
千葉県柏市で17日、建築現場でよく見かけるショベルカーが土山を掘り返していた。運転席はなんと無人で、近くにあるプレハブ小屋から遠隔操作を行っている。動かしているのは、ゲーム会社コナミが運営している「KONAMI eスポーツ学院」(東京都)に通う4人の高校生たちだった。
【写真を見る】人手不足の建築業界を救うeスポーツ選手のテクニック、遠隔でショベルカーを操作「ちょっとゲームに似ている」
運輸デジタルビジネス協議会、事務局長の鈴木氏は「建築業界も人材不足が非常に大きな課題で、3Kと言われる現場で埃まみれで働く世界から時代に沿った現場を目指すため、遠隔操作を世の中に広めたい」と話した。
そこで白羽の矢が立ったのが、プロゲーマーを目指す「eスポーツ学院」の生徒たち。校長の梅村氏は「ゲーム業界、eスポーツ業界の枠の外にある建設業界。そこでの可能性を見出して、我々の生徒様が進学していただく、就職していただく先というのが増えるということで、取り組みに至った」と話し、建築業界とeスポーツ学院がガッチリとタッグを組んだプロジェクトが行われた。
4人の生徒たちは、ショベルカーから50mほど離れたプレハブ小屋で2枚のモニターと4本のレバーからなる複雑な操作方法を10分ほど教わり、すぐに個別での遠隔操作が始まった。
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最初は戸惑いながら操作を行っていたが、回数を重ねる内にゲームで鍛えた繊細なレバー操作と、類まれなる集中力、磨きぬいたテクニックを発揮し、最後には自在に動かせるようになった。
“ショベルカー遠隔操作”を体験した4人は、それぞれ初めて操作した感想を語り、充実した時間を振り返った。
岡井耀士(あきと)さん(15):
とても新鮮な感じがして、触ったことのない重機を離れたところから操作するのが新しい感覚で、ゲームのような感覚だったので、今後に生かせる感じがして、とても楽しかったです。
佐野遥麻(はるま)さん(15):
普段見ているものを自分で操縦するのがすごく難しいなと思ったけど、慣れたら楽しかったし、またやりたいと思った。
石上悠真さん(16):
遠隔操作自体もすごく興味が湧いたし、それこそ不登校の子とかが最近増えているので、そういう子たちにもどんどん活用できるのではないか。
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岡部彩葉(いろは)さん(16):
画面2枚だけ見て、そこからすぐに情報を抜き取って、どう動かすのかを頭で処理するのも、ちょっとゲームに似ているな。
深刻な人手不足に悩む建設業界を救うのは革新的な技術と、他業界のeスポーツを行う若者たちかも知れない。