エッセイ漫画は、自分が体験したことのない世界や出来事を知ることができ、そのことに興味を持つきっかけを与えてくれる。Xに4月上旬にアップされた『ヘアドネーションした話』は、作者のかとひとさん(@33_hito)が実際にヘアドネーションをした時の様子を、ポップかつテンポ良くまとめたエッセイ漫画だ。
イラストだけでなく、実際にヘアドネーションをしたかとひとさんのビフォーアフターの写真も載っており、「ヘアドネーションって?」と思った人にもよくわかる作品となっている。本作を制作した経緯などについて話を聞いた。(望月悠木)
◼︎テンポを良くするためのこだわり
――なぜ『ヘアドネーションした話』を制作したのですか?
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かとひと:ずっとロングヘアだったのですが、なかなか切る覚悟ができずにいました。そんな中でヘアドネーションを知り、「これなら気持ちよく髪を切れるかも!」と自然に決断できました。「私のように切るタイミングを迷っている人や、ヘアドネーションという仕組みを知らない人に届いたらいいな」と思って漫画にしました。
――とにもかくにも、1ページ目の“斬首”されているコマがインパクト抜群でした。
かとひと:その“あまりの軽やかさ”を表現したくて、思い切って首と体を離してみました。表情や色合いで“ギャグ寄り”に見えるようにしたつもりなのですが、怖くなかったですか?(笑)
――また、短いページ数だったおかげでテンポ良く読めたことも印象的でした。
かとひと:テンポの良さやポップさを大事にしているので、短いページ数で収めました。「短いページでも読者さんの印象に残ったら嬉しいな」と思って作成しました。
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――テンポ感を出すために、具体的に意識したことは?
かとひと:まだまだ長くなってしまうこともあるのですが、「同じようなセリフ回しになっていないか」「短い文章にできないか」などには気をつけています。他にも、読みにくくならないよう「1ページにコマ数を増やしすぎない」ことも意識しました。
――漫画でありながらも、実際にかとひとさんがヘアドネーションをした際の写真があったことで、よりヘアドネーションがどういうものなのか伝わってきました。
かとひと:「この長さがあればできるんだ」「切った後も意外と髪が残るな」など、視覚的にわかりやすくなればと思い、写真も添えることにしました。顔を載せずに、わかりやすい角度を切り抜けるように美容師さんに協力してもらい、たくさん写真を撮っていただきました。実際に興味のある人の参考になれたら嬉しいです。
◼︎エッセイ漫画を描く際に意識していること
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――本作はかとひとさん自身の経験をまとめたエッセイ漫画でしたが、エッセイ漫画とオリジナルストーリー漫画を描くうえで、どのような違いがありますか?
かとひと:エッセイ漫画は、自身が体験したことをベースにしながら、読みやすいように不要なエピソードを外していきます。そのうえで「この事実をどんなふうに切り取れるか」「自分の心が揺れた箇所を大胆に描けるか」などを意識して描いています。一方、オリジナルストーリーはまだまだ勉強中ですが、自由度が高い分、「読者を惹き込む構成力が大事」だと思っています。
――「自分の心が揺れた箇所を大胆に描けるか」という点は、特に大切な気がしますね。
かとひと:そうですね。エッセイ漫画では「嘘の感情にならないように」と心がけています。全部をさらけ出す必要はないけれど、「私はこの時どういう感情になったのか」ということをちゃんと掘り下げ、「描きたい部分は丁寧に、感じた感情をしっかり描く」ことを意識しています。
――最後に、今後の目標などを教えてください!
かとひと:今後もSNSなどで「定期的に読みたい」と思ってもらえる漫画家を目指して活動していきたいです。エッセイ漫画の書籍化も目指しつつ、個人的に大好きな広島東洋カープやMリーグなど、趣味を活かしたお仕事にもチャレンジできたら嬉しいです!また、定期的にコミティアなどのイベントにも参加しているので、機会があればぜひリアルでも読者さんと会えたら嬉しいです!
(文・取材=望月悠木)
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