
生クリームにバナナやイチゴをトッピング…という王道ではなく、ハチミツやバター、砂糖だけのシンプルなクレープが人気に。そのワケは?
【写真を見る】クレープの概念を超えてきた 「クリーム無しクレープ」人気の理由
「クレープの概念を超える」パリパリ食感東京・表参道駅から徒歩数分。
2024年のオープン以来行列が絶えない人気店『クレープとエスプレッソと』で多くの人が食べていたのは、クリームやフルーツ無しの“シンプル系クレープ”です。
「結構シンプルなのが好き」(30代女性)
「生地を楽しみたい」(10代男性)
自家製のクリームをふんだんに使った「チョコメルトバナナ」(1200円)や、たっぷりツナに炙ったチーズをのせた「ツナチーズメルト」(1200円)などの惣菜系クレープも取り揃えていますが、一番人気は「バターシュガー」(800円)。
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1年半かけて開発した生地に、国産バターと砂糖のみで味付け。
パリパリっとした食感と、クッキーのような香ばしさが楽しめるクレープです。
THE TIME,マーケティング部 西堀文部員:
「生地の香ばしさとバターの香り。完璧ですね。クレープの概念を超えてきました」
2023年にオープンした『汐汲坂のクレープ屋さん』(神奈川・横浜市)でも、シンプルクレープが人気です。
「ハチミツとクレープ生地のシンプルな味で、おいしかった」(40代女性)
「ハチミツとバターなんですけど香ばしくて、甘すぎずしつこくなくて、いくらでも食べられちゃいそう」(50代女性)
人気の「生はちみつバター」(880円)は、上質なバターをたっぷり使った生地を焼き上げ、そこに生ハチミツを贅沢にかけたクレープ。
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使用しているのは、豊富な栄養素が特徴のハンガリー産「天然非加熱ハチミツ」。日本にわずか2%しか流通していない、希少なアカシア生ハチミツです。
そのハチミツの味を最大限に活かすために、生地は糖分を最低限に抑えた優しい甘さが特徴で、休日には1時間待ちになることもある人気店となっています。
シンプル人気のワケは「原点回帰」「クレープはフランス発祥のお菓子で、元々はシンプルに生地を味わうデザート」
こう話すのは、年間2400種類のスイーツを食べ歩くスイーツジャーナリストの平岩理緒さんです。
実は、生クリームやフルーツをたっぷり挟み紙で巻いて食べるのは日本で独自に進化したスタイルで、1970年代に『マリオンクレープ』が誕生し浸透していったといいます。
平岩さん:
「スイーツ業界は、ここ10年ぐらいの流れとして“原点回帰”がすごく言われている。お菓子本来の姿に立ち戻るという。なのでクレープも生地そのものにスポットを当てて使う材料にもこだわる」
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フィナンシェやドーナツなどシンプルな王道スイーツが人気となる中で、クレープも素材を堪能できるシンプルなタイプの人気が高まっているとのこと。
ちなみに、物価高の中で“値段は抑えつつ素材のおいしさを味わえる”のも人気の理由だといいます。
東京・下北沢にある焼き菓子などが人気の『GH COOKIES.』でも、生地のモチっと感と香ばしさが楽しめる「シュガーバター」(650円)が売れ筋。小麦粉に砕いたアーモンドや焦がしバターなどを加え、食べ応えと軽やかさを実現しています。
さらに、ルームウェアブランドが展開する『gelato pique cafe』。
メニューには、季節限定の「ストロベリークレープ」(1340円※5月11日まで)などのポイップ系や、ベーコン・卵が乗った「コンプレ」(860円)などの惣菜系クレープもありますが、客の多くが注文していたのはこれまたシンプルな「バターとお砂糖のクレープ」(590円)。
本場にこだわった一品で、生地はフランス産小麦を独自にブレンドし、外はサクサク、中はモチモチ。
焼きあがった生地にたっぷり塗るのは、フランス・エシレ村で作られている最高級バターです。
クリームなしのシンプルゆえに「生地の味、生地がおいしいって分かる」(20代女性)と好評で、店舗によっては1日500枚近く売り上げるほどの人気だといいます。
原点回帰のクリーム無しクレープ。各店がこだわり抜いた素材の味を存分に味わってみるのもいいかもしれません。
(THE TIME,2025年4月25日放送より)