
24年9月から週プレNEWS(集英社)でスタートした小田原ドラゴン渾身の新作漫画『堀田エボリューション』。果たして小田原ドラゴンという奇才はどんな道のりを経て、本作品にたどり着いたのか。ジックリ語っていきます。
新連載第11回は打ち合わせ時の「喫茶店のケーキ」についてのお話です。
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ヤンマガ(週刊ヤングマガジン・講談社)で、拙作『おやすみなさい。』(全8巻)の連載が始まりました。もちろん、週刊連載です。
僕がどうにかこうにか週刊連載をこなせたのは、初代担当のMさんに伴走してもらえたからです。もっと言うと、今でも漫画家を続けられているのはMさんのおかげです。
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Mさんは僕の自宅兼仕事場の汚いワンルームに大量のAVを抱えてやってきたり(ただし、僕の趣味とは異なる作品のみでしたが......)、プレステの野球ゲームをしに来てくれたこともありました(笑)。
そんなMさんが僕の担当から外れて、やってきたのは若い女性編集者でした。この女性編集者との打ち合わせは今振り返っても心が辛くなりますね。
当時、週刊連載をこなすのに四苦八苦していた僕は外出もままならず、誰とも話をしない日が続くことも。なので、担当編集者との打ち合わせの時間は非常に貴重なものでした。
しかし、女性編集者との打ち合わせ場所は、自宅兼仕事場近くの喫茶店。落ち合うのは午前中で、会話も弾まず......。僕は人見知りなので本当に辛かったですね。
実はヤンマガで連載を持つほかの漫画家から、「担当編集者と夜の街へ繰り出した」だとか「〇〇を食わせてもらった」という話が耳に届くので、僕はかなりモヤモヤしていました。なぜ僕だけ喫茶店なのだろうって......。
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そんなモヤモヤを飲み込み、辛うじて打ち合わせで口にできたのは、「あのー、ケーキ食べてもいいですか?」。
僕は喫茶店でケーキを食べることに集中して、打ち合わせの度に湧き出てくるモヤモヤをどうにかやりすごしていました。
まぁ、若い女性編集者が童貞漫画の担当をすることにうんざりしていたのかもしれませんが......ほかの漫画家との打ち合わせ場所の格差は埋めがたいものがありましたね。
そんな中、僕の仕事はさらに忙しさを増していきます。
《つづく》
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