ドコモ、2年でirumo廃止は英断?新プラン「DAZNが見放題」の衝撃度

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2025年04月26日 18:10  Business Journal

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NTTドコモ公式サイトより

●この記事のポイント
・NTTドコモが23年に肝いりで始めた料金プラン「irumo」「eximo」の新規受付を終了。
・両プランは「失敗だった」という見方も広がる一方、今回発表された新料金プランは魅力的だという評価も出ている。
・大手キャリア各社がプランの見直しを迫られる要因としては、低価格とプランの分かりやすさで急速に契約数を伸ばしている楽天モバイルの存在


 NTTドコモは24日、23年7月に肝いりで始めた料金プラン「irumo」「eximo」の新規受付を終了し、新プランとして「ドコモ MAX」「ドコモ ポイ活 MAX」「ドコモ ポイ活 20」「ドコモ mini」の提供を開始すると発表。わずか2年で事実上の廃止となることに「失敗だった」という見方も広がる一方、新料金プランはそれなりに魅力的だという評価も出ている。実質値上げという見方もあるが、他キャリアとの比較の上では、どう評価できるのか。また、なぜドコモはわずか2年で大きな方針転換を迫られることになったのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。


●目次



「eximo」は「ドコモ MAX」に移行
新料金プランは他キャリアと比較して、どう評価できるか

「UQモバイル」「povo」(KDDI)や「Y!mobile(ワイモバイル)」「LINEMO(ラインモ)」(ソフトバンク)などの格安ブランドを持っていないドコモは、これまで低価格プランと位置付ける「irumo」を提供してきた。月間利用データ量0.5GBが月額550円、3GBが2167円、6GBが2827円、9GBが3377円だったが、今回発表された後継プランの「ドコモ mini」は2種類に減り、4GBが2750円、10GBが3850円となる。ドコモ miniのほうが高いが、「dカードお支払割」「ドコモ光セット割」「ドコモでんきセット割」を適用すると、4GBが880円、10GBが1980円になる。割引適用後の価格を比較すると、irumoよりもお得になる。


 また、ドコモ miniはAmazonプライム会員料金(月額600円)が最大3カ月間割り引きとなるという特典がついている。もっとも、プランとしての最低価格料金は上がることになる。


「eximo」は「ドコモ MAX」に移行

 標準プランと位置づけられていた「eximo」は、1GBが4565円、3GBが5665円、無制限が7315円だったが、後継プランの「ドコモ MAX」は1GBが5698円、3GBが6798円、無制限が8448円と値上がり。ドコモが強調するのが、スポーツ動画配信サービス「DAZN for docomo」が追加料金なしで付帯する点だ。


「ドコモ ポイ活 MAX」は、dポイントがより多く貯まる料金プランであり、月間利用データ量無制限で月額1万1748円。「みんなドコモ割」「ドコモ光セット割」など各種割引を適用すると月額8448円となり、対象決済の特典利用によるポイント最大還元額(5000円相当)を考慮すると実質利用料金は2948円になるとしている。こちらも「DAZN for docomo」が追加料金なしで付帯する。


「ドコモ ポイ活 20」は20GBが7898円、無制限が9570円。各種割引を適用した上で対象決済の特典利用によるポイント最大還元額(2500円相当)を考慮すると、それぞれ2068円、3740円になるとしている。


 このほか、オンライン専用ブランドの「ahamo」は改定されず、継続提供される。


新料金プランは他キャリアと比較して、どう評価できるか

 なぜドコモは「irumo」「eximo」を実質廃止するのか。ITジャーナリストの石川温氏はいう。


「2年前、ドコモは自社で低容量のプランを持っておらず、他キャリアのサブブランドなどに顧客が流れていた。そのため、ドコモユーザーを囲い込む意味でirumoを始めた。
当時、ahamoという名称が予想以上にヒットし、調子に乗ったドコモは低容量プランにirumoをいう名前をつけたが、これが何を意味している名前なのかさっぱりわからず、メディアやショップなどからの評判も悪かった。


 最近になって、あらゆるものが値上げとなるなか、スマホの通信料金は、2020年頃の菅義偉政権による『値下げ圧力』から抜け出せず、値上げできない状態になっていた。しかし、ネットワークを動かすための電気代が上がり、人件費も高騰していることから、通信料金の値上げをせざるを得ないところまで追い詰められた。そこで、単にデータ容量や金額を変えるのではなく、DAZNなどの視聴料を込みにすることで『なんとなくお得かも感』を出すことで、単なる値上げには見えない『値上げ』に着手した」


 では、今回発表された新料金プランは他キャリアと比較して、どう評価できるか。


「やはり『DAZNが見放題』というのが大きい。DAZNはスタート時の2017年、ドコモで契約すれば980円でかなりコストパフォーマンスが良かったが、いまでは月額4200円に値上げしている。サッカーファンの間でも『高いからDAZNをやめる』という人も増えている。『DAZNを見たいけど高いから契約しない』という人を取り込むのがドコモの狙い。


 DAZNをお得に見たいのであれば、auでも『使い放題MAX 5G / 4G DAZNパック』があるが、金額的にはドコモのほうが安い。ただ『DAZNなんて興味ない』という人もいるわけで、そういったドコモユーザーは『ahamo大盛り』の110GBが選択肢となる。」


 大手キャリア関係者はいう。


「irumoとeximoの不調は誰の目にも明らかで、それは過去1年のドコモの契約純増数が大手キャリア3社のなかで最低という数字にも表れていた。ただ、irumoとeximoの失敗を素直に認めて、わずか2年で終了させて新たなプランを打ち出してきたという姿勢には、少なからぬ驚きを感じるし、評価できる。業界最大手のドコモですら胡坐をかくことができないほど、競争が激しくなってきているということだろう。そして、その大きな要因として、低価格とプランの分かりやすさで急速に契約数を伸ばしている楽天モバイルの存在は無視できない」


(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=石川温/ITジャーナリスト)



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  • eximoからドコモminiにしようかなぁ……。でも、ちょっと冷静になって考え直そう。
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