上田清司参院議員(前埼玉県知事)の公設秘書の男性から取材中に性暴力を受けたとして、報道機関の元記者の女性が国に1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は24日、国に440万円の賠償を命じた。
元記者と所属する報道機関、上田参院議員事務所のコメントはそれぞれ以下の通り。
元記者「一生傷を抱えるのか」
責任追及の主張が認められてほっとしました。裁判の支援をしてくださっているみなさんにあらためてお礼を伝えたいと思います。本当にありがとうございました。
被害から5年たっても自分の意思とは無関係に出来事を想起させられ涙が止まらず眠れなくなる日もあります。加害者は性暴力を無かったことにできるのでしょうが、被害者は一生この傷を抱えるのかと思わされます。
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報道現場では、「これくらいは我慢しなきゃ」「性的な発言は聞き流そう」とうまく立ち振る舞うことが求められてきました。そのため、警察に被害届を出したときも、2次被害を恐れました。「取材中にお酒を飲んだ自分が悪いのか」と何度も自分を責めていました。悩んだ末に相談できた人から「権力を利用した悪質な犯罪だ」と言われ、それからすぐ被害届を出すことができました。あのとき、防犯カメラの映像や着衣に残された証拠などが消える前に、警察に行けて良かったと思います。
被害に遭うと、自責の念にかられて自信をなくしたり、周りの理解が得られなかったり、告発をためらってしまうかもしれませんが、まずは相談することが何より大事だと身をもって体験しました。そして、被害者が勇気をもって声をあげようとしても、それをためらわせる社会は変えたいと思いました。
社会から性暴力をなくすため、多くの人に「他人事」ではなく「自分ごと」として理解してもらいたいです。そのために私もこの裁判に力を得て、前に進みたいと思います。
所属報道機関「重く受けとめる」
当社社員が原告となった訴訟で、当社社員の主張が認められたことを喜ばしく思っております。もっとも、このような性暴力を未然に防ぐことができなかったことを重くうけとめ、これからも性暴力やハラスメントには断固とした姿勢で臨み、社内の体制や教育のさらなる強化に取り組むとともに、報道機関としての社会的責任を果たしてまいります。
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原告の当社社員に対しても、引き続き就業環境などの面から必要なサポートをしていく所存ですが、あらためて、これまで支援くださった皆様にお礼申し上げます。
上田参院議員側「申し上げることない」
当事務所並びに上田清司本人が訴訟の当事者になっておらず、判決の内容等を知る立場にありませんので、判決について申し上げることはございません。
もとより当該女性が今もつらい思いを抱えておられることに対し、そのお気持ちは安易に推し量ることすらはばかられるものであり、心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
併せて、近ごろ、性被害に関する報道が増えているように感じます。被害者の方々の勇気ある告発に敬意を表します。こうした被害が長年、日本社会にはびこってきたことを改めて認識しております。
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今後とも、上田清司として、また、上田事務所に関わる者の法令順守を徹底するとともに、あらゆるハラスメントの根絶へ向けて努力してまいります。
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