福知山線脱線事故、最後の「追悼のあかり」 教訓の継承を願う
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2025年04月24日 20:40 毎日新聞

JR福知山線脱線事故の追悼行事で浮かびあがった「わすれない」の文字=兵庫県尼崎市で2025年4月24日午後7時28分、長澤凜太郎撮影 兵庫県尼崎市の脱線事故現場にある慰霊施設「祈りの杜(もり)」では24日夜、ろうそくをともして犠牲者らをしのぶ集い「追悼のあかり」があった。遺族らでつくる実行委員会が企画してきたが、高齢化やメンバーの減少で今回が最後となった。約800本に灯をともすと、一帯は優しい光に包まれた。
10年前に「追悼の場を設けたい」との思いから始まった取り組み。今回はJR西日本も一緒に計画し、社員が準備を手伝ったという。
ろうそくの火で浮かび上がったのは「2005・4・25 わすれない」。事故の教訓の継承を願って「つなぐ」の文字も加えた。ろうそくを覆うカバーには「鉄道の安全をこれからもつなげていく」「あなたの手を忘れないよ」などのメッセージが寄せられた。
実行委の中心を担ってきた上田誠さん(58)は義弟の中西聡さん(当時34歳)を亡くした。上田さんはこの日、「(集いは)亡くなった命を追悼し、事故を忘れないとする意味がある。やめる決断をしたが、来年も明かりがともったらいいのにという思いもある」と語った。集いの開催をJR西に引き継ぐことも考えているという。【小坂春乃】
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