【木村和久連載】気持ちのいいラウンドとは? 高級と名門、大衆ゴルフ場の違いを探る

0

2025年04月25日 07:20  webスポルティーバ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

webスポルティーバ

写真

木村和久の「新・お気楽ゴルフ」
連載◆第49回

 最近、妙に気に入っているゴルフ場があります。カジュアルな高級コースです。

 具体的に言うと、ゴルフチェーン大手のPGMが運営しているワンランク上のブランド、『GRAND PGM(グランPGM)』。現在、北海道から沖縄まで17コースが展開中です。

 そもそもPGMの倶楽部メンバーとあって、グランPGMのコースにお邪魔する機会があり、友人が同ブランドコースのメンバーだったりして、前々からつながりは結構ありました。

 そのグランPGM、何がいいかというと、メンバーからの割引券を使わせていただくと、料金がお値ごろ。平日で1万円ちょっと。土日で1万5000円〜1万8000円ほどです。

 それでいて、施設が豪華でサービスが丁寧。ですから、ものすごく有難みを感じます。

 どんなサービスかというと、たとえばクラブバスに乗ると、派手なラッピングがされていてカッコよく、それでコースに向かうだけでワクワクしてきます。

 コースに到着すると、クラブハウスが壮麗で立派。フロントの人たちもホテルマンみたいにきびきびしていて、実にフレンドリー。受付もその多くは自動チェックインで堅苦しさがなく、今の時代、むしろそっちのほうがスムーズで便利かなと。

 もちろんコース整備もしっかりしていて、練習場も充実しています。加えて、芸が細かいというか、スタート前のキャディマスター室前のボックスには、無料のティーが置いてあって、自由に使用できます。これが、微妙にうれしいです。

 さらに、ラウンド途中でコース売店に行くと、茶店のお姉さんがおしぼりを持って外で出迎えてくれます。いやぁ〜、これこそがサービスってものです。そのひと手間がうれしいじゃないですか。それを意気に感じて、「じゃあ、売店で何か買おうかな」と思ってしまいますよね。

 その売店の一部では、シャンパンのボトルまで置いてあってびっくり。小さいボトルで4200円ほど。4人でひと口ずつ飲むって感じでしょうか。洒落としては、面白いアイデアだなと思いました。

 また、ランチタイムの食事が絶品なのがうれしいです。たとえば、とんかつ定食。同じPGM系列のコースで食べても、そこそこ美味いですよ。でもグランPGMでは、その上をいく美味しさ。値段はちょい高めですが、とんかつの衣がクリスピー化していて、目黒の老舗『とんき』に似ている感じでしょうか。だから、衣がカリッとしていて、中はジューシー。その食感がいいんですな。

 そうして、ラウンドを終えてクラブハウスに戻ると、そこには冬場なら無料のコンソメスープが置いてあるのです。「あ〜、疲れたぁ〜」って時に飲むスープの美味しいこと。この気配りにまた、ジ〜ンときます。

 スープなんて、ファミレスのランチタイムに出てくるようなものじゃないですか。タンクに入れておけば、さして手間はかかりません。けど、こうしたサービスによって、こちらの有難みは倍増するってものです。

 そんな具合で現在、このお値ごろな"高級コース"が私のハートをわしづかみしている、というわけです。

 一方、高級といえば、名門倶楽部があります。こちらの使い心地がどうでしょうか。

 名門倶楽部は歴史的に古いコースが多く、質実剛健的な感じですかね。会員権が高額なので、予算が潤沢。ゆえに、クラブハウスは豪華な建物が多いです。だからといって、決してバブリーといった雰囲気ではありません。

 では、名門倶楽部にある象徴的なものは何か? それは、本物の暖炉です。サンタクロースが入ってこられそうな豪勢な煙突をこしらえて、外見もシック。ようこそ我が家へ、とメンバーさんを迎え入れるわけですな。

 ただ、これを維持するのは結構な手間暇がかかります。なにしろ、毎時間薪をくべなければなりませんから。

 それはともかく、日本の名門倶楽部は英国流が多いです。「関東7倶楽部、関西4倶楽部」と言われている名門のグループがありますが、その多くは戦前に造られています。だから、歩いてラウンドすることが多く、服装などもジャケット着用はマストです。

 英国紳士的な嗜みでゴルフをしたい方は、こうした名門倶楽部がよろしいでしょう。

 ほとんどのコースは都会に近いこともあり、ビジターとなると料金はかなり高めの設定になっています。まあ、そんなにしょっちゅうメンバーさんに頼んで行けるわけでもありませんから、何かの記念に行ってみるのはいいかと思います。

 その代わり、名門倶楽部はルールやマナーが厳しく、常に気を張っていなければいけません。気が緩んでポロシャツの裾がうっかりズボンの外に出ていたりすると、即刻注意されます。それでも、ちゃんとした雰囲気を味わいたいなら、ぜひ名門倶楽部でラウンドしてみてください。

 そんな名門倶楽部の対極にあるのが庶民の味方、大衆クラブです。ですが、こちらは千差万別。優れている部分もあれば、劣っている部分もあり、プレーする場合にはどこを優先させて、どこを妥協するか、となります。

 たとえば、食事は美味しくないけど、コースが面白い。その場合、こっちとしてはゴルフをしに来ているわけで、食事をしに来たわけではない、というなら何ら問題ありません。食事はカレーで我慢すればいいか、となりますよね。

 また、かなり詰め込んで毎ホール待たされるコースがあります。それでイライラする人は厳しいでしょうが、自分はあまり気になりません。ゴルフは一日かけてやるものと理解しているので、その日のうちにラウンドできればいいです。

 個人的にしんどいと思うのは、グリーンがボサボサで地面が見えている、とかでしょうか。そうなると、パットを打ってもボールが跳ねたり、カップまできれいなカーブを描いてくれないことも......。それは、ちょっとシラけます。そういうコースは、プレーしていてつまらないですね。

 とにかく大衆コースでは、施設やサービスが料金と比例しています。安いぶん、どこかを我慢してください、と。先に挙げた食事とか、施設が古いとか、コースが狭いとか、交通の便が悪いとか......その我慢の部分に納得できるなら、それはそれでいいのかなと。

 ちなみに、自分のホームコースである扶桑カントリー倶楽部は、コースや食事、練習環境、予約など、十分に合格点。大いに楽しめています。料金が安いぶん、リクエストも多く、毎月友人をつれてラウンドしています。いい買い物をしたな、と思っています。

 強いて難を言えば、27ホールあるので、人気コースに予約が集中することでしょうか。あと、車での移動となると、そこそこ時間がかかるかなと。なにせ、最寄りのICは常磐自動車道の水戸インター。ちょっとした旅行になりますかね。

 自分は電車派なので、キャディバッグはコースに置きっぱなし。ボストンバックひとつ持って、特急列車に乗車。最寄りの駅から無料の送迎バスに乗って、およそ1時間半でコースに到着します。電車代も、65歳以上はJR東日本のジパング倶楽部を活用すれば3割引と、安く乗れるのがうれしいです。

 昔は、たまの名門コース探訪で喜んでいましたが、今は名門コースもひととおりラウンドして、こちらから「行きたい」と頼むことはなくなりました。つき合いでは、行きますけど。

 逆に、先に触れたグランPGMでのラウンドは、「機会があれば誘って!」とメンバーさんたちにおねだり中です。口うるさくなくてフレンドリー、ちゃんとお客さん扱いをしてくるコースですから、本当に有難いです。

 結局のところ、ゴルフはスポーツと言いながら、レジャーでもあり、社交でもあるのです。気持ちよくラウンドして、心地よくもてなしてほしい――コースに訪れるわれわれは、そう思ってもよろしいんじゃないですか。

    ニュース設定