
猫を救ってくれるのは、人間だけではありません。時に、種族の異なる別の動物によって、その小さな命が輝きを増すことがあります。保護猫の男の子「おはぎ」くんも、生後推定2カ月のとき、九死に一生を得たひとり。そして、飼い主のXユーザー・床さん(@ningenhayuka)のおうちで、優しいワンちゃんに囲まれながら成長しました。
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車両下から畑に投げ込まれた小さな子猫
2022年8月17日、ある農道で車が不自然に停車するのを目にした飼い主さん。すると、車から降りてきたドライバーは、車両下から何かをつかんでそばの畑に投げ込みました。
「何か生き物を轢いてしまったのだろうか…と思いました。せめて弔おうと思い、愛犬と散歩に出かけたとき、その付近を探したのです。すると、猫風邪のため両目が塞がった小さな子猫を発見しました。愛犬が鼻でつつくと、ほんの少し頭をもたげました。まだ生きていると思い、すぐ動物病院へ。とにかく、無我夢中でした。『関わったからには、今できることをしよう!』と思ったのです」
当時、おはぎくんは、生後推定2、3カ月。飼い主さんは、家族の一員として迎え入れることを決めました。
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先住犬が母親代わりに…少しずつ築いた心地よい距離
当初はほとんど動くことができなかったおはぎくんですが、数日経つと鳴くことができるようになり、よちよちとではありますが動けるようになったといいます。それでも、まだまだ母猫の助けが必要な時期。不安でたまらないといった様子で、か細い声で鳴いていました。すると、思わぬ“母代わり”を買って出てくれた子がいたのです。
「ダックスフントのレンが、おはぎのことを気にかけてそっと寄り添い、あやしてくれるように。ようやく、おはぎは少しずつ落ち着きました。当初は猫風邪の状態がひどく、特に右目は白く濁って全く見えていないようでした。幸い、今は回復しています。また、特にトイレを教えていませんでしたが、自然にできたときはびっくり! 猫ちゃんってみんなそうなのでしょうか」
ダックスフントにお世話をしてもらったとはいえ、飼い主さんの家にはほかにも犬が5匹いました。それぞれ、おはぎくんのことが気になり、追いかけまわすように。そのため、程よい距離感を築くまでは試行錯誤し、大変だったそうです。
「今は、仲良しとまではいきませんが、お互いに心地よい距離感を保ちながら過ごすことができるようになりました」
先住犬との悲しい別れ…おはぎさんの存在が癒やしに
飼い主さんにとって、猫を迎えるのはおはぎくんが初めて。それでも、犬と暮らしてきた経験が役立ち、困ることは無かったといいます。
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「子どもがいないので犬も猫もかわいい我が子という感じです。強いていうなら…爪が鋭く引っ掻かれると痛いことと、高い場所にも軽々と上ってしまう身体能力の高さに驚くくらいです」
また、おはぎくんを迎えたことで、飼い主さんは明るい気持ちになれたともいいます。
「おはぎに出会う前、18年をともに過ごしたシニア犬を亡くしました。おはぎが来てくれて家が明るさを取り戻したような気がします。犬たちもまた寂しそうにしていましたが少しずつ元気になってくれました。もちろん、亡くなった子の代わりはいませんが、心を慰めてもらったように思います」
誰よりも早起き! 味見担当になったおはぎさん
おはぎくんは、現在2歳を迎えました。とても活発で食いしん坊。誰よりも早起きして、朝ごはん前のつまみ食いを楽しんでいるといいます。
「ごはんに茹でた鶏のささみをトッピングするのですが、最初の味見を担当してもらっています(笑)。おはぎが同居犬の中で一番好きなのは、おそらく最初にお世話をしてくれたレンさんだと思います。人間よりもレンさんによく甘えて、毛づくろいをするほど。ヒートアップしてくると甘噛みしてしまうことも。そのときは、人間が間に入ってたしなめています」
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お迎え当初は、とても小さかったおはぎくん。レンくんや他のワンちゃん、何より飼い主さんに愛情を注がれ、すくすくと成長しました。
「幼いころより、手加減することを覚えたように感じます。人間と犬にもまれて生活しているので、それぞれとの距離の取り方がうまくなってきましたね」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)