。

『デビルマン』という作品が持つ世界観やテーマ性を、マーダーミステリーという形式に巧みに落とし込んだ本作。原作のエッセンスを活かしつつ、プレイヤーの推理や葛藤を促す構成やギミックは、これまでのマーダーミステリーとは一線を画す新鮮な体験をもたらしている。

本記事では、『デビルマン アーマゲドン序章』の先行プレイの感想をネタバレにならない範囲でお伝えしていく。

■テーマは人類の終末――『デビルマン』の空白の20年をマダミスで描く

『デビルマン』といえば、永井豪氏による原作漫画や、1972年に放送されたテレビアニメ版の印象が根強い。だが本作は、誕生から半世紀が経った今なお、さまざまなメディアで形を変えながら語り継がれている。

なかでも、2018年に配信されたNetflixオリジナルアニメ『DEVILMAN crybaby』は、原作をベースに大胆な再構築がなされ、大きな話題を呼んだ。作品の成功は『デビルマン』という存在を、世代や国境を越えて広く認知させることとなった。

こうした背景もあり、『デビルマン アーマゲドン序章』のシナリオ・ゲームデザインを手がけた前原賢一氏は、「マーダーミステリーとの融合に大きな可能性を感じた」と語る。実際、『デビルマン』という強力なIPは、いまだ拡大を続けるマーダーミステリー市場において、その存在感を一層高める契機となり得るだろう。

▲前原賢一氏にデビルマンをイメージしたポーズをしていただいた。

作品タイトルにもあるように、本作は、これまでのシリーズでは描かれなかったデビルマンとデーモンによる最終戦争「アーマゲドン」へと至る、空白の20年間が舞台。

悪魔による総攻撃によって滅亡の危機に瀕した人類が、最後の希望として身を寄せ合うコミュニティ「Vain(ヴェイン)」で起きた悲劇の真相を追うというテーマは、マーダーミステリーという形式と見事に噛み合っていた。

■原作ファンもマダミスファンも唸る、「信頼」がテーマのゲーム体験

『デビルマン』を題材にした作品ではあるものの、原作の知識によってプレイに有利・不利が生じることはない。キャラクターや舞台設定にはオリジナル要素が多く盛り込まれており、本作から『デビルマン』の世界に触れる人でも、安心して楽しめる内容となっている。

また、ゲームマスター不要のシステムによって、遊ぶハードルがぐっと下がっているのも魅力だ。

登場する6人のキャラクターも、すべて本作オリジナル。『デビルマン』の世界にそのまま登場しても違和感のない造形でありながら、幅広い層に刺さるデザインに仕上がっている点が印象的だ。

演じるキャラクターを選ぶ時間も、マーダーミステリーの大きな醍醐味のひとつ。本作はその期待にもきちんと応えてくれる。

▲見た目重視の筆者は「小野 葵」を迷わず選択した。

ネタバレの観点から詳細には触れられないが、一言で表すなら――これはまぎれもなく「マーダーミステリー」だ。

少なくとも筆者は、プレイ中に『デビルマン』であることを忘れてしまうほど、推理に没頭する場面がいくつもあった。

とはいえ、ところどころに散りばめられた『デビルマン』らしさに気づく瞬間もあり、「ああ、やっぱりこれはデビルマンのマダミスなんだ」とハッとさせられる。そんな絶妙なバランスで構成されているのも、本作の魅力のひとつだ。

ゲーム開始前のインタビューで、前原氏は「ゲーム中に一瞬だけでもいいから、全員が信頼できる場面を作りたかった」と話していた。その言葉を、ゲーム終了後にふと思い出した。

終末の世界で、プレイヤーたちは人類の一員として物語に関わっていく。その中で「信頼」というテーマは、演出面でもギミック面でも見事に機能していたように感じる。

「原作を知らないから」と遠ざかってしまうのは、あまりにももったいない一作。マーダーミステリーが好きなら、きっと心に残る体験になるはずだ。

『デビルマン』×「マーダーミステリー」。この大胆な挑戦を、ぜひプレイヤーとして体感してみてほしい。

なお、『デビルマン アーマゲドン序章』は、現在二次元総合ショップ「viviON BLUE(ヴィヴィオンブルー)」で予約販売中。気になる方は、ぜひ注目を。

商品概要
デビルマン アーマゲドン序章
■プレイ人数:6人(GMレス)
■プレイ時間:153分
■対象年齢 :15歳以上
■発売日  :予約販売開始2025年3月24日(手元に届くのは4月25日以降)
■価格   :5,500円(税込)
■シナリオ・ゲームデザイン:前原賢一(株式会社viviON)
■イラスト :山椒魚
■原作   :永井豪
■監修   :ダイナミック企画
■制作・販売:株式会社viviON
■公式通販 :https://vivionblue.com/products/3d0008-251p0001-0000

■マーダーミステリーをオンラインで――『ミステリーラボ』が切り拓く新たな遊びの形&名作アニメ『メガゾーン23』を題材としたマダミスが登場

viviONが手掛ける、マーダーミステリーをプレイできる(オンラインセッションを行える)、WEBブラウザベースのサービスもご紹介しよう。

※開発中の画面です。実際の仕様とは異なる場合があります

※開発中の画面です。実際の仕様とは異なる場合があります

ユーザーは、サービス内の有償コインを使用することで、各種マーダーミステリー作品をプレイ可能。親しい友人同士で遊ぶだけでなく、同じ作品をプレイしたいユーザーをその場でマッチングできる機能も搭載されており、ソロ参加のハードルも大きく下がっている。

将来的には、ロールプレイをより楽しめるボイスチェンジャー機能など、オンラインセッションならではの仕掛けも多数用意されているという。

また『ミステリーラボ』では、個人・法人問わず、自作のマーダーミステリー作品を投稿・公開できる。

プレイ回数や利用状況に応じて収益が得られるシステムが整備されており、クリエイターの活動を支援。加えて、ゲームマスターとして参加する場合にも収益が発生する可能性があり、ゲームを支える人々にもきちんと還元される仕組みとなっている。

そんな『ミステリーラボ』は、2025年7月にクローズドβテストを実施予定。今後の展開は、ADICEの公式サイトやSNSをチェックしておこう。

さらに、1985年に制作されたSFアニメ『メガゾーン23』完全新作ストーリーが、マーダーミステリー『メガゾーン23 バハムートの幻影』として登場。

プレイヤーは、この作品を通してアニメのパート1とパート2をつなぐ「正史」を体験することができる。

こちらは2025年7月に予約販売を開始予定なので、お見逃しなく。

©永井豪/ダイナミック企画 ©2024 ADICE/viviON,inc.
©AIC © ADICE / viviON, inc.

(文章・写真:サイトウヤスナリ/編集:sasuke_in)

(執筆者: sasuke_in)

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