現状で“ほぼ最強”のゲーミングノートPC「Lenovo Legion Pro 7i Gen 10」(5080モデル)を試す モンハンワイルズも快適

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2025年04月25日 12:21  ITmedia PC USER

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今回レビューするLegion Pro 7i Gen 10(83F5007SJP)。4月25日時点では固定構成は未発売だが、同一構成のカスタマイズ(CTO)モデルは58万140円で販売されている

 レノボ・ジャパンが4月25日、新型のゲーミングノートPC「Lenovo Legion Pro 7i Gen 10」を発売した。


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 この記事では、Core Ultra 9 275HX(Pコア8基+Eコア16基)とGeForce RTX 5080 Laptop GPUを搭載する構成を借用した上で、その実力をチェックしていく。


●Legion Pro 7i Gen 10(5080モデル)の概要


 Legion Pro 7i Gen 10は、プロゲーマーの利用を視野に入れたゲーミングノートPC「Legion Pro 7」シリーズのIntel CPU搭載構成の最新モデルだ。レノボのコンシューマーモデル(Idea/Yoga/Legionブランド)の場合、モデル名の数字に「i」が付いているとIntel製CPU/SoCを搭載することを意味する。


パワフルなCPU/外部GPUを搭載


 CPUはCore Ultra 9 275HXを備える。Core Ultra 200HXプロセッサ(開発コード名:Arrow Lake-HX)において上から2番目にスペックの高いモデルで、パフォーマンスコア(Pコア)は最大5.4GHz、高効率コア(Eコア)は最大4.6GHz駆動する。


 内蔵GPUはXe-LPGアーキテクチャベースの「Intel Graphics」で、INT8(8バイト整数)演算時のピーク性能は8TOPS(毎秒8兆回)となる。内蔵NPU「Intel AI Boost」のINT8演算時のピーク性能は13TOPS(毎秒13兆回)だ。


 外部GPUはGeForce RTX 5080 Laptop GPUだ。新しい「Blackwellアーキテクチャ」で設計されており、最新の超解像/マルチフレーム生成技術「DLSS 4(Deep Learning Super Sampling 4)」にも対応する。グラフィックスメモリは16GBで、描画オブジェクトの多いゲームはもちろん、最近はやりの画像生成AIの利用時にもその威力を発揮する。


 CUDAコアは768基で、INT8演算時のピーク性能は1334TOPS(毎秒1334兆回)となる。デスクトップ向けの「GeForce RTX 5080」と比べると性能は少し劣るが、ノートPC向けGPUとしてはかなり強力だ。


 本製品は、内蔵GPUと外部GPUを状況に応じて動的に切り替えるNVIDIAの技術「Advanced Optimus」にも対応する。標準設定の場合、通常時はCPU内蔵GPUのみで描画と画面表示を行うが、強力なGPUパワーを使うアプリ(ゲームや3Dアニメーションツールなど)が起動すると、描画と画面表示を外部GPUだけで行うように切り替わる。


 ただし、この切り替えを行う際にシステムが2〜3秒ほど応答しなくなるため、「使うGPUを常に固定したい」という場合はLegionシリーズのオリジナルユーティリティー「LegionSpace」から設定可能だ。


 メインメモリはDDR5-6400規格の16GB CSODIMMを2枚搭載する(合計32GB)。直販限定のカスタマイズ(CTO)モデルではこのCSODIMMを32GB×2(合計64GB)とすることも可能だ。


 ストレージはPCI Express 4.0接続の1TB SSDを備える。SSDスロットは2基あり、片方がPCI Express 5.0 x4接続、もう片方がPCI Express 4.0 x4接続となる。CTOモデルの場合、このSSDをPCI Express 5.0接続のより高速なモジュールに変更できる他、PCI Express 4.0接続の1TB M.2 SSDを「セカンドドライブ」としてプリセットすることも可能だ。


きれいなディスプレイを搭載


 ディスプレイは2560×1600ピクセル(アスペクト比16:10)の16型有機ELだ。リフレッシュレートは最大240Hz、応答速度は0.5ミリ秒、輝度は最大500ニトという仕様で「DisplayHDR True Black 1000」の認証も取得している。NVIDIAの同期技術「G-SYNC」にも対応している。


 このディスプレイはDCI-P3の色域を100%カバーしており、出荷時にカラーキャリブレーションも施されている。


 Webカメラは約500万画素で、電子式のシャッターを備えている。顔認証には対応しない。スピーカーは4基(ツィーター×2+ウーハー×2)構成で、SteelSeriesのゲーム特化型の音響ソリューション「Nahimic」による最適化を行っている。


キーボードは打ち心地良好 しかし一部の造形がどうしても気になる


 「Legion TrueStrikeキーボード」と名付けられたキーボードはテンキー付きの日本語配列で、キー単位でのRGBイルミネーションも備える。PCゲームで良く使う「WASDキー」の替えキーキャップと、交換用の工具も付属する。この辺はプロゲーマーの利用を意識した結果だろう。


 個人的に気になるのが、BackSpace/Enter/右Shiftキーやスペースキー周辺の“造形”だ。PCのキーボードのレイアウトは、大きく分けると「US(米国英語/ANSI)」「ヨーロッパ」「日本語」の3種類がある。昔のノートPCのキーボードは各レイアウトに最適化され、ボディーフレームも3種類用意されていたのだが、最近は海外メーカーを中心にキーレイアウトを問わず共通のフレームを採用し、その“しわ寄せ”が一部のキーの造形に出るということが珍しくない。


 TrueStrikeというだけあって、本製品のキーボードの打ち心地はとても良い。しかし、筆者が不慣れなせいか、レイアウト不問のフレームのしわ寄せを受けた先述のキーにおいてタイプミスを連発してしまった。ゲームをやるだけならいいだろうが、文章を打ち込むとなるとどうしても気になってしまう。


 日本語配列のためだけに専用のフレーム(とキーボード)を用意するのは、コスト面や生産の手間を考えると難しいのは百も承知だが、いい機会なので各メーカーにこの点はどうにかしてもらいたいと訴えておきたい。


ポート類は充実 USB PD対応だが“フルパワー”には非対応


 ポート類は左側面に電源入力、HDMI出力端子、USB 3.2 Gen 2(USB 10Gbps) Type-C端子、Thunderbolt 4(USB4)端子とUSB 3.2 Gen 2 Standard-A端子(常時給電対応)を、右側面にイヤフォン/マイク端子、USB 3.2 Gen 1(USB 5Gbps) Standard-A端子×2と有線LAN(2.5GBASE-T)端子を備える。ワイヤレス通信はWi-Fi 7(IEEE 802.11be)とBluetooth 5.4に対応する。


 USB 3.2 Gen 2 Type-C端子はUSB PD(Power Delivery)による電源入力とDisplayPort 2.1 Alternate Modeによる映像出力、Thunderbolt 4端子はDisplayPort 2.1 Alternate Modeによる映像出力にも対応している。ただし、USB PDの電源入力は65〜100Wに制限されるため、パフォーマンスに一定の制限がある。


 付属するACアダプターは400W出力だ。ACプラグはデスクトップPCの電源(PSU)でもおなじみの「C13/C14」タイプで、コンセントプラグ側にはアース線も設けられている。さすがにCPUも外部GPUもパワフルとなると、これくらいの電源容量は必要なのだろう。


 本製品は「Legion Coldfront」と呼ばれる独自の冷却機構を備えている。本体底面から空気を吸い込み、背面から一気に排気するという仕組みだ。各種チャンバーの効果も相まって、公称でTDP(熱設計電力)は最大250Wまで引き上げられる。


 パフォーマンスの制御は、レノボ独自のAIプロセッサ「Lenovo AI Engine+」を活用して自動的に行われる。LegionSpaceには「静音」「バランス」「パフォーマンス」の3つのプリセットが用意されており、ユーザーが自分で設定した「カスタム」と合わせて4種類の設定を「Fn+Qキー」で順繰りに設定可能だ。


パワフルだけに本体は重量級


 ボディーサイズは約364.38(幅)×275.94(奥行き)×21.9×26.65(厚さ)mmで、重量は最軽量構成で約2.57kgとなる。スペックがスペックということもあり、サイズも重量もそこそこにある。バッテリー容量(定格値)は80WhとノートPCとしては大きめなのだが、どのくらいのバッテリー駆動時間なのかは後ほどチェックしてみたい。


 ボディーカラーはEclipse Black(エクリプスブラック)で、あらゆるシーンになじむ。RGBライトは天板の「LEGION」ロゴ、本体の正面下部や背面にも仕込まれている。ライトのオン/オフや光り方の設定はLegionSpaceから行える。


●Legion Pro 7i Gen 10(5080モデル)の実力をチェック!


 Legion Pro 7i Gen 10(5080モデル)のスペックを一通りチェックしたので、ここからはベンチマークテストを通して実力をチェックしていく。


 なお、特記のない限り、テストはACアダプターを接続した上で、パフォーマンス設定を「バランス」とした状態で行っている。


CINEBENCH R23/2024


 Maxonの3Dグラフィックスレンダリングテストツール「CINEBENCH R23」でのCPUパフォーマンスを計測した結果は以下の通りだ。


・マルチコア:3万663ポイント


・シングルコア:2194ポイント


 Core Ultra 9 275HXを搭載するノートPCとしては妥当なスコアだ。デスクトップPC向けCPUがベースとはいえ、ノートPCとしてはとても高いスコアを記録している。


 より重い処理を行う「CINEBENCH 2024」では以下のようになった。


・マルチコア:1844ポイント


・シングルコア:134ポイント


 こちらも、同じCPUを搭載するノートPCとしては妥当といえる。ノートPCでもここまでスゴイのかと思うと、隔世の感はある。


PCMark 10


 ULのPC総合ベンチマークテスト「PCMark 10」の結果は以下の通りだ。


・総合:8466ポイント


・Essentials(Webブラウズ/ビデオ会議):1万948ポイント


・Productivity(オフィスアプリ):9785ポイント


・Digital Content Creation(写真/動画編集):1万5639ポイント


 外部GPUの効果もあって、Digital Content Creationのスコアは高めだ。先述の通り、本製品のディスプレイはDCI-P3の色域を100%カバーしている。「プロゲーマー向け」とは言うものの、映像や3Dグラフィックスのクリエイターにもピッタリな1台といえるかもしれない。


3DMark


 ULの3Dグラフィックスのベンチマークテスト「3DMark」の主要なテストを「バランス」に加えて「パフォーマンス」モードでもテストを行った。結果は以下の通りだ。


・Time Fire Strike(フルHD/DirectX 11)


・バランス:3万1430ポイント


・パフォーマンス:3万4879ポイント


Time Fire Strike Extreme(WQHD/DirectX 11)


・バランス:2万453ポイント


・パフォーマンス:2万2187ポイント


Time Fire Strike Ultra(4K/DirectX 11)


・バランス:1万1185ポイント


・パフォーマンス:1万2383ポイント


Time Spy(WQHD/DirectX 12)


・バランス:1万6679ポイント


・パフォーマンス:2万1688ポイント


Time Spy Extreme(4K/DirectX 12)


・バランス:8247ポイント


・パフォーマンス:1万1182ポイント


Port Royal(4K/DirectX Raytracing)


・バランス:1万793ポイント


・パフォーマンス:1万4513ポイント


Speed Way(4K/DirectX 12 Ultimate)


・バランス:4283ポイント


・パフォーマンス:5884ポイント


 バランスモードでもそこそこに高いスコアだが、パフォーマンスモードにするとテストによってはスコアが大きく伸びる。


Cyberpunk 2077


 実際のゲームはどうだろうか――ということで、重量級ゲームを代表してCD Project REDの「Cyberpunk 2077」の設定内ベンチマークテストを実行してみた。プリセットは一番負荷の重い「レイトレーシング:オーバーレイ」相当にした上で、フルHD(1920×1080ピクセル)とWQHD(2560×1440ピクセル)でテストした結果、平均フレームレートは以下の通りとなった。


・フルHD


・DLSSオフ(ネイティブ):26.59fps


・DLSSオン:48.61fps


・DLSSオン(フレーム生成2X):86.91fps


・DLSSオン(フレーム生成3X):119.45fps


・DLSSオン(フレーム生成4X):152.98fps


WQHD


・DLSSオフ(ネイティブ):15.85fps


・DLSSオン:37.7fps


・DLSSオン(フレーム生成2X):70.95fps


・DLSSオン(フレーム生成3X):99.73fps


・DLSSオン(フレーム生成4X):124.94fps


 やはりCyberpunk 2077はやはりヘビー級のタイトルなんだなと痛感するが、これがノートPCだと考えると十分な性能を備えていると思う。描画の様子を見守っていると、240Hz駆動の有機ディスプレイは効果てきめんで、DLSSがもたらす高フレームレートをしっかりと表示できている。


モンスターハンターワイルズも快適!


 カプコンの「モンスターハンターワイルズ」のベンチマークテストを2560×1600ピクセル解像度で平均フレームレートを求めたところ、以下の通りとなった。快適にプレイできるだろう。


・DLSSオフ(ネイティブ):58.15fps


・DLSSオン:72.82fps


・DLSSオン(フレーム生成あり):111.84fps


PCMark 10 Battery Profile(Modern Office)


 本製品はかなりハイスペックな製品だ。バッテリー容量は80Whと大きめだが、結構早く消費されてしまう予感がする。


 そこで、PCMark 10に内包されたBattery Profileテストから、Modern Officeシナリオを選択し、ディスプレイの輝度を100%とした上で満充電(100%)から残量6%(強制休止状態)に入るまでの時間を計測したところ、1時間23分となった。


 輝度を上げた“いじわる”な状態だったことも相まって「まあ、こんなものか」という結果となった。今回は時間の都合で試しきれなかったが、「とにかくバッテリー駆動時間を重視したい!」という場合は、Legion SpaceでAdvanced Optimusの動作モードを「ハイブリッド iGPU専用モード」(外部GPUを使わないモード)にすれば結果は大きく伸びると思われる。


●今どきのゲーミングノートPCはこんなに強いのか……


 今回試したLegion Pro 7i Gen 10(5080モデル)は、同一構成のCTOモデルが約58万円だ。それだけに、現状考えられるノートPCとしてはかなり“強い”。プロゲーマーだけなく、色の正確性が重要なクリエイターにもお勧めできる1台だ。「パワフルなPCが欲しいけれど、置く場所がない」「3Dレンダリングや動画エンコードを高速に行える、持ち運べるPCが欲しい」という人にもピッタリだ。


 ただし、概要でも紹介した通り、個人的にはキーボードの一部のキーに違和感を覚えてしまう。US配列だとこの違和感が大きく薄れるのだが、現時点ではCTOオプションにキーボードの配列は含まれていない。筆者が気にしすぎなだけなのだろうか……?


 ともあれ、本製品はCore Ultra 9 275HXとGeForce RTX 5080 Laptop GPUのパワフルさを体感するにはベストな選択肢の1つだ。ぜひ、チェックしてみてほしい。



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