
1000人以上を成婚に導いてきた“婚活の女神”、植草美幸さん。メディア出演も多数。そのたびに強く愛ある言葉で、迷える人たちにハッパをかけ、夢を叶えるお手伝いをしてきた。そんな植草さんに、婚活業界の現状、困った相談者の実態などを話してもらった!
結婚相手として求められるハードルは高くなっている
『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)で一躍、注目を集めたカリスマ婚活アドバイザーの植草美幸さん。1000人以上を成婚に導いてきた植草さんが代表を務める結婚相談所「マリーミー」には、婚活に悩む人々が出会いを求めて駆け込んでくる。
「私が結婚相談所を始めた16年前、会員様の大半は20代から30代前半でしたが、今は40代、50代の方が入会されることも珍しくありません。初婚から再婚まで幅広い年齢層の方が、真剣にパートナーを求めていらっしゃいます。最近では外資系の一流コンサル企業勤務だったり、年収3000万円以上のいわゆるハイスペックな男性会員様も増えています」(植草さん、以下同)
時代とともに、男性会員が結婚相手に希望する条件も変化していると語る。
「昔は若さや容姿を求める傾向が強くありましたが、ここ1、2年は女性の年収も気にされる男性が目立ちます。共働きが前提の方がほとんどですから、女性の職業や働き方が結婚相手の条件として非常に重要になっています。
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また資産が何十億円とあるような社長や資産家男性は、家柄がしっかりした知的な女性を求めていらっしゃいます。若いキラキラ女性は遊び相手にはいいけれど結婚にはちょっと……と、身元がはっきりわかって安心感のある相談所を選ぶのです。男女問わず、結婚相手として求められるハードルは高くなっているといえます」
一筋縄ではいかない婚活界隈。昨今、婚姻数が減少している背景には、恋愛に消極的で受け身な男女が増えたことも関係しているようだ。
「ネット上の交流には慣れていても、逆に対面のコミュニケーションは苦手という方が多い。相手の目を見て話す、相手のためにオシャレをして楽しくデートする……といったことができないのです。
例えば先日もある女性と年収1000万円の男性をマッチングしたのですが、女性がデートにほぼノーメイクで行ってしまったんです。男性は、プロがメイクしてバッチリ着飾った女性のプロフィール写真を見てお見合いを申し込んでいるわけですから、写真と別人が現れたら、それはガッカリしますよね。
私は会員様に、『どれだけ自信があってもノーメイク、ナチュラルメイクという名の手抜きメイクでデートするのは危険です!』 とお伝えしているんです」
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ヘアセットやメイクで自分を最大限、魅力的に見えるように努力する……そういったサービス精神が、婚活市場での成功率を大きく左右するという。
「どれだけ自信があっても、自分さえ良ければ……という意識では、婚活はもちろん人付き合いの基本としてもNGですよね。少女マンガや流行りの韓国ドラマなどの影響で、特別な努力もせず、いつかありのままの自分を愛してくれる王子様が現れると夢見ている女性は多いのですが、そんな奇跡は現実では起こりえないとしっかりお伝えしています」
イケメンたちがいきなり自分を取り合って三角関係に……なんて夢物語はリアルでは起こらない。思いやりを持ち、相手がどう感じるか想像力を働かせることはコミュニケーションの基本でもある。
あざとい=コミュニケーション力が高い
「男性がデート中にサラダを取り分けてくれないと、『なんで取り分けてくれないの?』と文句を言う女性がいるんです。そうすると男性も『だったら君がやればいいだろ』とカチンときてしまう。
こういうときに『私、あれとあれが食べたいなぁ』とお皿を持って可愛らしくお願いすれば、男性は喜んで動いてくれるんですよ。自分からアクションを起こさず『さあ私を喜ばせなさい』とただ待っている、察してちゃんでは男性は離れていくし、幸せをつかめません!」
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そんな受け身で“察してちゃん”な女性と対極にいるのが、“あざとい”と呼ばれる女性たちだという。
「“あざとい”って、嫌な女性のように思われる方もいるかもしれませんが、実際は“コミュニケーション力が高い”ということ。自分の気持ちを素直に伝えて、相手を動かす力に長けている女性なんです。
男性に『これをやってもらえるとうれしいな』が可愛く伝えられるから、男性も喜んで動いてくれる。思いを伝えることをサボらないから、願いをどんどん叶えられる。あざといは、人から愛されて幸せに生きるために必要なテクニックなんです」
2月に発売された植草さんの最新著書『結局、女は「あざとい」が勝ち! 仕事もお金も恋愛も結婚も、すべてを勝ち取る最強ルール50』(清談社Publico)は、そんなあざとい女性になるための極意がぎゅっと詰まった一冊になっている。
「例えば男性に『何食べたい?』『どこ行きたい?』と聞かれて、『なんでもいいです』と委ねておきながら『本当はあんなお店行きたくなかった』と後から文句を言う女性がすごく多い。
一方、あざとい女性は最初から『このお店行ってみたい』『これが食べたい』など自分の願望を素直に伝えているので、こうしたコミュニケーションの齟齬も起こりにくいのです」
結婚へのハードルが上がり続ける現代で、植草さんの元には子どもの婚活に悩む親世代からの相談も寄せられる。
「時代錯誤と言われるかもしれませんが、お子さんに対しては『孫の顔が見たい』『結婚してあなたなりの家庭を築いてほしい』と、自分の意見をハッキリ言うのがいいと思います。
それで子どもに嫌われようが、距離を置かれようが仕方ない、と割り切ることも大切。特にお子さんが実家でのんびり生活しているようであれば『そろそろ家を出ていってほしい』『親として世間体が悪い』などと伝えて危機感を持たせ、自立を促しましょう」
とはいえ本人が婚活に前向きでも、親のせいで破談になってしまうケースも。
婚活では毒親との縁を切ることも大事
「先日は、娘と同じ墓に入りたいから結婚させたくないというお父様を持つ女性から相談がありました。実は娘や息子と離れたくないと結婚の邪魔をして、子どもにしがみついている親御さんも意外と多いのです。いわゆる毒親ですよね。老後の面倒を見てほしいとか、ずっと一緒に暮らしていて今さら一人になるのは寂しいとか。婚活ではそういった毒親との縁を切る、という強い意志も大切です」
歯に衣着せぬ発言が爽快な植草さん。そんな植草さんだが、自身の娘さんにも日頃から会員と同様に接しているという。
「娘は今の私の事業に高校生のころから携わってくれています。また、彼女が念願だったアパレルブランドも展開しましたし、これからも彼女がやりたいことを応援しながら、いい出会いがあればぜひ結婚もしてほしいなと思っています」
カリスマ婚活アドバイザーも、娘のこととなると子を思う一人の親の顔に戻るのは他の人と変わらなかった。
取材・文/片岡あけの
うえくさ・みゆき 結婚相談所マリーミー代表。恋愛・婚活アドバイザー。自身が代表を務める相談所で、自ら受け持つコースでは、年間成婚率80%を達成するなど業界で異例の結果を出している。『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)、『Nスタ』(TBS系)などの多数のテレビ出演や連載執筆を通し、「歯に衣着せぬ婚活アドバイス」で人気を集めている。著書多数。