
「近くで多頭飼育崩壊があったことを投稿で見て知っていたので、手伝えることがあればと現場へ。
到着すると、想像をはるかに上回る光景とアンモニア臭…
むせる、目がしみるという普段シェルターの猫たちのお世話をしていても起こらない現象が起きました」
今月5日、静岡県内の住宅で猫の多頭飼育崩壊現場に入ったことを、動物保護施設を運営する「ねころび」さん(@nekorobi_m)がInstagramに報告。この日は、現場で猫たちのレスキューに取り組むトリミングサロン・ペットホテル運営の「犬処北の」さん(@inudokorokitano)たちが室内を掃除と片付けをしているところでした。想像に絶する現場の光景や臭いに驚いたといいます。
「今回、多頭飼育崩壊が起きていた現場を知ったのは、フォローしていた犬処北のさんのInstagramの投稿です。飼い主のお父様が倒れて緊急入院し、息子さんたちが家に入ったら家の中がとんでもない状態で猫屋敷になっているので助けて欲しいと、近所のトリミングサロン・ペットホテルを経営している犬処北のさんのところに相談にきたとのこと。そこで、犬処北のさんと知り合いの方々が協力し合って、片付けや掃除、猫たちの通院までしていたようです。私も経験があるので大変なのが投稿から伝わってきて、何か協力できないかなと考えて現場に足を運びました。
多頭飼育崩壊の現場には入ったことがあるので、独特のアンモニア臭は経験がありましたが…普段はもっと多い数の猫たちのお世話をしているのもあり、大丈夫だろうと思ってマスクをせずに行ったところ、部屋に入った途端にむせてしまうほどのひどいアンモニア臭。床や家具などもふん尿が染み込み腐っていました。途中から目がしみてきて充血してしまい、次の日までずっと目が痛かったです」
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飼い主の父親が倒れて入院…“猫屋敷”に息子が近所のトリミングサロンにSOS!
こうして壮絶な現場に入ったという、ねころびさん。「犬処北の」さんが介入する前に、浜松市動物愛護教育センターの職員さんがとりあえず雄と雌と分けて、別々の部屋に入れてくれていたそうです。
「みんな状態が悪くガリガリに痩せ細り、人懐っこい猫もいたそうですが、怖くてうなったり威嚇したりしている猫たちも多くいました。多い時は70匹いたそうで、子猫が生まれても他の猫に食べられたり亡くなったりしていたと思われます。過酷な環境で生き抜いた猫たちは26匹。ボランティアが費用も労力も使って動くしかないのが現状で…飼い主の息子さんも一生懸命掃除をされていましたが、死骸が出るような現場でみなさんが頑張っている姿を見て心が痛かったです。トラウマになってしまうレベルだったと思います」
「最初の雄と雌2匹さえ避妊去勢していれば増えることはないのに」
「犬処北の」さんによると、5月までに猫たちを引き出し、保護したいとのこと。ねころびさんも、26匹のうち2匹を保護施設にお迎えしたとか。
「現場に行くからには早急に保護が必要な子がいれば保護しようとは考えていました。別件でレスキューの依頼も入っていたのでたくさんの受け入れは難しくて、現場に手伝いに来ていた方と相談してニコとミトの2匹を引き取らせてもらいました。本当は一緒に固まってた4匹をみんな連れて帰れたらよかったんですが…帰ってからも残してきた子たちのことが心残りでしたが、その2匹も含めてボランティアさんのところに保護されたようでホッとしています。ただまだ行き先が決まっていない猫たちがいますので、今後も猫たちの状況をシェアすることなどで協力させていただき、みんなが幸せになるまで見守っていきたいと思っています。必要であればいつでも現地へ行く気持ちでいます」
また現場の猫たちは、警戒心の強い子たちが多いとのこと。保護したニコとミトちゃんも警戒心が強く、フードストライキをして5日間もご飯を食べてなかったそう。「もともとご飯をまともにもらえてなかったようで、人間不信かなと思います」と、ねころびさん。今回の多頭飼育崩壊の現場について、こう訴えます。
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「猫の繁殖力は強いので、あっという間に増えてしまいます。最初の雄と雌2匹さえ避妊去勢していれば増えることはないのに“かわいそう”と手術をしなかったり、増えてしまってから“お金がない”と手術ができなくなったりすることが多頭飼育崩壊の原因だと考えます。そして、このように明るみになるのは氷山の一角で、全国で多く起きている問題だと感じています。
飼い主に正しい知識さえあれば多頭飼育崩壊は起きないはずで、地域によっては野良猫と飼い猫の避妊去勢手術に補助や助成が出ます。行政や動物病院からももっと積極的に情報を発信してもらえたらなと。望まれない命が増えていったら、人も動物も幸せではないですからね」
※愛知県東部、静岡県西部、浜松市の方。預かり、里親希望、医療費支援など協力できる方を募集中です。問い合わせは、「犬処北の」さん(@inudokorokitano)まで、DMなどでご連絡をお願いします。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)
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