ドコモ新料金プランは何が変わった? 「ドコモ MAX」と「eximo」を比較、値上げ以上の価値が受け入れられるか

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2025年04月25日 11:21  ITmedia Mobile

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ドコモが6月5日から提供する、新たなデータ使い放題プラン「ドコモ MAX」

 NTTドコモが、2025年6月5日から新料金プラン「ドコモ MAX」「ドコモ ポイ活 MAX」「ドコモ ポイ活 20」を提供する。


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 ドコモ MAXは現在提供しているデータ無制限プラン「eximo」、ドコモ ポイ活 MAXは「eximo ポイ活」の後継プランに位置付けられる。ドコモ ポイ活 20は、中容量の20GBに抑えた新プランとなる。新料金プランの提供に伴い、eximoとeximo ポイ活は、2025年6月4日に新規受付を終了する。


 気になるのが、今のeximoと比べて料金は高いのか、安いのか、何が変わったのかだろう。そこで、ドコモ MAXとeximo、ドコモ ポイ活 MAXとeximo ポイ活の料金や特典などを整理してみた。


●ドコモ MAXとeximoの違い 割引適用で値上げ幅を220円に圧縮


 まずはドコモ MAXとeximoから。1GBまで、1GB超〜3GB、3GB超〜無制限という3段階の設計は、両プランとも変わらない。割引前の基本料金はドコモ MAXが1133円値上げになっているが、ドコモ MAXでは割引を手厚くしている。みんなドコモ割とドコモ光セット/home 5G セット割は1100円から1210円に、dカードお支払割は187円から550円に増額した。


 さらに、ドコモ MAXでは長期割引を新設し、ドコモの契約期間が20年以上だと月220円、10年以上だと月110円を割り引く。110円を割り引くドコモでんきセット割も新設した。割引をフルに適用した場合、ドコモ MAXのeximoからの値上げ幅は220円に抑えられる。


 加えて、ドコモ MAXでは新たな特典を用意する。ドコモが目玉として訴求するのが、月額4200円の「DAZN for docomo」が追加料金なしで見放題になること。


 ahamoで提供していた国際ローミング30GBまで無料の特典も2025年9月以降に追加する。9月までは「世界そのままギガ」を契約することで、追加料金なしで30GBまで利用できる。なお、ahamoの国際ローミングは91カ国をカバーしているが、ドコモ MAXでは200を超える国や地域をカバーする。


 Amazonプライムの月額料金6カ月分をポイント還元し、7カ月目以降は120ポイントを還元する特典も用意する。


●ドコモ ポイ活 MAXとeximo ポイ活の違い 20GBプランのお得感は薄い


 続いて、ポイ活プランの違いも見ていこう。こちらも基本料金は、ドコモ ポイ活 MAXがeximo ポイ活よりも1133円高いが、割引適用後の差額は220円に縮まる。DAZN for docomoが見放題、国際ローミング30GB無料、Amazonプライム6カ月分が実質無料といった特典もドコモMAXと同様だ。


 dカードやd払いの還元率は変更なく、対象決済サービスで受けられる最大5000ポイントの還元も変わらない。こちらも、追加された特典に魅力を感じられるかどうかが、乗り換えの判断基準になりそうだ。


 また今回、新たに中容量のドコモ ポイ活 20も追加した。20GBまでと20GB超〜無制限の2段階で料金が変動し、20GBを超えると基本料金が7898円から9570円に上がる。この金額はeximo ポイ活やドコモ ポイ活 MAXよりも安いが、注意点がある。


 ドコモ ポイ活 20のポイント還元率はドコモ ポイ活 MAXよりも低く、dカード PLATINUMだと10%から5%に、dカード GOLDだと5%から3%に、dカードだと3%から1%に下がる。対象決済の利用によるポイント還元は、MAXの半分である2500ポイントにとどまる。このポイント分を、割引適用後の基本料金から引いた金額は、20GB超えだと3740円になり、eximo ポイ活やドコモ ポイ活 MAXよりも高くなる。


 ドコモの決済サービスをよく使い、毎月のデータ通信量が20GBを超える人は選ばない方がいいだろう。また、ドコモ ポイ活 20には、DAZN for docomo無料、国際ローミング30GB無料、長期利用割の特典が付かない点にも注意したい。


 ドコモ MAX/eximoと、ドコモ ポイ活 MAXとeximo ポイ活の違いをまとめると、以下の通りになる。


・基本料金はMAXの方が1133円高い


・MAXには最大220円割引の長期利用割を新設


・割引適用後の料金差は220円に縮まる


・MAXはDAZN for docomo無料、国際ローミング30GB無料、Amazonプライム6カ月分実質無料の特典あり


・DAZN for docomo無料の特典はドコモ MAXとドコモ ポイ活 MAXのみ


・ドコモ ポイ活 MAXとeximo ポイ活のポイント還元率や還元額は変更なし


・ドコモ ポイ活 20は特典が乏しく、20GBを超える人は使うべきではない


●「値上げ」を上回る「価値」を加え、多様化するニーズに応える


 では、なぜドコモはこのタイミングで料金プランを一新したのか。NTTドコモ 代表取締役副社長 コンシューマサービスカンパニー長の齋藤武氏は、「ユーザーのニーズが多様化している」ことを挙げる。そこで、単なる通信サービスではなく、「さまざまなバリューを盛り込んだ料金プランに一新する」ことを決めた。ドコモが考えるバリューとは、「熱狂、感動、共感を生み出し、全ての人々が、生活に豊かさを感じられる世界を実現すること」だとする。


 その一環で決まったのが、DAZN for docomoやAmazon、国際ローミングの特典だ。NTTドコモ 執行役員 コンシューマサービスカンパニー統括長の鈴木基久氏は「今やどの世代でもインターネットショッピングの利用率は70〜80%」「日本人の70%以上がデジタルデバイスでスポーツ観戦をしている」という統計に言及し、AmazonやDAZNの特典の意義について述べた。また、ahamoの国際ローミング30GBが「大変好評だった」ことから、MAXにも盛り込んだ。


 一方で、シンプルに料金を比較すると、値上げになるのは事実。この点について齋藤氏は「データ量と値段だけでなく、価値を選んでもらうというコンセプトで変えた。値上げ以上に、DAZN、Amazonプライム、国際ローミング、長期割引など、それを上回る価値を入れ込んでいると自負している」と自信を見せた。


●目玉はDAZN for docomoの無料化、他のエンタメは「爆アゲセレクション」でカバー


 今回、ドコモが目玉としているのがDAZNとの協業だ。2017年からDAZN for docomoとして、ドコモユーザー向けのサービスを提供してきたが、対象プランの契約者は無料という、さらに一歩進んだ提携となった。auでも、DAZNをバンドルした料金プラン「使い放題MAX+ 5G/4G DAZNパック」を提供しているが、こちらはDAZNの月額料金を含めたもの。


 DAZN Japan Investment 最高経営責任者/CEOの笹本裕氏によると、DAZNの無料化は、ドコモ以外のキャリアでは実施しない、独占的な施策だという。


 ドコモは国立競技場やIGアリーナなどの運営に携わるベニュービジネス、Jリーグやプロ野球球団との協業など、スポーツ事業にも注力している。その一環でDAZNと包括協業契約を結び、今回の特典につなげた。なお、今後はドコモ MAXとドコモ ポイ活 MAXの契約者向をスポーツイベントに招待する、選手とのミート&グリートといった施策も検討していく。


 一方、DAZNに興味がない人にとっては、プランの魅力は半減してしまう。この点について齋藤氏は、今回のDAZN for docomoの特典をきっかけにして「今まで見ていなかったお客さんがスポーツを見る、スタジアムに行くといった循環を進めていきたい」とコメント。また、今回発表した特典にとどまらず、今後もMAXに付帯する特典は増やしていくことも視野に入れている。


 どのようにコンテンツを追加していくかはまだ決まっておらず、「プランの中に追加していくこともあるだろうし、MAXを使っているお客さまに安価に提供するという形もあると思う」(齋藤氏)とのこと。


 auではNetflix、Apple Music、YouTube Premiumなどのエンタメコンテンツをバンドルしたプランも提供しているが、こうしたコンテンツがドコモ MAXに追加される可能性はあるのか。ドコモ コンシューマサービスカンパニー マーケティング戦略部長の山本明宏氏は、「その可能性は否定できない」と答えながら、DAZNのような「1つのセグメントに特化したものを選んでいただきたい思いもある」とする。


 ドコモは、対象のエンタメサービスを利用すると、10〜25%のdポイントを還元する「爆アゲセレクション」を提供しており、そこにはNetflixやYouTube Premiumも含まれる。こうした汎用(はんよう)的なコンテンツは、「爆アゲセレクションで十分カバーできている」(山本氏)との考えもある。


 なお、DAZNについては、DAZN側が値上げをしたことで、キャリア側もそこに合わせて値上げをしてきた過去があるが、今回のドコモ MAXも、DAZNの価格改定に伴う値上げの可能性はあるのか。齋藤氏はこれを否定し、将来的な値上げについては「今のところ考えていない」とした。


●シンプルにデータ容量を求めるなら「ahamo大盛り」がおすすめ


 新設されたDAZN for docomoや国際ローミングなどの特典に魅力を感じるかどうかが、ドコモ MAX/ドコモ ポイ活 MAXに乗り換えるかどうかに決め手になるが、DAZNを一切見ず、海外に行かない人にとっては割高なプランになってしまう。


 特典を省いた純粋な使い放題プランがないのは気になるところだが、山本氏は、月額4950円で110GBのデータ通信を利用できる「ahamo大盛り」を勧める。ただしahamoはドコモショップでは契約できないオンライン専用プランなので、ユーザーを選ぶ形になる。


 ドコモの新料金プランが登場したことで、プランを選ぶ基準も変化することになる。MAX、ポイ活 MAX、ポイ活 MAX 20、mini、ahamoという5つのプランそれぞれが、どんなユーザーに向いているのかを、ドコモ自身も分かりやすく説明していく必要がありそうだ。



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