“キッチン周りがなんだかクサい……”問題。ニオイの意外な正体と対策をプロに聞いた

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2025年04月26日 08:50  女子SPA!

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女子SPA!

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 暖かくなって過ごしやすくなりましたが、菌やニオイに関しては心配なことが増える季節。「自分なりに食中毒の対策はしてるけど、正しいか不安」「キッチン周りの嫌なニオイが気になる」という人も多いのではないでしょうか。

 そこで今回は、世界初の手押し式殺虫液を作った会社でもあり、40年近く菌・ウイルスの対策剤について研究開発を行っているフマキラー株式会社で菌やウイルスの研究に携わり、大学時代から培った科学の知識も活かして商品開発をおこなう進藤智弘さんに話を聞きました。

◆いまから気をつけるべき菌と理由

――過ごしやすくなり、菌の増殖も気になる時期に突入したような気がします。

進藤さん:そうですね。暖かくなり、冬とは違った菌やウイルスへの対策が必要となる時期です。とくに梅雨の時期から夏にかけては、細菌を原因とした食中毒の発生が増えます。

 食中毒自体は年間を通して発生するものですが、冬場(とくに11月〜翌年3月)に発生しやすいのはノロウイルスなどによる胃腸炎。暖かくなるこれからの季節は菌が増えやすくなり、食品に付いた菌によって起こる食中毒が多くなります。

――過ごしやすい3〜4月頃や少し涼しくなった秋頃のほうが、油断しやすいから気をつけたほうがいいと聞いたことがあります。だいたい何℃くらいから菌は活発になりますか?

進藤さん:基本は25℃を超えたあたり。ただ、温度だけでなく湿度による影響も大きいので、雨がたくさん降る梅雨時期などはとくに注意が必要です。ほかにもさまざまな条件で菌は増えるので、すごく暑い時期ではなくてもしっかり注意したほうがいいですね。

――25℃と聞くとまだ先の話に思えますが、東京都だと2024年の3月末頃には1日の最高気温が24.6℃と28.1℃の日が続き、4月になると25℃超えが8日もありました。とくに注意したほうがいい食品や家庭でもできる対策方法はありますか?

進藤さん:とくに注意が必要なのは、お弁当や常温で置いてしまいがちな食品です。お弁当や食事の作りだめで常温に置いていると、どうしても菌が増えてしまう。なので、まずは調理をするときや器に入れるときに“菌をつけないこと”が重要です。

◆おかずの取り分けや鍋・おにぎりにも注意

――家庭で“菌をつけない”具体的な方法についても教えてほしいです。

進藤さん:調理する人がしっかりと手洗いをすることはもちろん、おかずを取り分けるときや盛り付け時に素手で取り分けたりせず、お箸やトングを使うことで菌がつきにくくなります。おにぎりは素手ではなくラップを使って握るなど、食品に直接触らないことがポイントです。

――忙しさや流れで、おかずをパッと手で器やお弁当箱に入れてしまうことはありそうですね。

進藤さん:はい。あと、食べ切ることも大切です。食べ切れる分だけ作るようにして、食べ切れなかったものはすぐに冷蔵庫へ入れる。箸をつけたものは残しておかずに処分するなど、“菌を増やさない”を徹底することも大事です。

何回かに分けて食べる鍋物やカレー類などは、常温でそのまま保管しない。保管する前にきちんと火を入れて菌を殺し、粗熱をとってから冷蔵庫に入れるようにします。そして冷蔵庫から出したときにもう一度火を入れてから食べるようにするといいですね。

――どれも、簡単に実践できそうです。

進藤さん:あとは事前に、お弁当箱や食器など食品を保管する器自体を除菌しておく。キッチン周りに使える除菌剤には食品や容器に使えるものもあるので、事前にチェックして、さまざまな用途に使えるものを1本購入していただくと節約にもなって良いと思います。

◆アルコール除菌のNGと便利な使い方

――アルコール除菌はキッチン周りだけでなく、シュッとスプレーするだけで家じゅうの至るところが除菌できる楽ちんなアイテムですが、注意することなどありますか?

進藤さん:アルコール除菌スプレーをしたあと、すぐに乾いた布などで拭き取ってしまう人も多いようですが、そうすると除菌の力が半減してしまいます。スプレーして10〜30秒ぐらい経ってから拭き取るか、たっぷりとアルコール除菌の液を染み込ませた布を使って対象物を拭くようにしてください。

また、抗菌成分の入った商品の場合は拭き取らずそのままにしておきましょう。そういった商品には「ふき取りなし」「ふき取りや水洗いも不要」などと記載があります。

――なるほど。

進藤さん:あと、アルコール除菌にはアルコールが含まれているので、火の気のあるところでは使用しない。ソファなどの革製品やワックスをしたフローリングなど、素材を傷める可能性があるものにも注意。商品のラベルをよく確認してみてください。

――使い方を間違えると怖いですね。

進藤さん:正しく使っていただければ、油汚れにも強いアルコール除菌はキッチン周りを掃除するのにも便利です。調理中に油の飛びやすいIHコンロなど、油汚れに直接スプレーをして油を浮かせ、しばらくしてから拭き取ると汚れが落ちやすくなります。

◆菌による嫌なニオイの発生を防ぐ

――便利なアルコール除菌スプレー、ほかにもおすすめの使い方はありますか?

進藤さん:食器用スポンジを使い終わったあと水気をしっかりと絞ってスプレーしておくと、嫌なニオイを防ぐことにもつながるのでぜひ試してみてください。泡立ちに影響する成分も入っていないですし、使いはじめるときにはアルコールが飛んでいるので、普段どおり食器用洗剤をつけて問題ありません。

――食器用スポンジにもアルコール除菌をしたほうがいいというのは知りませんでした。

進藤さん:食器用スポンジから漂ってくる嫌なニオイ、実は菌によるもの。菌がスポンジに溜まっている食べ物を栄養にしようと分解しているときに、あの嫌なニオイが発生します。菌というと、どうしても食中毒や病気のイメージがあると思いますが、このようにニオイ発生の原因となっていることもあるのです。

――そういったケースは結構あるのでしょうか?

進藤さん:たとえば、キッチンやリビングなどの居室空間などで異臭がすると感じたとき、「生乾きの洗濯物かと思ったら、実は布巾が臭くなっていて、それでテーブルなどを拭いたからだった」という話もあります。これは、使ったあとの台ふきんをそのまま放置して菌が繁殖し、ニオイを発生してしまったというケースです。

――布巾をすぐに洗っていても嫌なニオイがするという話もよく聞きます。

進藤さん:そうですね。使ったあとの布巾は塩素系漂白剤を使うなど、やはり除菌が必要。漂白剤でのつけおきが面倒という場合は、テーブルなどの対象物に直接アルコール除菌スプレーをしてからキッチンペーパーやティッシュで拭き取って捨てると衛生的です。

◆靴の嫌なニオイにも除菌が効果的

――菌がニオイの発生原因かもしれないということは、靴の悪臭も洗濯だけではなく除菌が必要でしょうか?

進藤さん:靴や玄関周りの酸っぱいニオイなどには、消臭に加えて、原因となる菌をやっつけることも有効です。靴をこまめに洗濯し、しっかりと乾かしてから除菌スプレーをし、殺菌効果のあるソープなどで足自体もしっかりと洗ってあげることが菌を減らすことにつながります。当社だと、皮膚の洗浄・殺菌・消毒のほか、体臭や汗臭さを防ぐ『素足の気持ち あわケア』が該当します。

――靴や洗濯物などのニオイが気になるとき、干してすぐにスプレーしていました。乾いた状態でスプレーしたほうがいいんですね。

進藤さん:生乾きのときにスプレーすると効果も半減するので、乾ききってから、もしくは乾いている状態のときに使ってください。玄関マットや靴箱に使える除菌と抗菌効果のあるような商品をスプレーしておくのもおすすめです。

――玄関マットや靴箱にも使えるのはうれしいですね。

進藤さん:余談にはなりますが、冬なると「冬のほうが、足が臭くなる」という相談もあります。冬は冷えないようにあたたかい靴下を着用してから靴を履いたりブーツで出かけたりすることも多いと思うので、足が蒸れやすくなってしまうのです。いまからの季節だけでなく、足のケアは一年を通して続けていただけるといいと思います。

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 これからの季節は、菌の増殖やニオイが気になる季節。食品を扱ったり保管したりするときには衛生面に気をつけるほか、アルコール除菌スプレーをはじめ、消臭や殺菌など自宅でもできる対策を実践しながら気持ちのよい毎日を過ごしたいものですね。

【進藤智弘】
世に出す商品の効果や責任にこだわるフマキラー株式会社の姿勢や「人の命を守る、人の暮らしを守る、人を育む環境を守る」という企業理念に共感し、転職。2016年より応用開発研究部で菌やウイルスの研究とともに大学時代から培ってきた科学の知識を活かしながらの商品開発をスタートし、2023年末からは開発企画室・係長として商品企画の発案や開発に務めている。

<取材・文/山内良子>

【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意。

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