これからの季節に流行するウイルス感染症とは。アルコールに強いウイルスの存在も…正しい対策をプロに聞いた

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2025年04月28日 08:52  女子SPA!

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 行楽日和が続き、イベントや買い物など人混みの中に出かけることが増えてきたのではないでしょうか。そんなとき、花粉やウイルスが気になるという人も多いようです。そして暖かくなってくると敏感にならざるを得ない、嫌なニオイ。

 そこで今回は、世界初の手押し式殺虫液を作った会社でもあり、40年近く菌・ウイルスの対策剤について研究開発を行っているフマキラー株式会社で菌やウイルスの研究に携わり、大学時代から培った科学の知識も活かして商品開発をおこなう進藤智弘さんに話を聞きました。

【前回の記事はこちら】“キッチン周りがなんだかクサい……”問題。ニオイの意外な正体と対策をプロに聞いた

◆これからの季節に気をつけたいウイルス

――暖かくなって人混みに出る機会が増えたという人も多いようです。これからの季節に気をつけたいウイルスについて教えてください。

進藤さん:冬だとインフルエンザや新型コロナウイルス感染症、ノロウイルスなどがとくに心配でしたね。引き続き、季節外れのインフルエンザの流行や新型コロナには気をつけておきたいものです。そのほか暖かくなってくると、アデノウイルスによる“咽頭結膜炎(プール熱)”や“ロタウイルス”などによる「感染性胃腸炎」の流行があります。

――ウイルス対策というと、アルコールスプレーが頭に浮かぶ人も多いかもしれません。

進藤さん:残念ながら、アデノウイルスやロタウイルスは“ノンエンベロープウイルス(ウイルスの分類の一つで、タンパク質の殻に囲まれているため外からの影響を受けにくい)”という種類のウイルスで、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスとは違ってアルコールに強いウイルスです。

アデノウイルスは接触感染・飛沫感染で感染し、ロタウイルスは感染者の便などに含まれるウイルスを摂取することで感染します。お子さまにはとくに注意が必要ですし、大人も感染して症状が重くなる場合があるので気をつけてください。

また、「アルコール除菌」のような雑貨品の商品は細菌やウイルスによる疾病予防を目的とした製品とは異なるため、薬機法上、固有の細菌・ウイルス名を標榜することはできないという点もございます。

――では、アルコールスプレーは意味がない?

進藤さん:いえ、アルコールに強いウイルスだったとしても、医薬品や医薬部外品で“効果がある”と記されているアルコール消毒スプレーであれば大丈夫です。たとえば当社だと、リン酸でpHを弱酸性にして有効成分(エタノール)の効果を高めるアルコール消毒スプレーや手指の消毒用商品があります。購入前にインターネットで調べたり、商品のラベルをよく確認したりしてから購入してみてください。

◆ウイルスに対する具体的な対策方法

――アルコール消毒以外のウイルス対策についても具体的に教えてほしいです。

進藤さん:こまめに手洗いをし、効果が確認されている手洗い用消毒薬による消毒などが対策として考えられます。ただ、飛沫感染となると、なかなか対策が難しいのが正直なところ。ウイルスが目や口など体に入る前に除去するのが大事なので、マスクの着用など、コロナ禍と同じように基本的な感染症対策をおこなってリスクを下げることがおすすめです。

――手洗い・うがい・正しいマスクの着用。そして、除菌や消毒ですね。

進藤さん:除菌や消毒は万能ではありませんが、より快適な生活を送るために基本的な感染症対策とプラスしていただければと思います。お子さまの場合、保育園や幼稚園などの集団でウイルスや菌に汚染されているものにも触ってしまう。そして、その手を舐めたり目をこすったりすることで体内に菌やウイルスが取り込まれて感染症にかかってしまいます。やはり、こまめな手洗いと手指消毒で対策をおこなうのがよいでしょう。

――では、習慣として身につけさせておくことが大切ですね。

進藤さん:はい。また、私たち大人も会社や日常生活をおこなううえでヒトと接触することは避けられません。そのため菌やウイルスとの接触も避けられない。ワクチンで対策できる疾病についてはワクチンを打つということも効果的です。

◆嫌なニオイの原因と対策方法

――この時期以降は、ウイルス以上にニオイが気になるという人も多いかもしれません。

進藤さん:嫌なニオイのもとは、カビや菌によるものであることも多いです。嫌なニオイは、皮膚の表面にいる常在菌が汗や皮脂を栄養にするため分解するときに発生します。酸っぱいようなニオイで、汗臭や体臭といわれているものです。菌はだいたい25℃を超えると活発になるため、これからの季節は嫌なニオイに遭遇しやすくなるかもしれません。

――嫌な季節ですね。部屋のニオイも同じ原理ですか?

進藤さん:はい。部屋のニオイも、カビや菌によるものも多いです。たとえば洗濯物の生乾き臭も、衣類に残っている汗や皮脂をエサとして菌が増殖するときに発生します。汗や皮脂のつきやすい寝具なども気をつけたいですね。

――何か具体的な対策はありますか?

進藤さん:菌の増殖を抑えてあげることが大切になるので、除菌や殺菌効果のあるスプレーをする。二度拭きのいらないアルコール除菌スプレーなどを使えば、除菌しながらキッチン周りやリビングの掃除にも使えます。

――アルコール除菌は、乾いた状態でスプレーするのが効果的でしたね。

進藤さん:はい。アルコール除菌は対象物に付着することにより効果を発揮します。対象物が濡れていると効果が半減してしまうので、しっかりと乾いた状態でスプレーしてください。

◆とくに気をつけたい足のケア

――ニオイに関して、ほかに教えていただけるようなことはありますか?

進藤さん:素足で過ごすことも多い季節、足のニオイなども気になりますよね。足のニオイも菌が原因です。足にいる菌が汗や角質・垢などの老廃物をエサとして分解することで発生する“イソ吉草酸”や“酢酸”といた物質のニオイが足臭につながっています。そのため、靴の中で菌が繁殖しないようにすることがポイントです。

――靴をこまめに洗濯したり除菌スプレーをしたりすれば大丈夫ですか?

進藤さん:こまめな靴の洗濯や除菌スプレーもそうですが、靴を脱いだあと、すぐに足を洗うことが大切です。いくら靴をきれいにしても、足そのものが臭いと、また靴も臭くなってしまいます。それに家から帰ってきて足を洗わないと、ずっと菌をつけて移動する形になってしまう。最初は靴だけが臭かったのに、気づいたら玄関マットや子ども部屋まで臭いという話もよく聞きます。消臭や殺菌効果のある足用ソープなどで角質や垢をしっかりと洗い流し、足を清潔に保つことが大切です。

――なるほど。

進藤さん:足をしっかり洗うことは、水虫への対策にもつながります。水虫の原因は白癬菌というカビの一種で、足に菌が付着したまま放置することで感染。傷などがない状態では24時間以上、傷がある場合は12時間で感染するというデータもあります。なので感染を防ぐためにも、プールや銭湯など多くの人が裸足で歩き回るような場所に行ったあとはとくにしっかりと足を洗い流してください。バスマットなどには結構、白癬菌がいます。

◆花粉やPM2.5のピークや対策は?

――行楽日和が続いていますが、花粉やPM2.5も心配です。

進藤さん:花粉のピークは2月の後半から3月中というイメージですが、花粉はスギ花粉だけではありません。それ以外にもブタクサなどいろいろな花粉が飛んでいるので、ご自分に合った時期に対策することが必要です。PM2.5は年間を通して発生していますが、ピークは3〜5月ぐらいのイメージです。

――具体的な対策はありますか?

進藤さん:洗濯物の部屋干しやマスクの着用。外から戻ったときは自宅に入る前に髪の毛や衣類についた花粉などを手やブラシで払ってから帰宅するようにします。それでもやっぱり花粉などは室内に入ってきてしまうため、こまめに掃除や洗濯をするといいですね。

――洗濯物の部屋干しは、ニオイが気になります。

進藤さん:そうですね。先ほども触れましたが、洗濯物の生乾き臭は菌が増殖するときに発生します。エアコンの除湿機能、扇風機やサーキュレーターの風などを活用して洗濯物を早く乾かし、菌が繁殖しにくい環境を作ってあげましょう。布団を外に干したくないというときは、湿気を取るために布団乾燥機をかけてみてください。

――なるほど。

進藤さん:ウイルスもそうですが、花粉やPM2.5は目や鼻、口などから体内に入れないことが大切です。一般的な花粉対策とあわせて、プラスイオンが顔や髪全体をコートし、ウイルスや花粉、PM2.5、黄砂を反発・吸着して目や鼻、口からの侵入を防ぐ弊社の『アレルシャット』なども使っていただくと効果的かと思います。

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 少し前までの寒さが嘘のように過ごしやすくなった今日この頃。人間と同じように活発になる菌やウイルス、外出すれば身にまとわりついてくる花粉やPM2.5などの対策もしながら、お出かけ日和のこの季節を楽しく満喫したいものですね。

【進藤智弘】
世に出す商品の効果や責任にこだわるフマキラー株式会社の姿勢や「人の命を守る、人の暮らしを守る、人を育む環境を守る」という企業理念に共感し、転職。2016年より応用開発研究部で菌やウイルスの研究とともに大学時代から培ってきた科学の知識を活かしながらの商品開発をスタートし、2023年末からは開発企画室・係長として商品企画の発案や開発に務めている。

<取材・文/山内良子>

【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意。

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