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札幌市西区で2023年11月、走行中の軽乗用車から外れたタイヤが歩道にいた当時4歳の女児に直撃した。札幌地裁が運転手に執行猶予付き、車の所有者に罰金の有罪判決を言い渡した24日、女児の父は札幌市内で記者会見に臨んだ。
「家族としては子供を殺されたも同然。被害と刑罰がアンバランスで、判決に納得できるはずがない」。判決への不満をあらわにして続けた。「裁判で気持ちを直接訴えたが、家族の言い分が反映されているのか疑問だ」。落ち度のない女児は首に大けがをし、現在も意識が戻っていない。回復の見込みもないという。
札幌地検は、車の所有者だった田中正満被告を道路運送車両法違反(不正改造)で起訴した。法定刑は「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」で、地検は罰金20万円を求刑していた。
地裁は判決で、田中被告の責任の重さを指摘したが、地検は法定刑がより重い自動車運転処罰法違反(過失致傷)については不起訴としたため、重い罰則が適用されなかった。
被害者側は、判決前日の23日に札幌検察審査会に対し、不起訴を不服として審査を申し立てた。父は「アクションを起こさなければ過失致傷に問われない。動かざるをえなかった」と説明する。責任を徹底的に追及したい思いが根底にある。
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被害者側は今回の事故で問われるのは運転よりも整備や点検だと考えている。代理人を務める佐藤敬治弁護士は、同法違反で運転手以外を起訴するハードルが高いことを認めつつ、「共犯が成立する場合には実行していない者でも犯罪が成立することがある」と主張する。
女児の父は1月から、インターネット上で同法違反での起訴を求める署名運動を始め、これまでに約2万3000人の署名を得た。女児の父は「このまま終わらせたくない。責任を追及し、しかるべき罰を受けてほしい」と語った。【谷口拓未】
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